「悲しみのエキスパート」神田憂とカイズさんとウツイくん。女×男×男の妄想ジョイライド7篇。
鬱病でキティさん状態な主人公、神田憂が精神科に行こうとして、いつも行けずにグダグダになる。最初は、病院に行く途中で求人募集の張り紙を見てしまい、何故か飛び込みでバーに採用されてしまう。いきなりバーテンダーになるものの、カイズさんに触られまくり、ウツイくんにはその姿を覗き見されるという、いつものエロ風味は本作でも健在。
ただの短編集かと思ったら、全部の話が同じ主人公と登場人物。神田憂が精神科に行こうとするのに、途中でタクシーに乗っていたり、服を買っていたり、家電製品を買っていたり、ピアス穴を明けられていたり、胃や耳がおかしくなって別の病院巡りをしていたりと、いつも横道に逸れてしまい、鬱病なのに精神科にたどり着く事が出来ない。
変なのは、出て来るカイズさんとウツイ君の役割が毎回違って、通りすがりの相手だったり、家電屋の従業員だったり、彼氏だったり、ヤブ医者だったりと、変化しまくるという点。
という事は、最初のバーテンダーから最後まで、全部が神田憂の脳内妄想であって、カイズもウツイも脳内登場人物なのか!? そして、カイズ=快で、ウツイ=鬱、なのかね?
キティ女が主人公なのはいつも通りだけど、脳内妄想全開で暴走しまくる分、いままでの作品よりは楽しめた。本当は全部が脳内妄想なのだろうけど、登場人物が同じなのに、毎回役割が違っているから、パラレルワールド展開っぽいし。
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女の子を可愛がるだけの男の子と、ずっと一緒にいられるの?気難しい男の子は大好きだけど…。可愛がられるだけじゃ、満足できない!女子の道は、けわしい!!「新しい女の子」の生き方を探る、バカ可愛い、高校小説。
うわー、ちょっと良くなって来たかと思ったのに、また女子高生が頑張って書いた感じのネット小説クオリティに戻ってるよ……。
ビー玉がいきなり擬人化し、女の子みたいになってしまう。そして持ち主に恋するのだが、あり得ない設定はともかく、リアリティが全く感じられない。なんで周囲の人間が、いきなり非日常的すぎる状況をアッサリと受け入れてしまうのか。違和感たっぷりである。
別に、あり得ない設定だと、必ずうそ臭くなるという訳でもなく、例えば松浦理英子の「親指Pの修行時代」なんかだと、足の親指がおちんちんになるという、これまたあり得ない設定なのだけど、妙に現実感がある。
なので、別にビー玉が女の子でも、書きようによっては面白い事になったかもしれないのに、その奇抜設定が上手く生かされていない。ラスト・シーン以外は、別にビー玉じゃなくても、隣に住んでいる普通の女の子とかで代用出来るんじゃないの?
女の子が爆弾とか、パソコンとか、携帯電話とか、呪いの人形とか、いろいろあるのだから、ビー玉なのは文句無いのだけど……。とりあえず、冒頭付近の、会話文だけで引っ張っている部分が特に、女子高生が書いたネット小説クオリティで酷い。そこを乗り越えられれば、なんとか読めるレベルかも。
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体、言葉、季節、旅、本、日常など、あれこれ。「乳と卵」「ヘヴン」の川上未映子が放つ、魅惑のエッセイ集。
この人の悪文は、意図的にやっているのかと思ったけど、もしかして素なのか? 芥川系統の小説はともかく、このエッセイでも、ダラダラと一文が長い。別に、喋った事をそのまま文章化したような長文じゃなくても良い気がするのだが。
内容的にも、様々な場所で書いた文章を一冊に仕上げただけで、纏りが無い。一般人と比べて、多少は高い位置にいるものの、話題の人によるチラシの裏を超えておらず、群ようこや原田宗典あたりと比べ、エンタメ性が乏しい。
これは、ファンしか読まなくて良いかもね。
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小学校4年生の結仁は魔法使いになりたいと真剣に願うちょっと変わった女の子。放課後は毎日、幼なじみの史人、葵と魔法使いになるための特訓をしていた。合い言葉は、「3人の願いが叶うまで魔法使いクラブをやめてはいけない」。しかしある日、七夕の短冊にその願いを書いたことがきっかけで一瞬のうちに、クラスの笑い物になってしまう。一人だけ違う世界にはじきとばされたような、さみしくて怖い気持ちに襲われる。8年後、高校3年生になった結仁はまだ、「世界は突然自分を裏切り、はじきだす」という呪いのような記憶にしばられて生きていた―。
題名と見た目で児童書なのかと思ったら、違った。始まりは小学生なので、やや児童書っぽい感じだけど、そこから中学、高校と成長して行くので、最後のほうはドロドロした感じになる。
この一作で、喪女主人公のショボい恋愛物から脱却して、女流の枠からも飛び出たと思う。ならば、芥川賞も完全にフシアナさんという訳でも無いのかな?
