ドイツ 町から町へ(中公新書1670)
2010年4月11日 読書ドイツの町には、おどろくほど個性がある。通りや建物、広場から、民家の屋根や壁の色、窓のつくりにいたるまで、土地ごとに様式があり、みごとな造形美を生み出している。長らく領邦国家が分立していた歴史的背景から、町ごとの自治意識が強く、伝統や風習に誇りを持っている。港町、川沿いの町、森の町、温泉の町―。ドイツ各地をめぐり、見過ごされがちな風物や土地に根ざした人々の息づかいを伝える紀行エッセイ。
ドイツの様々な町を紹介しているので、それぞれの内容は断片的な知識に留まってしまうものの、ドイツ全体を俯瞰するにはちょうど良いと思う。これを読んで興味を惹かれる町を見つけたら、さらに専門的な資料に当たっていけば良いだろう。
それにしても、個性的な町が多くて驚く。日本にある大多数の町のように、金太郎飴的に画一化されていないのが素晴らしい。これは、近年に至るまでドイツが中央集権国家としてまとまらず、各都市の権力が保たれた事もあるが、戦後においても都市の個性を失わないように努力してきた事も大きいだろう。同じ敗戦国でありながら、日本とは大違いである。
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