高2の夏休み前、由紀と敦子は転入生の紫織から衝撃的な話を聞く。彼女はかつて親友の自殺を目にしたというのだ。その告白に魅せられた二人の胸にある思いが浮かぶ――「人が死ぬ瞬間を見たい」。由紀は病院へボランティアに行き、重病の少年の死を、敦子は老人ホームで手伝いをし、入居者の死を目撃しようとする。少女たちの無垢な好奇心から始まった夏が、複雑な因果の果てにむかえた衝撃の結末とは?
話題になっていたので借りようと思ったら、図書館の予約が30人待ちとかになっていて断念。忘れた頃に、本棚に戻っているところを偶然通りかかってゲット!
由紀と敦子のW主人公で、視点が切り替わりすぎるので読みにくい。名門校から転校してきた紫織に聞かされた、親友の自殺という話に魅せられる二人。人が死ぬ瞬間を見たくなった由紀と敦子は、それぞれ別行動を取るのだが、次第に両者が絡み合ってくる。
それにしても、登場人物全てが糞ばかりでウンザリして来る。まともな人間はいないのか。現実世界だけでもウンザリなのに、虚構の中でまで、人間不信になりそうな糞だらけなので、ちっともワクワクしない。
最後が最初に繋がって……。衝撃の結末といった感じはしなかったが、最初のページから、まさかのミスリードだった訳か。バッドエンドなので読後感が悪い。構成は凝っていて良かったのだが、この不快感はどうすれば良い?
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祭りの夜には、ねずみ石をさがせ。かなう願いは、ひとつだけ―。中学一年生のサトには、四年前のお祭りの記憶がない。恒例の子供向けイベント「ねずみ石さがし」の最中に、道に迷って朝まで行方しれずだったのだ。同じ夜、村ではひとつの惨殺事件が起こっていて、今でも未解決のまま。交錯する少年たちの想いが、眠っていたサトの記憶に触れたとき、事件は再び動き始める。瑞々しい青春推理長編の最新作。
表紙は良い感じだったのだが、内容が微妙だった。未解決殺人事件に絡んで、記憶喪失の少年が巻き込まれて行くのだが、失われた記憶を廻ってのドキドキ感が足りない。「ボーン・アイデンティティ」の足元にも及ばない。
母子を惨殺した犯人は、今も捕まらず何処かにいる。事件当日の記憶を失ったサトが、何かを見たかもしれないのだが……。サトの周囲にいる人間が、それぞれの思惑で動き始める。過去の事件に絡んだものと思われる新たな殺人事件まで発生するのだが、いまいち盛り上がりに欠ける。
ミスリードもストレートすぎて上手く行ってないし、犯人に辿り着くためのヒントは無いので、結末に向けて、淡々と読み進めるだけになる。題名になっているねずみ石の役割も印象が薄いし、キャラ立ちも不足気味。これなら2時間物の陳腐なサスペンスドラマでも見たほうが、まだ楽しめる。
この素材で横溝正史が書けば、相当気色悪い力作が出来そうなのになぁ。この作家は、人が死なないミステリーのほうが良い。「平台がおまちかね」の続編を読みたいのだけど。
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あかねちゃん OVER DRIVE 2
2010年2月5日 コミックひょんなことから、雨宮タカシの魂は女子高生・荻原あかねの体に入り込んでしまった。やがてタカシの中の“女”が目覚め始め…!? ついに超えた男女の壁ブチヌキコメディー第2弾!