魔女になりたいという願いを、七夕イベントで素直に書いてしまったがために、ハブられてしまう結仁。イジメ小説になったら面白くないなぁと思ったが、中学、高校と進んでいくので、そう酷い事にはならなかった。が、この事件がトラウマ化したのか、主人公の性格が斜に構えた感じで、どんどん荒んでくるのが、なんだかなぁ……。
家族も上手く行かず、人間関係も壊れていくばかりで、一緒に魔法使いクラブを結成した三人もバラバラになり、決別してしまう。魔法は魔法でも、夢や希望のあるモノではなく、どんどん黒くなって行き、暗黒属性が入ったまま終わってしまう。
最後の最後が尻切れトンボな感じで終わってしまったのが残念。純文学みたいなブツ切りではなく、エンタメ系のきちんとした結末で終わって欲しかった。
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21歳の中国人留学生・虹智は、日本人と結婚した姉のきびしい監督のもと、高級すき焼き屋でアルバイトをはじめる。紐だらけの拘束着みたいな着物。リズムが肝心な肉の焼き方。わけありの常連さん。スマートな店長…。留学生仲間の韓国人・賢哲に猛攻勢をかけられても、虹智は、ただただ店長にひかれてゆく。すき焼き屋でくりひろげられる老若男女の人間模様を、おおらかな筆で描きだす、心あたたまる物語。
自国での受験に失敗し、留学生として日本で学ぶ事になった中国人留学生・虹智の物語。今や、中国のほうが受験も厳しそうだよなぁ。日本なんて、少子化政策(あんなの対策じゃないです絶対に!)の素晴らしい効果によって全入時代となったので、お金さえあれば何とでもなるからね。今のMARCH関関同立=昔の日東駒専産近甲龍クオリティとか、信じられん状態になっているし。
まあ、没落国家の現状は置いておくとして。この虹智さん、どうやらあまり勉強は出来ないみたい。しかし、日本の大学なんて鼻クソほじっていても卒業出来てしまうのだから、無問題。
焼肉屋でアルバイトをしようとしたところ、姉に反対されて、高級すき焼き屋で働く事になってしまう。虹智という名前が男っぽいという理由で、ココちゃんと呼ばれるようになってしまう。高級店だけに、客相手のトラブルも無く、無難な感じ。金持ちが常に上客とは限らないが、やはり安い店だと変なのが多いからね。
虹智は、すき焼き屋店長に惹かれていくのだが、韓国からの留学生、賢哲から猛烈にアタックされ、焼肉vsすき焼きの間で心が揺れ動く。
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YouTube革命(ソフトバンク新書029)
2010年1月7日 読書テレビCMのビジネスモデルが崩壊の予兆を見せ始めているといわれる。ユーチューブ上で映像が「検索」され、口コミ感覚で「共有」される時代には広告マーケティングにも、従来とはまったく異なるユーザー重視のアプローチが必要だ。今まさに起こりつつあるこの革命で誰が笑い、誰が泣くことになるか? 『Web2.0でビジネスが変わる』著者がメディアのパラダイムシフトを読み解く。
著作権侵害に抵触するようなシステムやビジネスモデルは、いつも潰されて来たので、この手の動画共有サイトも、そのうち圧力をかけられて終わると思っていたが、Youtubeは上手く生き延びる事が出来たようだ。
急拡大し、市場や消費者に対する影響力が増大した事もあるが、やはり米国メディア陣営の方針転換による部分も大きいだろう。単に自らの権益を侵害する敵対者としてではなく、動画共有モデルにおける潜在的な可能性を見抜いて取り込むあたり、やはり米国の経営陣はバランス感覚が優れている。
さて、馬鹿みたいに騒いで三万件も削除依頼を出した、何処かの島国の既得権益層は、どうなる事やら。ここまでの動向を見るかぎり、特権に保護されているだけのウマシカさんに見えるのだけど。
著作権侵害を放置して良いという訳ではないが、未だに視聴率という亡霊に囚われて、目の前にあるニーズやウォンツを取りこぼしている現状、あまり賢いとは思えない。
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