ゲノム解読がもたらす未来(洋泉社新書027)
2009年10月31日 読書人類が「遺伝子の奴隷」から解放される日が見えてきた! 遺伝子科学の歴史とゲノム解読計画をわかりやすく解説し、ポスト・ゲノム時代を展望する、「ゲノム」入門書。
洋泉社新書は、自分の主観や主張を垂れ流しただけの、チラシの裏的な酷いものが多いのだが、これは結構出来が良い。
生物の設計図とも言える遺伝子解析は、医療にも役立つだろうが、まだ不完全な解析状態なのに、バイオ関連企業によって特許申請が行われ、囲い込まれて行くのは不味いと思う。何で、人の体に本来備わっているものを治療するのに、欧米企業に特許使用料を払わなければならないのか。天下り先等、しょうもないところばかりに無駄金を費やし、ゲノム競争で欧米に抜かされた厚生労働省は大馬鹿者である。
それにしても、同性愛遺伝子や自殺遺伝子が発見されているのだから、物議を醸した殺人遺伝子だって、普通に存在するのだろう。天才の子はやはり天才だし、キチガイからは……、げふんげふん。
それにしても、生まれる前から優劣が決まっているというのは嫌な話だよなぁ。自殺遺伝子なんてもらっても嬉しくないけど、絶対音感遺伝子みたいに有用なのが入っていたら、やはり人生において有利になるしね。
幸運遺伝子とかもあるんじゃないのか!? どうやら我がゲノムには幸運遺伝子が欠落しているようだOrz
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この思想家のどこを読むのか(洋泉社新書025)
2009年10月30日 読書思想を論じるとは何か?とりだすべきものとは何か?重要なことは、思想家なり知識人の片言隻句をとりだすことではなく発語された場所と息づかい、表現された固有の文体をともに見据えて、その意味を点検し現在によみがえらせることである。近代を代表する八名の思想家・知識人にいま思想・論壇の第一線にある学者、評論家が現在のテーマから発して、それぞれの問題意識と交差し避けてとおれない固有の問題を発見する、単なる対話を超えて切り結ぶ白熱の日本の思想家=論。
思想家を読むと言っても、西洋の人物ではなく、明治から近年までの日本人ばかり。福沢諭吉、内村鑑三、柳田国男、西田幾多郎、小林秀雄、三島由紀夫、吉田茂、丸山真男の8人。
思想家というより、ただの知識人だったり学者だったり作家だったりする人だらけなので、哲学者系統のものを予想していると、斜め下方向で驚く。内容はそれなりに硬くて真面目なのだけど、吉田茂まで入っていて、チョイスに関してはよく分らない。
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「勝ち抜く大人」の勉強法(洋泉社新書024)
2009年10月30日 読書二十一世紀を生き抜くにはどのような勉強法が必要か?今必要とされるのは、単に知識情報を仕入れるだけではなく、その知識の中に巧みに織り込まれた情報操作にだまされないかしこさを身につける勉強法である。気鋭の臨床社会心理学者で“勉強法の達人”が「だまされやすいバカ」の道を歩むことをすすめる暗記一辺倒の勉強からうそ、ごまかしに引っかからない「したたか系」の養成をめざした今もっとも旬な勉強法。
勉強法という事にはなっているけれども、よくあるハウツー勉強本だと思うと、きっと期待を裏切られる。小手先のテクニックではなくて、本当に自分で物事を考えられるようになるための本である。
自分で物事を考えない、詰め込み教育の弊害も指摘しているけれども、今や、ゆとり教育という素晴らしい愚民化政策の後遺症で、詰め込みすらされていない、ただの馬鹿だらけですからね(笑)。
詰め込みは良くないけれども、少なくとも知識の引き出しに何も入っていなければ、自分で何も考えられないのは明らか。知識を広げる方法について、様々な方法が書かれているけれども、魔法みたいなやり方は無い。語学にしても、地道な努力をしてスキル・アップしていくしかないのだろう。
勉強のやり方を間違えると、いくら頑張っても努力ではなく、たんなる徒労で終わってしまうので、方向を間違えないためにも、一読する価値はあると思う。
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日本人はなぜナメられるのか(洋泉社新書022)
2009年10月30日 読書日本人は「流されやすい国民性」を変革できるか。外をみれば海外旅行でバカにされ、国際貢献の名の下にカネをムシリとられるだけで何の尊敬も得られない。一方、内をみると金融危機から政治の混迷にいたるごまかしにいっこうに怒らず、選挙ではしがらみで与党に投票する。だまされやすく、戦略思考ゼロの日本人はどこへ行くのか?本書では、ごまかしの背後にある日本人のタテマエとホンネの心理構造に分け入り、「わが心の内なる矛盾、葛藤ぼかし」を克服する具体的方法を提言する。気鋭の臨床社会心理学者が問う従来の自己愛型・自虐型を排した新しい日本人論。
またしても題名が……。どうやら、妙な題名は編集部が決めているようだ。洋泉社と比べると、「該当」が読めない馬鹿な子が混じっていても、やはりK談社のほうがセンスあるよね!?
