ISBN:4163254609 単行本 白石 一文 文藝春秋 ¥1,800
HOW DEEP IS YOUR LOVE? 離れていても、愛し合えるのか。現実よりもリアルで、映画よりも素敵な恋の物語を4話収録。『小説宝石』『オール読物』掲載作品に、書き下ろしの表題作を加えて単行本化。
第136回直木賞候補作。
(但し、この回の受賞作は無し)
まだ直木賞が決定していない時点で、予約戦に出遅れてしまい、これしか押さえられなかった。しかも、予約の順番が回ってくる前に結果が出てしまい、なんとなく読む気が無くなってしまった。まぁ、頑張って読んだ訳ですが。
前半に短編が3つ、後半が候補作となった「どれくらいの愛情」が収録されている。もちろん、表題作が一番の力作ではあるが、他の短編も総じてレベルは高い。但し、登場人物に、嫌な女が多いので、個人的には作中の人物にムカついて胃に悪い。物語は普通だけど、筆力があるから、どれも読み応えがある。もう、お腹いっぱいです。恋愛物だが表層的ではなくて人生そのものを描いた重い内容で、決して安易にハッピーエンドで終わってくれたりはしない。というか、この中にハッピーエンドで終わる作品はありません。これ、かなりレベルが高いと思うのだが、残念な事に受賞できず。やはり、色物の芥川賞とは違って、直木賞は難易度が高い。
「シンデレラ」がハッピーエンドで終わると信じるには歳を取りすぎた人に、お勧め。ちなみに、私はシンデレラが最後にどうなったか知っていますが、おとぎ話の夢が消えてしまうので口を閉ざしておきます。
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ISBN:4103030518 単行本 仁木 英之 新潮社 ¥1,470
時は唐代。若き王弁は父の財産に寄りかかり、学ばず、働かず、娶らず、ひたすら安逸を貪っていた。そんなある日、父の命で黄土山へと出かけた王弁は、そこでひとりの美少女と出会う。自らを僕僕と名乗るその少女、なんと何千何万年も生き続ける仙人で…不老不死にも飽きた辛辣な美少女仙人と、まだ生きる意味を知らない弱気な道楽青年が、五色の雲と駿馬を走らせ天地陰陽を大冒険。第18回日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作。
美少女仙人萌え〜♪
(なんて言ってる自分がキモイ)
これ、お勧めです。ニート青年も出てくるから、絲山秋子の「ニート」とかいううんこ作品を読むくらいなら、これを読んでください。
僕僕先生って、題名で損している。なんとなく、堅苦しい純文学系統のイメージがする。内容は、純文学とは全然違う。むしろ、萌えキャラ小説。最近、日本ファンタジーノベル大賞を読み進めてはいるけど、内容を聞かされなかったら後回しにしたかもしれない。
僕僕先生という名前では、男のイメージしか浮かんで来ないけれども、実際は女の子。唐の時代、親の財産で遊び暮らすロクデナシと化した駄目人間がいた! ある日、このニート青年が、父からお使いを頼まれる、というか命令される。最近、地元の黄土山に住み始めた仙人に、貢物を持って行けと命じられるのだ。
行きたくないけど、すねかじりなニートであるから、仕方が無いので出かける事に。山中にある庵に辿り着くと、現われたのはいかにも仙人といった感じの老人ではなくて、自分よりも幼そうに見える女の子。いつの間にか弟子にされてしまったニート青年王弁は、美少女仙人僕僕と旅に出る事になってしまう。
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イチゴ色禁区 1.夏の鳥居のむこうがわ
2007年1月18日 このライトノベルがすごい?ISBN:4044725012 文庫 神崎 リン 角川書店 ¥580
