どうして書くの?―穂村弘対談集
2010年4月25日 読書衣食住に困らない、平和なこの場所で。高橋源一郎、長嶋有、中島たい子、一青窈、竹西寛子、山崎ナオコーラ、川上弘美との文学対談。
穂村弘と著名人の対談集。対談というのは、著名人が二人してどうでも良い事ばかりくっちゃべっているイメージしか無いので、さほど期待していなかったのだが、片方が穂村弘だけに、そのズレた感覚が面白い。原稿そのものは、文字の大きさすら統一されていなくて、寄せ集めな感じがするのが残念だけど。
穂村弘の言葉ではなくて誰かの引用なのかもしれないけど、過去の恋愛に関して、男は「名前をつけて保存」で女は「上書き保存」というのは笑った。
山崎ナオコーラに関しては、根は真面目なのかもしれないけど、「会社の仕事が大嫌いで、全然やる気がなかった」と発言していて、だからペラいものしか書けないのだと思った。どんな事でもやるべき時には全力で挑むべきで、特に物書きだと、一見、書く事に無関係でも、後でそれが肥やしとなって来るのだから。作中にTV欄を作る仕事が二回出てきたので、きっとそういう仕事をしたのだと思うが、真剣にやっていたら、もっと奥深いものが書けた筈である。
例えば、佐伯一麦の「ショート・サーキット」は、電気工の仕事がとても細かい部分まで描き込まれていて、物語に奥行きを出しているのだが、これだって佐伯一麦が適当にしかやっていなかったら、そこまで書けなかった筈である。
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