過激な題名だけど、中身もそのまま。もう少しオブラートして書けば良いのに、主観的かつ感情的でここまで貶されるとウンザリしてくる。日本人がいかに駄目か、ひたすら書かれている。
確かに全体としてみれば駄目すぎるかもしれないけど、これは欧米と比べて日本人が馬鹿だというよりは、馬鹿が上のほうまで上がって行ける社会構造に問題があるような気がするんだけど。歴代首相を見ると、ほとんどまともな奴がいないので、馬鹿の構造がよく分ると思う。
最後のほうで力説している武装中立については如何なものか。否定はしないけど、具体的な案も無く唱えるだけでは、「世界平和」とか「美しい国」とかと同じで、画餅にすぎない。左翼が唱える非武装中立よりは遥かにマシではあるけれども、現状の日本では夢物語にすぎないと思う。今までダム工事すら止められなかった国民に、いきなり非武装中立とか言われても(苦笑)。
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地名の博物史(PHP新書026)
2009年10月29日 読書地名は、わたしたちの祖先が生み出し、育て、数百年、千数百年にわたって守りつづけてきた貴重な「文化財」である。本書では地名の表記用字に着目し、漢字表記に使われる事物を用いて地名を分類・解説するというユニークな試みを行う。「獣」「身体」「位置」「数」の用字を読み解くなかから、それぞれの地域の豊かな歴史が見えてくる一冊である。
獣編から始まり、身体、位置、数と四編に分けられている。それぞれ、興味深い由来や説が書かれている。位置編では、東西南北のうち圧倒的多数なのが東であり、市町村で西町や南村は無いそうな。(もっと小さな区分で町内における呼称は対象にしていない点、注意。)そして、東はアズマと呼ばれるが、征服されるべき地としての東方から来ており、大和朝廷による東征とも絡んで来るようである。
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キーワードでわかる最新・心理学(洋泉社新書021)
2009年10月29日 読書ニュースになった用語で心理学がわかる―理解しがたい少年犯罪、カルト事件が多発している。そこに登場する、わかったようでわからない「言葉」の数々。心理学はこころの学問。だから社会や文化、事件の底にひそむ人のこころのありようを解き明かすヒントがある。正確な用語解説と現実の出来事をリンクさせ、迷宮化した現代ニッポンを読み解く、決定版“こころのキーワード事典”。
2000年に発行されているので、今でも最新なのかどうかは分らないが、とりあえず古びた内容ではない。キチガイによる事件の増加とともに、報じられるようになってきた心理学の専門用語について、具体例も交えながら分りやすく書かれている。
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IT革命?そんなものはない(洋泉社新書020)
2009年10月29日 読書IT革命の金メッキを剥がせ!ヴァーチャル・モールはもう死んだ。eコマースはゴミ同然。ITを導入すると生産生が下がる。インターネットは役に立たない。ITがアメリカの好況を支えているわけではない―バラ色の夢をまき散らしてきた理論の大ウソを暴き、その危険性にはじめて言及した警世の書。
胡散臭い題名で、いかにも洋泉社新書クオリティを代表しそうな名著……、じゃなくて迷著であるが、よく見たらこれは「コンピュータはそんなにエライのか」で予測を外しまくりんぐな人じゃないか(笑)。もう一人も、「経済再生は日本流でいこう」で予測外しまくりんぐな人だし(笑)。
今回は、予測外しコンビだから、二乗倍に酷い。いや、凄い! ヴァーチャル・モールは死んだとか、eコマースはゴミだとか、ITを導入すると生産性が下がるとか、インターネットは役に立たないとか、「バラ色の理論の大ウソを暴き」と豪語する、超大嘘吐きな一冊である。
ここまで豪快に、尽く外しまくると、もはや意図的にやったとしか思えない。本当は、狙って全部外したんでしょ!? 強烈すぎて、吉本新喜劇よりも笑える。ブラックな意味で。
