パパとムスメの7日間
2007年2月23日 読書ISBN:4022502347 単行本 五十嵐 貴久 朝日新聞社 2006/10 ¥1,785
いまどきの高校生・小梅と、冴えないサラリーマンのパパ。ある日突然、二人の人格が入れ替わってしまったら? 「いつまで、こんなことが続くのだろう。(中略)あたしたちは二人揃って鏡に向かってお祈りした。明日の朝、目が覚めたら、お互いが元に戻っていますように」。ドキドキの青春あり、ハラハラの会社員人生あり。ハートウォーミングな家族愛を描いた笑いと涙のノンストップ・エンターテインメント長編!
典型的な入れ替わり物。
パパがムスメに、ムスメがパパに……。
口も聞かない程に親子関係が悪化してしまった家族。娘は今時の女子高生。父親は流されやすくて弱気な中堅サラリーマン。そんな二人が、電車事故がきっかけで、中身が入れ替わってしまうのだ。
病院で意識が戻れば、パパなのに見た目は女子高生に。娘は中年のオヤジに。これは傍から見れば面白いが、当事者には悲劇だろう。特に、16歳にして会社勤めのオッサンになるのは悲惨だ。逆はまだ許されそうな気がする。
アイディアとしては使い古されていて、目新しさは無いけれども、こういうの大好きです。読んでいて、変身願望を充足してくれるからだろうか。まぁ、女性(特に若い人)が読んでも、中年オヤジになりたいなんて願望は皆無だろうから、楽しくないかもしれないが。
娘の代わりに先輩とデートする事になったパパ。無論、外見は女子高生です。娘が男女交際するのは反対なので、嫌われるために策を巡らすも、全てが逆効果に。会社が気になりつつも、デートや試験に翻弄される、哀れな中年男性。くどいようですが、外見は女子高生です。
パパの代わりに大手化粧品会社の御前会議に出る事になった娘。無論、外見は中年男性です。女子高生をターゲットにした新商品なのに、大人の都合で上司の顔色ばかり伺い、消費者無視な状況にキレて暴走! 予定調和で消滅するハズだったプロジェクトが思いもよらぬ方向へ。
これ、通常の読者層以外も買っているだろ? コレを買った人はアレも買っていますとかいう紹介で、萌えラノベが出てくるし。結構面白かった。惜しむべくは、題名で入れ替わり期間がバレている点である。いつ戻れるか分からないドキドキ感と不安感が削がれてしまったのが悔やまれる。
機動戦士ガンダムSEED DESTINY 9
2007年2月22日 アニメ・マンガDVD バンダイビジュアル 2005/10/28 ¥6,300
壮絶!!! 現・主人公VS前・主人公。誰もが見たいと思っていた黄金のマッチが地球の空で繰り広げられる。興奮と迫力のDVD9巻。もはやシンにとって、ステラを殺したキラは敵。伝説のフリーダムガンダムに、インパルスガンダムがためらいなく突っ込む。不殺のベテランか、殺気の新人か。このバトルがまた強烈。シンは、インパルスの機能を最大限に使い、キラを圧倒するのだ。この戦いっぷりは、一見の価値あり。そして、いよいよ最新鋭のモビルスーツ・デスティニーガンダムが登場。混乱する戦局の中、アスランはザフトを脱走する――。もはや力こそが正義のPHASE-33からPHASE-36。怒りは物語を支配し、真っ黒に塗りつぶす。
強化人間軍団が次々と敗れ去っていく。強化人間の宿命か、お約束通りステラも散ってしまった。戦場において、死を恐れる者ほど、死に魅入られてしまうというパターンを見事に踏襲。ステラを湖に沈めるシーンは、タイタニックのパクリに見えて仕方がない。デュランダル議長は軍産複合体に対して宣戦布告するが、これは米帝国に対する反戦のつもりでしょうか? 余計な思想は作品に入れなくても良いですよ!