「正樹いくよっ!」…亜美、女の子がイクというのはどうかと思う―とか考えながら向かってるのは派遣先の神社。そう俺たちは神社仏閣を管理する“玉城一族”の血をひく由緒正しき神子なのだ。毎年お盆のこの時期、退魔仕事を果たすはずが、鳥居の先で待ち受けていたのは迷子の幼い女神!?しかも記憶喪失!?この夏からはじまる亜美と正樹の甘くてクールなイチゴミルクデスティニー!第10回スニーカー大賞“奨励賞”受賞作。
これまた、かなり微妙だ。最初からシリーズ化を目論んでいるに違いない書き方で、何らかの陰謀が感じられるのだが、それは一切語られない。まあ、中途半端に伏線出しておいて回収しないラノベ作家よりはマシだけどね。
前半は、ウダウダグダグダしたギャクとちょっとだけラブコメっぽい。でも、片方が小学生だからなぁ。ロリは駄目だろう。主人公は、神社仏閣を管理する一族の神子。神子には階位があって、主人公青年は第三位の宮司。一緒に行動する従妹の小学生は、それに従う上級巫女。
「道」を塞ぐ原因を取り除こうと赴いた先には、記憶喪失の少女がいた。人間とは比べ物にならない力を感じるので、どうやら行方不明になった一位の神、姫乃守時雨尊らしいのだが……。
これ、ストーリーはともかく、独特の文体についていけるかどうかが分かれ目となる。なんだか、劣化した三浦しをんが妄想炸裂中みたいな暴走電波系の文字がひたすら垂れ流されるんですけど。最初のページから全開なので、確認して受け付けないなら止めたほうがよろしい。個人的にはOrz ああっ、2巻まで買ってしまいました。
このラノベは、巫女でゴスロリ。
★★(★)
フェッセンデンの宇宙
2007年1月17日 SF特集ISBN:4309621848 単行本 中村 融 河出書房新社 ¥1,995
史上最高の科学者フェッセンデンが実験室の中に宇宙を創った!世界中の言葉に翻訳された、名作中の名作「フェッセンデンの宇宙」をはじめ、代表作「向こうはどんなところだい?」「翼を持つ男」、切ない怪奇小説「帰ってきた男」、ショート・ショート「追放者」、さらに本邦初紹介作として「風の子供」「凶運の彗星」「太陽の炎」「夢見る者の世界」の4篇を含む、全9篇を収録。
妖精写真に出てくる少女の様な表紙だから、海外純文学か幻想文学みたいに見えるけれども、これは一応SF。まだSFだけでは食っていけないような時代だったので、多少はウィアード・テイルズ系統のゴシック・ホラーも入っていますが。ひとつ、太陽系の惑星が8個になっている作品があって笑った。これは冥王星降格を見越した訳では無く、まだ発見されてなかっただけですけど。
ハミルトンと言えば、キャプテン・フューチャーで有名。それが一種の縛りになってしまい、SF作家の列に入れてもらえないという悲劇も生じているのだが。この辺りの出来事は、本書のあとがきに詳しく載っている。
9編入った短編集であるが、やはり表題となった「フェッセンデンの宇宙」が最高。多少なりとも想像力のある人間なら、一度は感じたであろう、自分達よりも上位世界に居る何者かを感じる恐怖が描かれる。
注意
以下、ネタばれです。
フェッセンデンに呼び出されたブラッドリーは、彼が創り上げた実験宇宙を見せられる。それは極小世界でありながら、その空間の中に数多くの星々を内包した、本物と違わぬ世界として存在しているのだ。拡大してみると、数多くの文明が勃興しているのだが、フェッセンデンは実験と称して、惑星に隕石を落として世界を滅ぼしたり、二つの知的生命体が住む別々の惑星を接近させて星間戦争をさせたりするのだ。フェッセンデンが或る美しい世界をかき乱そうとした時、いたたまれなくなったブラッドリーは彼につかみかかり、事故が起こる。ブラッドリーに反撃しようとしたフェッセンデンが躓いて極小宇宙に衝突する。宇宙が崩壊する衝撃で、フェッセンデン自身も破裂して肉片へと変わる。
フェッセンデンがいなくなった後も、ブラッドリーの疑問は消えない。星空を見上げるたびに思うのだ。自分がいる世界も、さらに大きなスケールで見れば極小宇宙にすぎないのではないのか? あの天上にも我々の宇宙を興味深い実験対象としか見做さないフェッセンデンがいるのではないだろうか?