確かに全部当たってるよね。ヴァーチャル・モールは死んで、楽天なんて人が歩いてないし、eコマースはゴミだから、ゴミ好きな人がたくさんいるし、ITを導入すると生産性が下がるとか嘆いている無能な社長も何処かにいるし、デジタルコンテンツにはお金を払わないという予測通り、ダウンロード系のビジネスなんて無いし。わざわざ動画見るためにプレミアム会員になったりする人だっていないし。ヤフーとかツタヤ・ディスカスなんかも、人が歩いてないしね。Amazonなんかでも、誰か歩いている姿なんて見た事ないぉ(笑)。
インターネットは役に立たないので、辞書や図書館で調べると数日しかかからない事でも、グーグル先生に尋ねると30秒もかかったりするしさ。自分で調べたらたったの数日しかかからないのに! 新刊情報や蔵書の管理とかも、手書きでやると筋肉がついて良い運動になるのに、メディアマーカーとか新刊ネットに登録しちゃうと、外出しても携帯から見られるので親指の運動にしかならないもんね(笑)。
柳沢賢一郎と東谷暁の二人からは、ノセタラダマスを超える才能を感じた。(注意:ノストラダムスではございませぬ。)
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わたしを認めよ!(洋泉社新書018)
2009年10月28日 読書それでもわたしが生きる意味とはなにか?わたしたちが世界のただひとりからも「理解されたり、認められたり、必要とされたり」しないとき、自分が生きている意味を失ってしまう―。古典的承認(家族、性、社会)、現在的承認(金、「セックス」、「自己」)、反承認(「自分」)など承認のかたちの三層を踏まえ、この「承認」への欲望をいかに自分の生に据えなおすことができるかを指し示す。他人の毀誉褒貶に翻弄されない自己承認の道を語る覚悟の書。
人は他人からの承認無しには生きられないという事を、孤独や、家族承認、社会承認など、様々な点から論じるのだが、真面目に考えているのに、なんとなく駄目な中年がブツブツ言っているだけに思えてきて仕方が無いのは何でだろう。
文体というか、書き方がどことなく自分の事を言っているように感じられるからか!? 別に、わたし=作者という訳ではなくて、一般的な物事を論じているのだろうけど。
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時代を読み解くビジネス用語事典(洋泉社新書017)
2009年10月28日 読書変革の大波にたじろがないために―新手法で革新が進む企業経営、新しい仕組みで強化される経営制度、変わる株式市場、激変する金融システム、会計ビッグバン、押し寄せるIT革命、労働・雇用環境をめぐる変化、そして企業をめぐる新しい法律など―変化の大波が次々に押し寄せてビジネスマンをとまどわせている。本書は、最新のビジネス用語を通して、変化や改革が自分とどう関わるのかを知るための便利な道具箱だ。
聞いた事はあるし、なんとなく分っているつもりなのだけど、具体的に説明してみろと言われると躊躇してしまう、最近よく聞くビジネス用語について。
数多くの用語についてごく少量の文章がついているような、通常の事典ではない。各用語について4~5ページほど費やして、図や表も使いつつ、タップリと説明しているので、非常に分りやすい。
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人権を疑え!(洋泉社新書016)
2009年10月28日 読書なぜ我々は「人権」という美名の下に拝跪してしまうのか?世に人を黙らせる言葉がある。平和、民主主義、そして人権…。だが、それらははたして本当に正しいものなのか?巷に横行する愚昧な言論を嗤い、あらゆるタブーを排し、真実を口にしよう。「人権」は、裸の王様に過ぎない、と。二十世紀最大の迷信「人権」に真っ正面から挑む、「人権論の再構成」の試み。
「人権」の二文字を掲げれば無敵モードと化す現状に異を唱える。鵜呑みにせず、少し考えてみないかというスタンスの書であって、別に人権を否定する内容ではないので、その点は誤解してはいけない。
人権原理主義者による盲従と強制は、不当な圧力にも思える。そこで思考を放棄してしまえば、そもそも人権とは何ぞや? という問いに答えられなくなってしまうからである。単純に人権とは言っても、その定義は厳密に決まっているのではなく、国家や体制により異なる。