この巻の見所は、何と言ってもアスラン&メイリン愛の逃避行(笑)。本命はカガリで不動なものの、対抗馬のミーア、ルナマリアを一気に抜いて、いきなりダークホース浮上! しかも、二人してグフで逃げていくのが(笑)。
エンドレス・ワールド
2007年2月21日 読書ISBN:4418065237 単行本 佐伯 紅緒 世界文化社 2006/09 ¥1,680
ビジネスエリートの計略が渦巻く世界。ふとしたきっかけで会社の機密データを手にした平凡な派遣OLが、探偵ごっこが招いた怒涛の経験を通じ、最強の女に成長する。恋に、仕事に、友情に果敢に立ち向かう女性を描く本格長編小説。
初めての著書にしては、かなり完成度が高いと思う。作中の小道具も上手く使っているし、タロットになぞらえた目次も良い。小道具と言えば、「ゲド戦記」が出てきた! 活字中毒の人ならわかると思うけど、読みまくっていると、まるで何かに吸い寄せられるように、あるキーワードで繋がるような本が集まってくる瞬間があるのだ。今回は、ゲドに反応しているらしい。
ごく普通の派遣社員にすぎなかった女性が、ある機密資料を入手してしまった事から始まる攻防戦。会社ぐるみの大掛かりな不正と、それに立ち向かう派遣三人組。派遣という中途半端な立場であるが故に、飼いならされた社畜とは違い、大胆かつ迅速に行動していくのが心地良い。ちょっと上手く行きすぎだけど、やはり悪党が滅びるのを見ると気分が良い。悪党って、モデルになった駄目社員がどこかにいるらしいね(笑)。
女流作家が描くビジネス世界は、女性ゆえの甘えみたいな部分が作中に現れがちで、男が読むと不満な点もちらほらと伺えるのだが、この作者には女性視点による甘えは無く、きっちりと描ききっているのも好感が持てる。
ISBN:4309018041 単行本 綿矢 りさ 河出書房新社 ¥1,365
チャイルドモデルから芸能界へ。幼い頃からテレビの中で生きてきた美しくすこやかな少女・夕子。ある出来事をきっかけに、彼女はブレイクするが…。成長する少女の心とからだに流れる18年の時間を描く待望の長篇小説。
ようやく出ました。綿矢りさの新作。結構上手くなってきたと思うけど、読後感が悪い。正直、中途半端な才能の中途半端な話を読まされてもなぁ……。中途半端というのは、著者本人ではなくて、物語に出てくる主人公の事ですけど。
チャイルドモデルから本格的な芸能活動へ。やがてロクでもない男に恋をして、自らが巻いたスキャンダルで転んでしまう。いかにもありがちだし、実際、そのような経緯を辿る芸能人なんて何百人もいるでしょう。
玉座を射止めるためには、常に走り続けなければならないのだ。例え頂点に辿り着いても鮫の如く、永遠に泳ぎ続けなければならないのだ。こんな中途半端に、山の五合目あたりで勝手に転んで落ちていく人間の話を読んでも楽しくない。もっと、圧倒的に強い主人公の話が読みたかった。
題名は夢を与えるだが、実際には夢が奪われてしまいました……。
流れ星が消えないうちに
2007年2月20日 読書ISBN:4103007516 単行本 橋本 紡 新潮社 ¥1,470
高校時代から付き合っていた恋人・加地君が自分の知らない女の子と旅先の事故で死んでから、1年半。奈緒子は、加地の親友だった巧と新しい恋をし、ようやく「日常」を取り戻しつつあった。ただひとつ、玄関でしか眠れなくなってしまったことを除いては――。深い悲しみの後に訪れる静かな愛と赦しの物語。
すでに故人となった青年を含む、三人の物語。恋人が海外で知らない女性と事故死して以来、自分の部屋で眠れなくなった奈緒子の定位置は玄関。親友が死んでしまい、親友の彼女と付き合い始めた巧。そして、旅先で死んでしまい、追憶でしか出てこない加地。この世に二人しか存在しない三角関係。
綺麗すぎる内容だが、現実世界に溢れている小汚い恋愛を疑似体験する趣味は無いので、個人的には薄味で結構。
ISBN:4334974775 単行本 穂村 弘 光文社 ¥1,470
このまま一生何もせずに終えることはできない――。
「現実」を怖れ、逃げ続けてきた男が、42歳にして初めて挑む。
やるぞ、献血、合コン、部屋探し、そして遂にプロポーズ!
穂村弘が未経験リストを参考に、現実世界で課題をこなして経験者になろうという試みである。このバスの中で起きているのは自分と運転手だけかもしれないと思った穂村は、寝入るサクマさんの手に、そっと唾を落とす。なんで唾なんだよ、キモイ!