ISBN:4087747999 単行本 中島 たい子 集英社 ¥1,260
三十歳を過ぎたイラストレーターの私。仕事もちょっとうまくいかないが、「そろそろくる」ころ、むきかけのゆで玉子を流しに叩きつけたり、呼吸困難におちいりながら泣きじゃくったり、嗚咽しながら冷蔵庫を開けたり閉めたり…。ひょんなことから彼になった友人の弟と、この不快さの原因を調べながら折り合っていく。癇癪、イライラ、過食、最悪だわ…原因はPMS?そして恋のゆくえは。話題になった『漢方小説』の著者が描く体と恋。
またしても三十路女が主人公。作者自身が三十路女だから、身近で書きやすいのかねぇ? 「漢方小説」と同じようなパターンだから、ちょっと飽きそうだけど、今回はPMSに悩まされている。無論、登場人物は漢方とは別人で、全く別の話。
女性に限らず人間は、人生のある時期において、意味も無く不安定になったりしますな。受験とか就職とか結婚とか、具体的な転換点でも無いのに、妙に心のバランスが取れなくなったりしてしまう。相手の男も不安定になり、意味も無く車を走らせて旅に出てしまったりして。すぐ戻って来るけど。
ISBN:4087747433 単行本 中島 たい子 集英社 ¥1,260
みのり、31歳、独身。元カレが結婚すると知ったその日から、原因不明のふるえに襲われた。病院でも異常は見つからない。行き着いた先は漢方診療所。独特の視点を持つ東洋医学に戸惑いながらも、自分に何が起きているのか答を探していく、みのり。症状…失恋?ストレスに効くあなたのための処方箋(ストーリー)。第28回すばる文学賞受賞作。
第132回芥川賞候補作。
これ、名前で損していると思う。漢方なんて名前だと、なんだか苦そうで、どうも食指が動かない。でも、芥川賞候補にもなったし、一通り押さえる上で読まなければならないだろうと思って借りてきた。ページも少ないから、もし面白くなくてもなんとか読みきれるだろうと思っていた。
三十路、少々ガタが来て、心と体のバランスが悪くなった妙齢女性が主人公。元カレが結婚すると知った日から、謎の震えに悩まされるようになった。救急車で病院に運ばれて以来、いろんな病院に通うも西洋医学では治らず、漢方診療所に辿り着く。
予想していたのと全然違った。文章もシッカリしているし、純文学にしては物語もキッチリと描かれていて、雰囲気や文章だけで誤魔化した独りよがりな作品では無かった。芥川賞系統はキワモノが多いけど、これなら普通に読めるな。「介護入門」とは大違いだ。なんで賞を逃したのかと思ったら、この回は阿部和重がいた。ちょっとタイミングが悪かった。
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ISBN:4163228705 単行本 奥田 英朗 文藝春秋 ¥1,300
人間不信のサーカス団員、尖端恐怖症のやくざ、ノーコン病のプロ野球選手。困り果てた末に病院を訪ねてみれば…。ここはどこ?なんでこうなるの?怪作『イン・ザ・プール』から二年。トンデモ精神科医・伊良部が再び暴れ出す。
第131回直木賞受賞作。
伊良部の続編借りてきた。このトンデモ精神科医はとどまる事を知らない。さらにパワーアップしております。強引にサーカスに出入りして空中ブランコやりたがるし、というか本番までやってしまうし、ヤクザを強引に押さえ込んでまで注射打ちたがるし、道路標識にイタズラするし……。
またしても、伊良部効果により、患者は自力で治癒してしまうのである。伊良部は何にもしません。お色気看護婦が患者に注射するのを見てハァハァしているだけです。ここまでストレートに生きていけたら、人生楽しいだろうな。デブなキモメンになるのは嫌だけど。
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ISBN:4150115346 文庫 風見 潤 早川書房 ¥840
こいつは奇妙だ!風変わりな異星生物を飼うのが趣味のサイモン・クレスが見つけた新たなペット、それがサンドキングズだった。指の爪ほどの大きさで、6本の手足と、3対の小さな眼。集合意識により一団となって城砦を築き、さらには城砦同士で戦争をするほどの知能がある。しかも飼い主を神として崇拝するというのだが…ヒューゴー、ネビュラ両賞受賞の表題作の他、壮大な宇宙史を背景に描きだされた魅惑の6篇を収録。
マーティン初挑戦。七王国の玉座ではなく、あえてこれを選んでみる。表題作が気になったし。7作品入っているが、よくわからない話も多い。
「龍と十字架の話」
キリスト教の教義を巡って、異端派を排斥する話。その惑星に広まっている教義では、何故かユダが英雄で龍王となっているのだ。オールド・アースにおける歴史も書き換えられている。宗教って、遥かな未来世界でも現在と同じように、くだらない事を繰りかえしていそうで嫌だなぁ。まあ、現状から行けば、宇宙に宗教が持ち出されても、多数派となるのはキリストじゃなくてイスラムな気がしますけど。
「ビターブルーム」
ヴァンパイアがいる冬の世界で魔術師と過ごす話は、一見ファンタジーだけど、最後の最後でSFになる。魔術師の正体はソレでしたか。これは、文明圏外で遭難してしまった人々の末裔が住む世界なのだろうか?