人権だけが一人歩きしてしまい、キチガイの人権を国家が保障し、被害者は死してなお無視、あるいは蹂躙され続けるというのは如何なものか。キチガイの側についた悪徳弁護士が、嘘八百で圧力をかけているが、この手の輩は滅びれば良いと思う。
左方向の人々が全員ボイコットしてしまったので、右向きに偏ってしまったのは仕方が無いだろう。それにしても、人権に関しては、キチガイ側の弁護士といい、光市母子殺人事件に対して斜め下方向に批判する奴といい、左方向の奴らのほうが遥かに胡散臭くて危ない。
「キチガイ殺人犯も人間です。私達はキチガイ悪魔でも人権を守ります。殺人鬼でもいいじゃないにんげんだもの! 殺人鬼の人権を守れ、死刑反対絶対反対! え!? 被害者と遺族? 死体になんて人権なんて無いザマス!!」
つまり、こういう事ですか? わかりません。キチガイばかり応援する奴らには反吐が出る。同じキチガイ仲間だから守ってあげてるの?
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歴史と出会う(洋泉社新書007)
2009年10月27日 読書戦後日本の歴史学が生んだ泰斗、網野善彦の仕事は、左翼運動の挫折を乗り越えるための厖大な読書量と、さまざまな人々との出会いから生まれた。その成果は歴史研究の枠をはるかに凌駕してベストセラーを生み出し、さらにその影響力は文学や映像の世界にまで拡がっている。読者と同じ目線で歴史を学び、研究することの愉しさを教えてくれる一冊。
なんかカバーが大きくて何ミリかはみ出る。と思ったら、本体のほうが通常よりも小さくなっているのか。おい! 洋泉社は、新書の大きさすら、まともに揃えられないのか! 何でこの本だけ小さいの? これって不良品?
歴史家による人生観や歴史観。外見が不良品っぽかったのが残念だけど、中身としては通常の洋泉社クオリティよりも上方向となっていた。
歴史の真実はひとつだが、全てが正確に記録されている訳ではなく、為政者によるフィルターも相当かかっているので、学校で教えられたり、常識として信じられている内容は嘘かもしれない。文部科学省に毒された場所では決して教えてくれない視点で歴史を捉えているのは、なかなか新鮮である。
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世界中の人間には、それぞれに一日だけ、すべての願いが叶う日がある。それが、サービスデー。神様が与えてくれた、特別な一日。本来は教えてもらえないその日を、思いがけず知ることになったら。直木賞作家の幸運を呼ぶ小説。
店舗のサービスデーかと思ったら、高位次元から贈られる人生のサービスデーだった。世界中の誰にでも、願いが叶うサービスデーが一日だけ用意されているという内容。普通は、当事者にその事は知らされず、本人が気づかないうちにサービスデーが終わってしまうのだが、主人公の場合、女悪魔が出てきて秘密を暴露してしまうのである。
嫁は太り、娘は気難しい年頃で、自宅は会社から遠く離れ、会社では抜かされた後輩上司からのリストラ勧告、部下はライバル会社に取引先を奪われそうにと、とんでもない状態なのだが、サービスデー効果で強引に物事が逆転して行く。しかし、嫌な上司が出張する際に、飛行機が落ちればいいのにと願ってしまった事により……。
ちなみにこのサービスデー、公平に与えられるのではなくて、人によっては生後3日後とか、死亡確定の2日前だったりするという意地の悪さ。どちらにしても、まともに願いが叶う筈もない。自暴自棄になって世界滅亡を願っても、同じ日に何千人もサービスデーとなっているので、相殺されてしまうという、微妙に使えないモノなのである。
他の短編は、他人の不幸を肴に幸せを味わうという悪趣味な「東京しあわせクラブ」、手だけの幽霊が出てくる「あおぞら怪談」、兄を見返してやろうとザリガニと格闘する子供の「気合入門」、死後の世界へ片足突っ込んだ女性の「蒼い岸辺にて」。
死後の世界ネタは、王道な展開と着地になっているけれども、実際はそう上手く行かないのが人生。人により、当たりがたくさん入っている人生もあれば、ハズレばかりの人生もある。生きていればそのうちバランスが取れて良い事も訪れるというのは、単なる都市伝説だと思う。不幸と幸せもお金と似ていて、淋しがりやだから同じ場所に集まるものである。
