邦画はあまり興味が無いのだけど、他の人に釣られてそのまま観てしまった。チェロ奏者だった男が、オーケストラ解散で職を失い、故郷へ戻る。「旅のお手伝い」という求人広告を見て行った先は、旅行関係ではなかった。
訳も分らないまま雇われてしまい、納棺師になってしまうのだが、死体を扱うので差別が酷い。同級生や妻にまで差別され、汚い物でも見るかのような扱いをされてしまうのだが、差別する方がはるかに汚らしいと思う。死体を触るよりも、献金された万札を触る、国を守る政治力な某巨大政党議員達の手のほうが汚れているぞ!
仕事をしてもしなくても社長が二万円ずつくれているので、金銭面では美味しそうだけど、実際はこんなに貰えないと思う。とりあえず、黒企業よりは高待遇だろうけど。
ヒューマニズム溢れる力作だけど、テーマの違いにより原作者がクレジットを拒否したらしい。死というものの静謐を描き出した素晴らしい内容なのだろうけど、個人的には神も仏も信じないので、さほど感動出来なかった。
訳も分らないまま雇われてしまい、納棺師になってしまうのだが、死体を扱うので差別が酷い。同級生や妻にまで差別され、汚い物でも見るかのような扱いをされてしまうのだが、差別する方がはるかに汚らしいと思う。死体を触るよりも、献金された万札を触る、国を守る政治力な某巨大政党議員達の手のほうが汚れているぞ!
仕事をしてもしなくても社長が二万円ずつくれているので、金銭面では美味しそうだけど、実際はこんなに貰えないと思う。とりあえず、黒企業よりは高待遇だろうけど。
ヒューマニズム溢れる力作だけど、テーマの違いにより原作者がクレジットを拒否したらしい。死というものの静謐を描き出した素晴らしい内容なのだろうけど、個人的には神も仏も信じないので、さほど感動出来なかった。
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はじまらないティータイム
2009年9月21日 読書甥っ子の博昭が「できちゃった不倫婚」! ミツエは元妻・佐智子を心配して訪ねるが、離婚のショックで彼女が「奇妙な行動」をとっていることを知る。博昭の新妻はミツエの娘に近づき、事態は複雑に……。
第31回すばる文学賞受賞作。
甥っ子博昭は、騒動の中心人物なのに出てこない。周囲にいる四人の女が複雑に絡み合うのだが、全員が気色悪い。まず、博昭を策略で嵌め、不倫から正妻の座を射止める女が最凶に気持ち悪い。少し電波が入っているし、こういうのと結婚すると、確実に運勢が下がると思う。姦計を持って挑み、努力の結果だと言い張る自分だけいつも良い子理論の馬鹿女だけに、辟易して来る。
自らに落ち度が無いのに、離婚する羽目に陥ってしまった前妻も、その後の行動が不可解で電波女。一体、その異常行動は何なのか。前妻が可哀想すぎるから結婚式には出たくないと突っぱねるおばさんも、やたら他人に関わろうとしてウザったい。そして、そのお節介おばさんの娘すら、まともに思えて、ある瞬間、いきなり壊れる!
なんというか、全員がどこか壊れた感じになり、一同勢ぞろいしてしまった場面で、唐突に物語が途切れる。え!? なんでこんな中途半端なところで終わるの? 純文学系統って、ちゃんと起承転結になってない小説の断片が多いな。これ、起承転で終わってるし。起承転欠か? 結末が欠落してるし(苦笑)。
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あの子の考えることは変
2009年9月20日 芥川賞・直木賞“前代未聞のカタルシス。著者初の友情小説” 岸田&鶴屋南北賞受賞の気鋭が拓く小説の新境地。汚い日田とおっぱいだけが取り柄の巡谷、おかしな二人のヘンテコで切ない共同生活。
第141回芥川賞候補作。
予想通り、受賞せず。レベルが低いからではなく、逆に芥川賞の好みから斜め上方向へ突き抜けてしまっているので、無理だろうと思った。舞城王太郎と同じく、芥川賞基準では異端すぎる気がする。
本谷有希子作品だけに、今回も頭のおかしい人が出てくる。主要人物は僅か二人。同居している女で、片方は放射能レベルの毒オーラを排出する電波さん。自分が臭いと言い張り、全てをダイオキシンのせいにするキティである。かなり気色悪そうなのだが、外見は小さくて可愛い眼鏡っ子な処女という設定らしく、そのギャップが堪らない。
もう一人は一見すると普通な感じなのだが、男に執着し、彼女から奪い取るためにセフレ化し、さらにモテなくするために肥え太らせ、格好悪い髪形に変えてしまうという危ない人だった。しかも、時々おかしくなるし。精神的にキレた状態になっているのを、電波女のほうから「グルーヴ先輩来た(・∀・)!!」みたいに言われているし(笑)。一種のトランス状態に近いのかね……。
放射能電波&グルーヴ先輩の、どこまでも壊れた人間模様。身近にいると鬱陶しいかもしれないけど、少し離れた場所から見たらとても面白そうな人達だ。まさに、愛すべき馬鹿!