ダメ人間が、いままでやってこなかった事に挑戦しようというコンセプトですが、ここに至って、ダメ人間という設定自体がネタにすぎなかった事が露呈してしまいました。穂村さんは仲間だと思っていたのに、なんだか裏切られた気分である。
機動戦士ガンダムSEED DESTINY 8
2007年2月19日 アニメ・マンガDVD バンダイビジュアル 2005/09/23 ¥6,300
「ガンダム」シリーズにおいては、ヒロインと主人公が戦うのは運命(FATE)。だけど、ここまで激しい展開があっただろうか。ステラに新型の可変モビルスーツ・デストロイガンダムが与えられた。圧倒的な破壊力で大都市を破壊するデストロイ。キラは戦いを制するためにフリーダムガンダムで止めようとする。シンはステラがデストロイに乗っていることを知らずに戦場へ向かう。またしても、三つ巴。敵と味方がわかりあえたとしても、世界はそれを許さない。憎しみの連鎖を誰かひとりが止めたとしても、その憎しみは癒されたわけじゃない。まさに物語全体のターニングポイントとなったPHASE-29からPHASE-32を収録。シンの慟哭が世界を揺らす。これは見逃せない。
キラ「女の子……なんだ。カガリって、意外に着やせするタイプ……なんだね」
カガリ「てめぇ! 見るなぁ!!」
という訳で、カガリの入浴シーンが出てきます。まあ、上の会話はただの妄想で、実際にはキラは覗いてませんけど。とりあえず、意外に胸が大きい! 本筋には全く関係ございませんが。なんで関係ない事書いているかというと、無駄な回想シーンとかあるし、つまらないからカガリのシャワーシーンでも見るしか……。
とりあえず、捕虜となったステラを敵側に渡してしまった駄目主人公シン君ですが、当然、敵が彼女をそのままにしておく訳もなく、巨大モビルスーツに搭乗させて出撃して来るのである。実は大した事ないのに雑魚を倒しまくっただけで、天狗になりすぎである。アスラン弱いとか言うし、でもその貴方は覚醒してすらノーマル状態のキラと互角以下だったでしょうが。だいたい、アスランが弱いと言っていたら、さらに弱かったハイネ西川の立場はどうなるんだ!?
機動戦士ガンダムSEED DESTINY 7
2007年2月18日 アニメ・マンガDVD バンダイビジュアル 2005/08/26 ¥6,300
悲劇のはじまり。「ガンダムSEED DESTINY」版「ロミオとジュリエット」は2つの物語が交差する。ステラとシン、カガリとアスラン――。ステラの正体は、地球連合軍の強化人間だった。シンは地球連合軍にステラを返す。ふたりが戦場で出会わないことを祈りながら。アスランもまたオーブ軍と戦う。苦悩するカガリはアスランと戦うことになろうと戦場へとむかうことを決心する。キラとともに戦場に向かうカガリ。キラとカガリが属するアークエンジェル、地球連合軍、そしてザフトのシンとアスラン。三つ巴で戦いはとどまることなく激化する。倒れるものが次々と出ていく中、恋人たちの結末はどうなっていくのか。戦局は混迷を極める!
敵味方ゴチャゴチャになったままで、もう何がなんだか……。結局、エゴvsエゴvsキレイ事ってところでしょうか。しかし、キレイ事の部分に最強のヤツがいるから、非常にタチが悪い。本来の主人公は、カミーユをなぞらえつつも、さらにお子様。こんな子供が赤い服というのは、大佐に失礼じゃないのか?