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人や物の「記憶」を読み取れるという不思議な力をもった姉の鈴音と、お転婆で姉想いの妹ワッコ。固い絆で結ばれた二人の前に現れた謎の女は、鈴音と同じ力を悪用して他人の過去を暴き立てていた。女の名は御堂吹雪―その冷たい怒りと憎しみに満ちたまなざしが鈴音に向けられて…。今は遠い昭和30年代を舞台に、人の優しさと生きる哀しみをノスタルジックに描く、昭和事件簿「わくらば」シリーズ第2弾。
「わくらば日記」の続編。これがシリーズ化するとは思わなかった。物から過去を読み取れる姉を持つ、妹のワッコちゃん視点で描かれる。しかし全てが過去を思い出す形式となっており、実際にはワッコちゃんも老齢だし、姉は夭逝しているのが悲しい。
前作では、遺留品から殺人事件を解決したりしたのだが、その能力がパワーアップし続けている感じである。やはりこの能力の酷使がが原因で、命を縮めてしまうのだろうか。宇宙塵から地球創世の姿すら視る事が出来るので、よくあるサイコメトラーとは桁違いなのだが、今回はこの世の外側まで視てしまう!
本作では、同じ能力を持つ薔薇姫が登場するのだが、敵対者となるのかと思いきや、中途半端な存在のまま進展せず。姉との関わりも謎のままだし、あまり絡んで来ないのがもどかしい。きっと、第三弾が出てくるのだろうけど、このままでは消化不良状態である。
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化学物質は警告する(洋泉社新書015)
2009年10月26日 読書当初、多くの化学物質は、人類の生活を豊かにする面が強調され、消毒薬や殺虫剤などの原料として広く使われてきた。それらは一方で、化学兵器の生産や環境破壊を引き起こした。だが、二〇世紀末に突如として出現した内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)は、人類の将来を破壊する“時限爆弾”になってしまった。近代化学の歴史と失敗の教訓から、人類が生存するための方途を展望する。
豊かさの代償として、環境や生態系を破壊する化学物質について。歴史的な経緯も踏まえて論じている。有害だから使用を控えようという訳にもいかず、しわ寄せは将来へ。現代文明に深く食い込んでしまった病理だけに、たやすく解決出来ない暗部になっているなぁ。
ヒ素、窒素、塩素、青酸、リン、水銀、PCB・ダイオキシン・フロン、環境ホルモンと、8章に分けられている。どんな影響が出てくるのか予想出来ない内分泌攪乱物質が、特に怖い。
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ダムと日本(岩波新書新赤版716)
2009年10月26日 読書「治水」「利水」の名の下に、日本列島中の川を縊って建設されてきた二七〇〇のダム。今やまったく不要になったにもかかわらず、建設計画はまだ五〇〇以上もある。政・官・財の利権がらみで一向に見直されない公共事業に、いま市民たちがNO!の声をあげ始めた。長良川、吉野川など日本各地の河川や、欧米の潮流を伝える。
生活用水の確保等も必要なので、ダムがひとつも要らないという訳でもないのだろうが、この国のダム行政は酷い。先進国では、環境破壊などによる弊害のほうが大きく、撤去すら始まっているというのに、日本では悪しき自民党政権が追い落とされるまで、利権の温床となって来た。
本当に必要だから造るのならばまだしも、国土交通省が税金をばら撒き、天下り先を確保し、土建屋だけが儲かり、自民党に票と金が流れるという腐敗構造。ばら撒かれた補償金も、その大半は利権にたかる寄生虫に掠め取られ、地元で生活している人々にはほとんど回っていない。みんなで寄ってたかって税金に群がり、国も山河も食い物にし、その結果が借金860兆という悪夢である。
米国でもダム・マフィアが暗躍していた時期はあったようだが、その手の輩は市民の力によって、選挙で追い落とされて行った。日本もあと何年かで変わるだろうと、筆者がダムの運用部長に言われているが、この国は何も変わらなかった。やはり、民度の差なんだろうなぁ。すぐ欧米の真似をしたがるのに、何でダム行政は真似しないの?