あかねちゃん続編。空になった少女の身体に男の魂が入ってしまうというありがちストーリーだが、今回は意識不明なままの自分の身体を延命させるために、一時的に元に戻ったら、見舞いに来ていた親友がトラブルで重症。
自分は元に戻ったけど、今度は親友があかねちゃんになってしまう。さらには、あかねちゃんに片想いのイケメンまで混じって、最後の最後は三人で入れ替わり……。本物のあかねちゃんは全く戻ってこないし、話も終わっていない。
別の短編で、同じような話が収録されているのだが、少女が死んで男の身体に……。なんか、入れ替わりの性別が逆になっただけで、物凄く萎えるな。男が女になる話は可愛いのに、女が男になると、BLっぽくてひたすらキモイのは何故だろうか……。
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あかねちゃん OVER DRIVE
2010年2月5日 コミック予備校生の雨宮クンがヒョンなことであの世行き。まだ女も知らない19歳!? だが生き返ったら女の子あかねちゃん。胸のふくらみ、色っぽい下着…? ついに越えた男女の壁バクハツコメディー。
ペンネームは違うけど、いちご100%な作者の過去作品。まぁ、知らなくても絵柄を見れば判るだろうけど。主人公のあかねちゃんは、実は中の人が男! オカマとかニューハーフという意味では無くて、外見は女だけど、中に入っている魂が男。
予備校生、雨宮(男性)が、すごく馬鹿っぽい事故により頭を強打してしまう。その衝撃で魂が外に出てしまうのだが、そのままグイグイとどこかへ引っ張られて……。気がつけば、女子高生の中に入っていた。その娘は本来死ぬ予定で、すでに魂は天国へ行ってしまっているのである。
自分の身体に戻れなくなった雨宮は、仕方なく女子高生あかねちゃんとして生活するのだが……。可愛いし、家は超お金持ちだし、名門女子高校に通っているし、モテまくるという至れり尽くせりなご都合主義設定。まぁ、中身が男だから、モテまくるという設定だけは羨ましくも何とも無いのだが(笑)。予備校友達の村井君ともラブコメ要素が! 中身は両方男なんですけど(笑)。
ちなみに、雨宮本体のほうは死んでなくて、昏睡状態のまま病院で寝かされております。
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開発保留地区――10年前、街の中心部にあるその場所から理由もなく、3095人の人間が消え去った。今でも街はあたかも彼らが存在するように生活を営んでいる。しかし、10年目の今年、彼らの営みは少しずつ消えようとしていた。大切な人を失った人々が悲しみを乗り越え新たな一歩を踏み出す姿を描く。
妙な設定と、淡々とした語りはいつも通り。「失われた町」から直接繋がっている訳ではないが、残された人々を題材とした連作形式となっているので、やはり先に読んでおかないと厳しい。他作品とも微妙にリンクしている。
消え残った女性は町へ戻り、ただ歩き続けるだけの仕事をする歩行技師と出会う。消滅した図書館の一部で、未だに貸し出されている図書のデータを、残された人々に届ける職員。消えた人々によるラジオ局へのリクエスト。
原因不明の消滅現象だが、本書でその原因が明かされる。……なにその政府陰謀説は! 宇宙人グレイの仕業にされる位にガッカリした。これなら、次元の狭間に落っこちたとか、平行世界への転移とか、未来に飛ばされたりするほうがまだ許せる。
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宮崎駿監督がアンデルセンの「人魚姫」をモチーフに、舞台を今日の日本に移し、幼い子供たちの愛と冒険を描いたファンタジーアニメ。崖の上の一軒家に住む少年・宗介に助けられたさかなの子・ポニョは、人間になりたいと願うようになり…。
なんだ、ハッピーエンドで終わる人魚姫だったのか。アンチが異様に沸いているので笑った。名作とか良作ではないかもしれないけど、別に普通じゃないの? 過度に期待しすぎ。これより駄目な作品なんて腐るほどあるんだし。感動の度合いで言うと、クララが立ったりネロが疲れて眠くなるほうが、1億と2000倍は全米が泣くかもしれないけど。
しかし、人魚姫だというなら、ひまわり園にいるクミコとポニョで宗介を取り合いになるという修羅場が欲しかった(をいっ!)。元は人間だったフジモトという変な魔法使いが謎だらけなんだけど、ノーチラス号の乗組員だったって本当か!? 何が原因で人間嫌いになったのか。あと、どうやって海の女神みたいなのを口説いたのかが、今世紀最大のミステリー。
母親を名前で呼び捨てにしている点とかはどうでも良い。「母親を呼び捨てするな!」と怒っている女が産んだ息子や娘のほうが、宗介よりもゆとり脳な馬鹿に育っている気がするし。海水魚? のポニョを水道から出た水につける部分は私も気になったが、ほら、あれはきっと海鮮市場にあるような海水用の水道なんだ(笑)。
人間になったポニョを誰が養育するんだ? とかいう生臭い批判まであったけど、母親二人で長時間の話し合いをしていたじゃない。きっと、あの時に養育費の話を……。母親が女神なんだから、真珠とか珊瑚とか、大航海時代時代に沈没した海賊船の金銀財宝とか、アトランティスの遺産とか、いろいろ所有して金持ちな筈だ。全地球の70%を所有する超大富豪だぞ!?
ポニョも、今はあんな外見だけど、成長すれば、きっと女神様みたいなハリウッド女優級の美女になるんだから、宗介の嫁候補として育ててやれよ。フジモト似に成長しちゃった場合はガッカリだけど。声優は本職を使えという意見には賛同したい。
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