どうでもいいけど、この巻の真の主役はトダカ一佐です。漢だ!! ここで散るには、あまりにも惜しい人材でした。どうせなら、あの馬鹿男も巻き添えにして欲しかったが、今後の国政を考えて、たとえ馬鹿であっても、カガリ不在の折に指導者を失うのは得策ではないとの判断であろう。立派すぎます。
それにしても、オリジナルでは喧嘩両成敗とはいえ、ややジオンのほうが悪であったが、この作品に関しては、どう転んでも地球のほうが極悪ですな。これは、極悪非道な正義のテロ国家A国に対する牽制球でしょうか。
ISBN:4000264680 単行本 清水 真砂子 岩波書店 ¥2,520
「ゲド戦記」第1巻から第5巻までに確立された世界を探索し、広げた5つの物語を収録。巻末に、ル=グウィン自身による詳しい解説も掲載する。アースシー世界の全貌をあざやかに映し出す、ファン必見のゲド戦記・別巻。
知らないから先に5巻を読んでしまったけど、発表は4巻、外伝、5巻の順番だし、外伝には5巻に繋がる話が含まれているので、こちらを先に読むべきだった。
まだ魔法が忌み嫌われており、世界も争いに満ちていた頃の話から、世界が変容し始める5巻直前の話まで、5つの短編とアースシーの設定集みたいなのが入っている。「ダレン・シャン」みたいなファンブックではなくて、きちんとした外伝になっているので、本編とあわせて読んでおくべきだろう。できれば、5巻の前に。
ゲド戦記 5 アースシーの風
2007年2月17日 ファンタジー特集ISBN:4000280759 単行本(ソフトカバー) 清水 真砂子 岩波書店 ¥1,260
魔法使いゲドの生涯とアースシー世界の光と闇を描く壮大な物語の第5巻。故郷で妻テナー、養女テハヌーと静かな余生を送るゲド。竜が暴れだし、再び緊張が高まるアースシー世界。テハヌーは王から重要な使命を与えられる…。
当初は「新しい風」という邦題になる予定が、著者が新しい風ではないと言ったので、アースシーの風になったらしい。今までと風向きが変わってしまった事だけは確かですが。
世界の秩序が崩壊して行き、徐々に真実が見え始める。かつて人と竜が同じだったという事。ゲドが生きたまま見てきた死者の国に竜がいない理由。実は、ここに至るまでの話が外伝に含まれているので、先に外伝を読むのが正解かもしれない。
これで本当の最終巻となるか!?
ISBN:4000280740 単行本(ソフトカバー) 清水 真砂子 岩波書店 ¥1,260
魔法使いゲドの生涯とアースシー世界の光と闇を描く壮大な物語の第4巻。魔法の力を使い果たしたゲドは故郷に戻りテナーと再会。大火傷を負った少女も加えての共同生活が軌道にのりだした頃、3人は陰謀に巻き込まれてゆく…。
古い本では、これが「ゲド戦記 最後の書」となっているのだが、続きが出てしまったから、最近のは単に「ゲド戦記4」とされている模様。やはり、前の三冊で三部作、これは後日譚でしか無い。死者との戦いで魔力を失ったゲドが故郷に戻ってくる話。テナーも中年女性になってしまっているし、師匠のオジオンは死んでしまった。
シリーズ通したら名作ではあるが、この巻に限ってはフェミニズムに傾倒しすぎな部分で、評価が微妙となっている。三部作で完結させたほうがキレイだったかもしれない。もはやゲドはあまり活躍しないが、代わりにカレシンが頑張ってくれたので良しとしておきましょう。
JR脱線事故からの生還―キャリア・カウンセラーが綴った再生の記録
2007年2月16日 読書ISBN:4880239569 単行本 内藤 友子 本の泉社 ¥1,500
つらい入院生活、PTSDの影響、仕事への復帰-。走っているときには見えなかった「小さな喜び」と「小さな幸せ」。死者107名、負傷者550名余、JR福知山線脱線事故から生還したキャリア・カウンセラーの心の叫び。
部外者にはほとんど伝えられる事が無い「その後」。死んだ人も、生き残った人も、ニュースは単なる数字でしか伝えないけれども、相当酷い事になっていると思う。この著者は幸いにも一命を取りとめ、事故の傷跡は残るものの五体満足で社会復帰しているけれども、命を奪われた者は文字通り再起不能だし、助かっても二度と動けなくなっていたり、体の一部が欠落したりして、再起不能に近い人もかなりいる事だろう。
それにしても、このような事態を発生させながら反省の色が見られないJRには辟易する。「二度とこのような事故を起こさないよう云々」言い訳をしているが、実際のところ、コレが二度目ですからね! 三度目は無しにして下さいよ!!
個人的にはもう「死刑」にしてもいいと思うのだが。相場からしても3人殺せば死刑なのだから、107人も殺してしまったら、法人として死刑にして差し支えないと思うよ。人を殺しているという点において、同じ駄目会社でもペコ屋や毒印と比べて罪は桁違いに重い。
The S.O.U.P.