ようやく自民党を追い落とし、無駄を削ごうと動き始めてみれば、相変わらず「自民党が約束したのだから、ダムを造れ、道を造れ、建物を造れ」。860兆円も借金を抱えた状態で、自分の事しか考えていない奴だらけで辟易する。じゃあ消費税が30%とかに増えても文句言わないんだよね!?
親の失敗によってご飯も食べられず、夏休みは給食が無いのでガリガリに痩せたり、家まで失いダンボールに住んで、義務教育すら受けられない子供達がいるというのに! ここは何処の失敗国家ですか? 先進国とか豪語するなら、ダムやハコモノ造るより先に、まず義務教育くらいは受けさせてやれよ。もはや義務になってないじゃないか(苦笑)。
地方の雇用促進のためと賛成している人がいるけど、公共投資という名目で工事をしても、それにかかる費用の大半は材料費に充てられ、セメントや鉄筋コンクリに化けてしまう。ほとんど人件費にならないのだから、効果なんて限られている。雇用促進なら、その費用をそのまま人件費に充てられる分野に回したほうが、遥かに効率的なのだが……。きっと、雇用面で未だに賛成している人は、天下り先を確保したい官僚か土建屋かウマシカさんに違いない。
それを造ったら、国家にとって、環境にとって、どういうメリットとデメリットがあるの? それは造る方がプラスになるの? おらが村のためだけのメリットは誰も聞いてないので、「約束だから造れ、何が何でも造れ」と、某国の人々みたいなキレ方をするのは止めて下さいね(笑)。
マズローの欲求段階説にある、下側の欲求から埋めて行くのが筋なんじゃないのか? どう考えても、オラが村のためになるダムよりも、今日のご飯が食べられない小学生を救済するほうが先だと思うのだが。ダムや道路を造るお金があるのに、義務教育を受けさせてもらえず、最底辺である生理的欲求すら叶えられない日本の子供達に、全米が泣いた!
造れ造れと五月蝿い奴らは、貧困国レベルまで生活環境が落ちてしまった子供達を見殺しにしてでも造るだけのメリットを示すべきだろう。オラが村の事しか考えていない奴らを見ると反吐が出る。
ダムダムダムダムと言い続けると、いつの間にか言葉がムダに変わるという不思議。ダムダム、ダムダム五月蝿い奴らよ、子供を見殺しにしてまでダムが必要な理由を、ちゃんと納得出来る様に説明してみて下さい。
どせ無駄金垂れ流す事になるのならば、普通のダムじゃなくて、ガンダムでも造ったほうが遥かにマシである。
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やっぱり罠にはまった。そんな気がする。ふとした光景から人生の可笑しさを巧妙にとらえる森絵都マジック。たとえばドバイのホテルで、たとえばスーパーマーケットで、たとえば草野球のグラウンドで、たとえばある街角で…人生の機微をユーモラスに描きだすとっておきの11篇。
だから何? と言いたくなるようなどうでも良い話は比較的少ないものの、一冊で11篇も入っているので、それぞれの分量が少なすぎて物足りない。ちなみに、表題作は少年野球のコーチが架空の球を追わせようとするが、欽ちゃん走りになってしまうという、どうでも良い話だった。とりあえず表題作はイマイチ。
「銀座か、あるいは新宿か」は、不快感を覚えるのだが、とりあえず印象には残った。三十路後半女性が銀座に集まって飲むのだが、銀座か新宿かでグダグダと文句を言い合う話である。銀座を選んでおいて、料理や値段に文句をつけているけど「はあ? あんたって馬鹿ぁ?」と、某アスカさんに罵倒されて然るべき人々である。
銀座は土地が高いのだから、テナント料も高く、料理の値段が高いのは当たり前。安くて美味いものが喰いたければ、他の所へ行けと小一時間……。しかも、店の中で文句垂れているのが最低である。店にだけでなく、他の客にも失礼である。最近、こういうレベルの低いオバタリアンって多いけどね。
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マリア様がみてる いとしき歳月(後編)