「<蛆の館>にて」
蛆の化け物みたいな二種族が地下世界で戦っている話。これが一番訳わからない。描写も気持ち悪い。上の方へと追いやられているヤラ=ガ=ヘイと、下から上がってきたグロウン。第三の種族を自称する“肉はこび”。遥かな過去に蜘蛛や蛆を作った伝説のチェンジマスター。グロウンの世界よりもさらに下で増殖する巨大なタイショクチュウ。これは食事中に読んだら駄目ですな。
「ファスト・フレンド」
光速で飛ぶ<点滅体>、その<点滅体>を捕食する<暗黒体>。即ち、<暗黒体>は光速よりも早く飛ぶのである。<暗黒体>は人間と融合する事が出来る。融合に成功した人間は肉体的、技術的な制約から解放され、自在の星々の海を渡る事が出来るのである。但し、シンクロに失敗した場合は消滅して死んでしまうのだが。恋人と共に志願し、適格者として選ばれた男。恋人は融合に成功して宇宙の彼方へ飛んで行くのだが、男は自分の順番がまわってくる直前で、融合に失敗し破裂した女性を見て逃げ出してしまう。
「ストーン・シティ」
謎の古代遺跡がある、人類がほとんど訪れない惑星に、事実上軟禁されてしまった男が、異星人から盗みを繰り返しつつひたすら人類の宇宙船を待ち続ける話。人類文明圏を遠く離れて身動き取れなくなるのは辛そうだ。最後は異星人を殺害してしまい、誰も戻って来ない、遺跡の地下へと逃げていく。
「スターレディ」
女性が悪漢と戦う話も、いまいち掴めなかった。一人二役以上の話のようだが、誰が誰でどうなったのか、読み返してもよくわからない……。多重人格? 多重体?
「サンドキングズ」
表題作となったこれが、一番面白かった。他のと比べて単純明快で良い。知性を持ち、飼い主を神として崇拝する昆虫型の異星生物。女王みたいなやつが行動体を増殖させて砂の城を築いていく。各女王から増えた行動体は色分けされており、戦争をするのだ。ショップで買った際に、餌は十分にあげるようにと言われていたのにも関らず、戦争がみたいという理由でサンドキングズを飢えさせた男は……。
ゲド戦記 1 影との戦い
2007年1月11日 ファンタジー特集ISBN:4000280716 単行本(ソフトカバー) 清水 真砂子 岩波書店 ¥1,050
魔法使いゲドの生涯とアースシー世界の光と闇を描く壮大な物語の第1巻。不思議な力を持つ少年ゲドは、真の魔法を学ぶためローク学院に入る。進歩は早かった。得意になったゲドは、禁じられた呪文を唱えてしまう…。
悪評高き某作品の影響で予約が殺到し、なかなか読めずにいた。こんな事なら前回借りた時にきちんと読み終えるべきだったと後悔しまくる。よくやく借りられました! それにしても、予約数20とかまで行っていたのに、どうやってこなしたんだろうか。ダン・ブラウンなんて未だに予約数30とかで端から諦めておりますが、まあゲドだけでも借りられて良かったよ。
前半は暗くて面白くない。ゲドが強くなって、異界から影を呼び出してしまうあたりから面白くなるんだけど、少年期と修行期間の話が結構苦痛。最近のファンタジーみたいなご都合主義的な甘やかしは微塵も無くて、全編通して暗い内容だから、なんだかムアコックのエターナル・チャンピオン・シリーズを読んでいる時みたいに気分が滅入る。ゲドは確かに強力な魔術師ではあるが、決して万能ではなく、自らの驕りと傲慢から呼び出してしまった影に怯えなければならなくなるのだ。
竜の群れを退治するほどの力を蓄えながらも、常に名も無き影に追われるゲド。だが師匠の導きで影と向き合う事を決意し、追う側へと転じるのだ。影を追って世界の果てまで航海するゲドが手にしたのは勝利でも敗北でも無く……。
ハイスクール・ミッション!―トキメキのチャンスは一度だけ!?