2007年2月15日 読書ISBN:4043748019 文庫 川端 裕人 角川書店 ¥780
世界中を熱狂させたゲーム、「S.O.U.P.」の開発から十年。プログラマから一転、セキュリティを護るハッカーとして、FBIの依頼もこなす巧に、経済産業省から、悪質なHP侵入者を突き止めてほしいという依頼が入る。犯人を追い詰めた巧が見つけたのは、自分たちの開発した「S.O.U.P.」に巣食う、サイバー・テロリスト集団だった!そして今、世界を巻き込むインターネット戦争が幕を開ける。ネット社会の陥穽を鋭く突いた、エンタテインメント・ノベル。
バーチャルワールドで繰り広げられる腕利きハッカーとクラッカー集団の攻防戦。ハイテクを駆使しながら、ゲド戦記と指輪物語をモデルとして構築された幻想世界。かつて、その世界を作り出した3人だったプログラマーは、政府から依頼を受け、世界を騒がしているeGGと対峙する事となる。
なんか、題名がパッとしないのだが、読んでみたら中身は結構面白かった。現実世界と電脳世界の双方で行われる攻防戦。バーチャルでは、手がけた世界が改変されて乗っ取られており、現実世界では海外まで戦場が拡大して行く。これ、出版直後に読んでいたら、かなり衝撃を受けていただろうなぁ。
ゲド戦記 3 さいはての島へ
2007年2月13日 ファンタジー特集ISBN:4000280732 単行本(ソフトカバー) 清水 真砂子 岩波書店 ¥1,260
魔法使いゲドの生涯とアースシー世界の光と闇を描く壮大な物語の第3巻。大賢人ゲドのもとに、世界の異変を伝える知らせが届いた。ただならぬ気配を感じたゲドは、アレン王子を連れ、見えない敵を求めて旅に出る…。
いい加減にゲド千期と変換するのはやめてくれ! 何でM社のソフトは頭悪すぎるんだろう……。確定させた場所まで遡ってお馬鹿な変換しようとするし。ワード、あんたって馬鹿ぁ? お前なんか猫のうんこ踏め!
……気をとりなおして、内容を。すでにゲドは大賢人となり、壮年期に入った頃。ゲドは、かつて学んだロークの学院で教師となっている。出世しました!!
ある日、アースシーで起こりつつある異変を知らせにアレン王子がゲドの元を訪れる。人々の反対を押し切って、ゲドは知らせに来たアレンと共に異変の原因を探る旅に出るのである。何をどう探ったら良いかもわからない苦難に満ちた旅において、二人は世界の果てどころか、もっと恐ろしい場所まで行ってしまうのだ。
一応、三部作という事なので、これでひと段落なんだよね。この後はどういう展開が待っているのだろうか?
NHKにようこそ! 6
2007年2月12日 アニメ・マンガISBN:4047138711 コミック 滝本 竜彦 角川書店 ¥588
再び東京に帰ってきた佐藤君を待つものは!?
再び東京に帰ってきた佐藤君は、パチンコで有り金をすってたちまちホームレス同然の生活に…。一方、復学した岬ちゃんも挙動不審で周囲から浮きまくり。イタイ青春を後ろ向きで突っ走る二人の明日はどっち…?
なんかもう全員が痛すぎる状態になってきた。佐藤は自宅ヒッキー療養からも逃げ出してホームレス状態に。そこからさらに一転して、新婚生活から逃げ出してきた先輩が借りた部屋の押入れ行き。その先輩も少し頭が変になっているし、先輩の旦那も疲れて変に! 佐藤とネットで繋がっていたもう1人の駄目人間は自殺未遂。エロゲーで成り上がり計画が破綻して実家の農場へと帰る男は、最後の最後で女から大どんでん返し。ヒロイン岬も復学したものの、孤立して壊れかけ。このカオス状態から、キレイに終わらせることが出来るのだろうか!?