2009年10月25日 このライトノベルがすごい?卒業式まであと二日。どうしよう、もうすぐ薔薇さまたちが卒業しちゃう!急に寂しさが押し寄せてきた祐巳。なのに紅薔薇さまったら、遺言めいた言動なんかして寂しさに追い打ちをかけるのだった。…『will』ついに来てしまった卒業式。しかし主役たちは実感が全然なくて。…『いつしか年も』他に、聖と志摩子の出会いから姉妹の契りまでを描いた『片手だけつないで』も同時収録。
後編という事になっているが、纏った大きな流れの物語ではなくて、卒業前風景を描いた短編の連なり。三年生をメインにした物語で、小さい頃に起こった喧嘩話や、それぞれの出会いについて。藤堂志摩子が白薔薇のつぼみになるまでにいきさつも明かされる。
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マリア様がみてる いとしき歳月(前編)
2009年10月25日 このライトノベルがすごい?卒業を直前に控えたこの時期、黄薔薇さまの行動がおかしい。どうやら、複数の男性とつき合っているらしいのだ。―って、証拠のツーショット写真を手渡されても。これをどうしろっていうの、蔦子さん。ほとほと困った祐巳の前に現れた黄薔薇さまは、黄薔薇革命の頃を彷彿させる、気怠い雰囲気をもっていて…。『黄薔薇まっしぐら』の他に2編を収録。
黄薔薇様が異性とデートしている現場を目撃されてしまい、騒動になる。しかも、相手が複数いるらしく、異性の数は全部で5人も(笑)。かくして、不順異性交遊疑惑が浮上してしまうのだが、相手は1人を除いて……。
蕾と蕾妹に焦点が当たりすぎて、いまいちメインキャラとしての出番が少ない三年生達だが、この前後編では成分多め。しかし、間もなく卒業していなくなるのだけど。最後に、黄薔薇様の出会い編あり。こんな若くて綺麗な相手から、普通の男が告られる確率なんて、宝くじで3億円当てるより低いと思うのだが。
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マリア様がみてる ウァレンティーヌスの贈り物(後編)
2009年10月24日 このライトノベルがすごい?バレンタインの「びっくりチョコレート」の箱が爆発したのは予想外だった。でも、そのあとが問題。その場を取り繕うために、チョコには当たりとはずれがあって、当たりの景品が「私とのデート券」と口走ってしまい…。かくして、祐巳は祥子さまとデートできることになったのだが…。『ファーストデートトライアングル』の他に短編も2編収録。
薔薇の蕾相手にした、デート特典付きのイベント。かくしてそれぞれはデートする事になる。白薔薇組はロサ・カニーナと、黄薔薇組はファンの女の子と。紅薔薇組だけはカードが見つからなかったので、姉と妹で普通に。
同性同士でデートなのに、女だと可愛いのは何でだろう。兄貴と弟な男カップルだと、超気色悪いのに。腐女子はそういうのも好物なのだろうけど。
短編で、消えた紅薔薇カードの謎解き編があったのが良かった。小さい頃の小笠原祥子、最強(笑)!
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マリア様がみてる ウァレンティーヌスの贈り物(前編)
2009年10月24日 このライトノベルがすごい?2月14日。チョコレートに添えて、胸にしまい込んだ想いを表す絶好のチャンス。でも、今年のバレンタインは気が重い。というのも、その日の菓子交換が、ひと月後のホワイトデーに影響するから…。由乃から令へ―。すべてにプロ級の令のお返しは、いったいどうなるのかしら?いよいよ佳境に入った、リリアン学園の日常は!?お楽しみ!の番外短編つき。
前後編になっているけど、二冊でひとつに纏った大きな話ではなくて、様々な出来事の連なり。題名見ても反応出来なかったのだが、ヴァレンタインの事だった。
またしても新聞部がネタのために暗躍、とはいってもお嬢様学校なので、やる事は可愛いもんですが。薔薇の蕾相手にデート特典付きのイベントを企画して来るのだが、当然の如く本人達は反対。しかし裏工作によって薔薇様が陥落、やるしか無い状況になってしまう。
他、短編もあり。
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