2007年1月11日 このライトノベルがすごい?ISBN:4829162791 文庫 岡村 流生 富士見書房 ¥588
自由で気ままなミッション系高校、シリウス・ハイスクールに危機が迫っていた。自分好みの校風にするため、野心家の吹雪摩耶は、学園に50億円もの借金を負わせた上で校長になったのだ。その校長に、人知れず立ち向かう集団がいた!そんな時、一人の少女が入学する。多少人より転びやすいドジっ娘・夢路蘭は、年上の恋人・竹垣巽と一年ぶりの再会を夢見る新入生。しかし二人の仲を、『昼行灯クラブ』と呼ばる生徒会の、美貌の会長・乾菊奈が邪魔をする。しかも、巽は生徒会の役員に…。愛しい人は菊奈の色香に迷ったの?それならあたしが更正させなくちゃ!行動を開始した蘭は、菊奈と巽が行う、教師の携帯をすり替えたり、職員会議を盗聴したりの違法っぽいことを目の当たりにする。いったい昼行灯クラブってなんなの!?恋人との平和な学園生活は、訪れるのか!?新感覚借金返済ラブコメ・ミステリー登場。
イラストと、馬鹿っぽい副題だけみるとダメっぽいけど、意外に読めた。謎解きは無いけれども、学園を乗っ取ろうとする女詐欺師にして校長と、昼行灯クラブと揶揄される、一見やる気の無い生徒会のコン・ゲームがそれなりに面白い。ただ、続編を作る予定だったのか、決着が付いていないのが難点。一応、今回は勝利しているけれども、女詐欺師を追放しない事には、根本的な解決にはならないのだから。続編出るのか?
主役はドジっ娘だが、馬鹿ではない。意外に行動力もある。通常、ドジ属性だと要らぬ失敗で状況を悪化させるのが常であるが、この娘はミスによって思いもかけない方向へ事態が動いていくのである。怪我の功名とまでは言えずとも、ナイスドジ! と褒めてあげたいところである。
このラノベは、果敢にもコン・ゲームに挑戦してみたりして。
★★★
(続編出すなら★★★★)
ISBN:4832275569 コミック ヒロユキ 芳文社 ¥860
裏表紙でソーラがこの本を売っていたから、思わず買ってしまった。最近、同人ネタが増えてきたな。これは、ヲタを素材としながらも、内容は全然コアでもディープでも無いから、一般人でも大丈夫。いや、一般人はそもそも食指すら動かされないか……。
主な登場人物は4人。まず、絵が上手く、陵辱系エロで儲けるベレー帽の女、露理。登場人物名すらペンネームっぽくて謎だが、活動サークル名と実際のペンネームは、さらに危険。ちょっと書けない……。
その露理に感化され、小金を稼ごうと打算で活動開始した長菜なじみ(おさななじみ)。すごく適当な名前。初めて仕上げた作品が下手すぎで笑えるが、その情熱で見事にストーカーっぽい固定客を掴む。下手だからあまり売れなくて赤字。皮算用とは裏腹に、印刷代を捻出するためメイド喫茶で働き始めるという本末転倒な状況に……。
唯一の男キャラであるジャスティス。とても妙な奴だが腕だけは確か。物凄い冊数を売り切るも、原価で売るから利益無し。正体不明のロリコン。
即売会場で転倒したところをジャスティスに助けられて好きになるちっちゃい子。北野ソーラ。金髪だからハーフっぽい。子供だけど絵は上手いらしい。
この4人(+なじみのファン約1名)が繰り広げる、主にシモネタな四コママンガ。マニアネタ皆無なので、げんしけんみたいなノリを期待してはいけない。
裏表紙でソーラがこの本を売っていたから、思わず買ってしまった。最近、同人ネタが増えてきたな。これは、ヲタを素材としながらも、内容は全然コアでもディープでも無いから、一般人でも大丈夫。いや、一般人はそもそも食指すら動かされないか……。