復讐への航路―若き女船長カイの挑戦
2007年2月12日 SF特集ISBN:4150115370 文庫 斉藤 伯好 早川書房 ¥1,050
ヴァッタ一族惨殺さる!惑星スロッター・キーのヴァッタ航宙本社ほか関連施設が襲撃を受け、カイの両親ほか、一族のほとんどの人間が殺害された。また同時に、銀河系各地で一族が船長を務める会社の宇宙船が次々にテロにあう。ある船は停泊中に爆破され、またある船は航宙中に行方を絶ったのだ。いったい誰が?その目的は何か?謎の暗殺者の襲撃を受けたものの、なんとか切り抜けたカイは、真相の究明と復讐を誓う。
一難去って、また一難。トラブルの連続で息つく暇すら無い。前巻の直後から始まるのだが、ヴァッタ航宙本社を始め、至る所でテロ攻撃が行われる。どうやら、ヴァッタ航宙だけではなく、スロッター・キー政府と、超光速宇宙通信網を独占している星間通信局への圧力をも兼ねている様なのだが、黒幕は見えてこない。
この攻撃で、カイラーラ・ヴァッタの親、兄弟を始め、数多くの一族が犠牲となる。宇宙空間に散っている船の何隻かも攻撃され、カイ自身も船を爆破されそうになり、ステーションで暗殺者に襲われる。窮地を脱したカイは、謎の敵と対決すべく行動を開始する。一族の生き残りと合流し、傭兵組織マッケンジー社と契約を結んだところへ、一族の裏切り者オスマンが姿を現す。
まだ敵の正体は見えてこない。今後の展開が非常に気になるところ。
アグレッサー・シックス
2007年2月11日 SF特集ISBN:4150115079 文庫 冬川 亘 早川書房 ¥756
西暦3366年、突如オリオン座方面から、謎の異星人艦隊が侵攻した。彼らは圧倒的な戦闘力で人類の防衛艦隊を撃破、シリウス、ウルフ、ラランデの各星系内の植民地を次次に殲滅し、数十億の人類が死に絶えた。敵が次にめざすのは地球。絶望的な状況のなか、人類に残された最後の希望は、“アグレッサー・シックス”―敵の言葉を話し、敵のように生活し、思考することを任務とする特殊チームが立案した驚くべき戦術だけだった。
設定は非常に良いのだが、肝心の登場人物があまり活躍しない。最後のほうまで敵になりきる遊びをしているようにしか思えない。
太陽系近辺の恒星までその領域を広げた人類に攻撃を仕掛けて来た謎の存在。シリウスが攻撃されたとの知らせを受けた時には、敵は二つ目の殖民星系を陥落させつつあった。圧倒的な戦力差で迫る異星人艦隊。人類は一方的に殲滅されて滅亡寸前となる。
存亡を賭けて、外宇宙への脱出、大深度地下や小惑星での冷凍睡眠等、いくつかのプランが実行される。その中のひとつが、敵になりきり、敵として思考する事で内情を探ろうという試みだった。敵は二つの頭脳と四本の足、四つの性別を持つ、人類とはかけ離れた存在だった。クイーン、ドローン、ワーカー、ドッグと名づけられた四タイプに分かれて、敵を分析するのだ!
うーん、やっている事がテーブルトークRPG にしか見えませんが……。
ラスト付近で明かされる、敵にとって意味する「戦争」の位置づけが間抜け。そんな、犬の喧嘩みたいな理由で遠征艦隊を送り込んできて、人類が滅びかけるんですか……。起死回生の策はあるけれども、勝利する訳では無いから不完全燃焼。
人類存亡の危機に立ち塞がる最大の障害が、無能な上司というのが笑える。無能な上司は、人類を滅亡させる事だって出来るのだ!
基本的に、ダメっぽいSFだけど、「放課後防衛隊」の後だけに、良作に思えてくるな(笑)。
ISBN:4575235199 単行本 畠中 恵 双葉社 ¥1,575
ちょっとひねくれているけれど、料理自慢で世話好きな店長のいる酒場。クセモノ常連客たちが、今日もアノ「缶」を持ちこんだ…。缶の中にあるのは「災い」?それとも「幸せ」。
なんだか奇妙な題名だが、これは缶詰の名前。「酒場」という名前の酒場を経営する男の娘が持ち込んだ「とっても不幸な幸運」という缶詰が発端となり、様々な事件が起こるのでる。100円ショップで売られているという設定で、一見すると空気の缶詰のように無意味な物でしかないのだが……。
オーナーも客もクセのある存在だが、居場所が存在するというのは素晴らしい事だ。最近は、店なんてすぐに無くなってしまうからなぁ。それにしても、怪しげなモノを売っている100円ショップは、アウターゾーンのミザリーが経営している店なのでは?