二十七歳の宇津木明生は、財閥の家系に生まれた大学教授を父に持ち、学究の道に進んだ二人の兄を持つ、人も羨むエリート家系出身である。しかし、彼は胸のうちで、いつもこうつぶやいていた。「俺はきっと生まれそこなったんだ」。サッカー好きの明生は周囲の反対を押し切ってスポーツ用品メーカーに就職し、また二年前に接待のため出かけた池袋のキャバクラで美人のなずなと出会い、これまた周囲の反対を押し切って彼女と結婚した。しかし、なずなは突然明生に対して、「過去につき合っていた真一のことが気になって夜も眠れなくなった」と打ち明ける。真一というのは夫婦でパン屋を経営している二枚目の男だ。「少しだけ時間が欲しい。その間は私のことを忘れて欲しいの」となずなはいう。その後、今度は真一の妻から明生に連絡が入る。彼女が言うには、妻のなずなと真一の関係は結婚後もずっと続いていたのだ、と。真一との間をなずなに対して問いただしたところ、なずなは逆上して遂に家出をしてしまう。失意の明生は一方で、個人的な相談をするうちに、職場の先輩である三十三歳の東海倫子に惹かれていく。彼女は容姿こそお世辞にも美人とはいえないものの、営業テクニックから人間性に至るまで、とにかく信頼できる人物だった。やがて、なずなの身に衝撃的な出来事が起こり、明生は…。
なんか、密林の商品説明が、異様に気合入っている。作者の直筆でメッセージまで入っているし。本人としては、一番完成度が高いと思っているのかもしれない。
ようやく直木賞を受賞しただけあって、やはり完成度としては高いと思う。しかし、二編あるうち、受賞作が不倫、もうひとつが結婚直前で浮気しまくりと、かなり萎える。どちらも女性がロクデナシである。
受賞作は、名家に生まれ、兄達と比較して自分が凡庸な事にコンプレックスを抱き続けた男が、決められた相手ではなく、知り合った美女と結婚する。元々決められていた相手は、自分の兄が好きで、その兄は、さらにひとつ上の兄嫁が好きだという、どうしようもない事になっている。
三男は、ようやく普通の幸せを掴んだのかと思いきや、妻が昔から好きだった相手の下に走りグダグダに。トンデモない女である。むしろ別れたほうがGJ! 性悪嫁には逃げられるし、許婚っぽい相手は事故死するし、兄達はハイソすぎて人間失格だし、再婚した上司も病死。なんだこのBAD ENDは……。
お互いが相手だけ見ていれば単純明快なのに、何で人は別の方ばかり向いているのか。結局、巷に溢れる夫婦やカップルは、その大半が妥協と欺瞞の産物でしかないのだろう。
ほんと、三次元嫁はロクなのがいないや(笑)。
やあ(´・ω・`) ようこそバーボンハウスへ。今のは非リア充すぎて破壊され尽くした何者かの残滓が放った戯言に過ぎないので、GJな三次元嫁をゲット出来た人は華麗にスルーして欲しい。
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