主な登場人物は4人。まず、絵が上手く、陵辱系エロで儲けるベレー帽の女、露理。登場人物名すらペンネームっぽくて謎だが、活動サークル名と実際のペンネームは、さらに危険。ちょっと書けない……。
その露理に感化され、小金を稼ごうと打算で活動開始した長菜なじみ(おさななじみ)。すごく適当な名前。初めて仕上げた作品が下手すぎで笑えるが、その情熱で見事にストーカーっぽい固定客を掴む。下手だからあまり売れなくて赤字。皮算用とは裏腹に、印刷代を捻出するためメイド喫茶で働き始めるという本末転倒な状況に……。
唯一の男キャラであるジャスティス。とても妙な奴だが腕だけは確か。物凄い冊数を売り切るも、原価で売るから利益無し。正体不明のロリコン。
即売会場で転倒したところをジャスティスに助けられて好きになるちっちゃい子。北野ソーラ。金髪だからハーフっぽい。子供だけど絵は上手いらしい。
この4人(+なじみのファン約1名)が繰り広げる、主にシモネタな四コママンガ。マニアネタ皆無なので、げんしけんみたいなノリを期待してはいけない。
ぼくだけの☆アイドル
2007年1月8日 読書ISBN:433492509X 単行本 新堂 冬樹 光文社 ¥1,575
みーちゅんは、ぼくのもの。でも、それは二人だけの秘密なんだ―。度胸も行動力もないけれど、わりとまじめで一生懸命、かなり夢見がちな27歳・あきおくんに訪れる、絶好のチャンスと最悪のピンチ。めざせ、第2の『電車男』!絶対に無理だとわかっていても、アイドルに真剣に想いをよせたって、いいじゃない。ファンタジック・ニート青春小説。
しょこたん推薦だから読んでみたが、ヲタというよりはただのキモメンが主人公だった。何かに造詣が深いというわけでもないから、ただのダメ男君である。キモくて自意識過剰でアイドルの追っかけで妄想と現実の区別すらつかなくなる電波人間だが、ニートじゃなくて定職についている点だけは評価出来る。一応仕事はしているのだから、帯にあるファンタジック・ニート小説というのは間違っているんじゃないのか!?
ダメ主人公最大の弱点は、チャンスを生かせない事にある。何だラストのヘタレぶりは……。こういう奴は幸運の女神がいても前髪を掴めずに、一生ダメ人生を送る事だろう。本書の最後でも見事に掴み損ねているし、もはや救いようが無い。
縫製人間ヌイグルマー
2007年1月6日 読書ISBN:484011756X 単行本 大槻 ケンヂ メディアファクトリー ¥1,470
命をかけて、ぬいぐるみが君を守る!糸ほつれ、綿もはみで、布やぶれ、体もげてさえ―綿いっぱいの愛と勇気を!ぬいぐるみのヒーロー、縫製人間ヌイグルマーが、プライドと友情をかけて今、巨大な敵に立ち向かう!大槻ケンヂが描く、かわいくって残酷な長編アクションファンタジー。
やはり、元来の小説家じゃない人が書いた作品はちょっとなぁ……。少し日本語がおかしかったりするし、小説ではなくて一種のアートだと思ったほうが良いのかもしれない。地球外から来た知性体がぬいぐるみと同化して戦うのだが、内容も文体も非常にアホっぽい。なんだかすごくラノベっぽい。
地球に飛来した謎の生命体がぬいぐるみと融合。ぬいぐるみ工場の生産ライン別に異国へ。ここでは二体しか出ないから、他に生き残りがいるのかどうかは不明。一体は日本へ送られ正義の戦士に。もう一体は改造されて悪の組織に。この悪の組織がまた、マッド・サンタとかキル・ビリーとか片腕ロリータとか赤ちゃん人間とか、とっても馬鹿っぽい怪人だらけ。ひたすら戦い続けて、最後ボスは合衆国改造大統領(笑)。
これ、最後に2巻の予告をしているけど、洒落だよね? まさか本気で出すつもりじゃないだろうな。