特に放射性電波な方、処女な部分に拘りすぎて逆にエロ野獣化しそうになったり、臭いとか言われて本当に臭くなってしまったりする、見事なまでの壊れ具合。ついには、1回だけで良いからセフレを貸せとか言い出し始める。
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幸せ最高ありがとうマジで!
2009年9月20日 読書とある町の新聞販売所にやって来た、謎の女。女は嬉々として、その一家の“不幸”を抉り出していく。目的は復讐か?否。女は、縁もゆかりもない見ず知らずの人間だったのだ。悪魔的なエネルギーで一家を追いつめる女。真の目的は一体何か?“不幸の理不尽”をブラック&シニカルに描いた、気鋭のパルコ劇場デビュー作!第53回岸田國士戯曲賞受賞。
題名がこんなのだけど、キチガイ電波女が日常生活に乱入して来て、新聞販売店を経営している家族がかき回されまくるという、とっても不幸な感じの戯曲だった。
突然現れた謎の女が愛人を名乗るが、実はただの電波さん。夫の浮気疑惑にも動じない妻は後妻で、可愛い連れ子がいる。この家の息子は血が繋がらない妹のパンツ見せ攻撃くらいしか良い事が無いキモ系で、住み込みバイトをしている女はメンヘル系。
登場人物全員が、いい感じに狂っていてキモい話になっている。一家をかき回す電波は最悪だけど、演じるのは永作博美。永作クオリティなら、電波入っている危ない女でも、許してしまいそうだ(笑)。自分に要素の無いキャラなので、演じるのが大変だったらしい。
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ここに消えない会話がある
2009年9月19日 読書25歳の広田(アキバ系?)、岸(こそこそ小説を書いている)、佐々木(リーダーシップを取りたがる)、そして26歳の別所(いつも日焼けをしている)、それから27歳の魚住(ふざけている)、津留崎(美人)。6人は、大きな会社の中の小さな班、「夕日テレビ班」で毎日深夜まで仕事をしている。(ちなみに、非正社員が3名、正社員が3名である)。彼らが机の島で日夜続ける地味な作業は、「高校野球」のシーズンの到来によって、大変さの頂点を極める。仕事仲間として会話を交わし笑いあう。人と人とのやりとりに一瞬の永遠がある。仕事を詩的に描いた「職場小説」。
新聞のテレビ欄を作っている人々の日常。6人の会話で成り立っているのだが、お仕事小説としては上手く練り上げられている訳でもなく、山本幸久や三浦しをんと比べたら凡庸すぎる。
会話がまた、スカスカでどうでも良い感じなのだが……。え? 仕掛けって何? 読む本が溜まっているし、会話に乗れなかったから真剣に読めなかったのだけど、何か裏読みしないと駄目なの?
会話文だらけだと、文章力が足りない文芸部所属で何故か根拠無き自信だけあるちょいブサイクな女子高生が書いたかのようなスカスカ感がするので、もっと地の文章で表現して欲しい所だけど、会話自体に何か仕掛けてあるのか? ちょっと、読み返す気になれないので、誰かエロい人、教えて下さい。
後ろに載っているアルビノ女の話は、面白くなりそうなのに、ならないまますぐ終わってしまうのが残念。アルビノって、美形が多そうなイメージだけど、この主人公は男から全く相手にされていないなぁ。喪女オーラが出まくっているし。本谷有希子あたりが書いたら大化けしそうな素材だけに、惜しいなぁ。
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深海生物ファイル―あなたの知らない暗黒世界の住人たち
2009年9月18日 読書他では絶対に見られない貴重な写真、精緻なイラストを計300点以上収録!登場生物総勢約200種!深海ってどんなとこ?海の構造を図解で説明。調査船が捕らえた決定的瞬間やレアな標本写真がたっぷり。生物の不思議な生態をリアルなイラストと文章で解説。深海のことがもっとよく分かるマメ知識が満載。生物名と用語から引くインデックス付。
前半はカラー写真満載で、浅い海で見られるような形のものから、グロデスクなものまでいろいろ。写真の上に説明文が重なっているのは読み難い……。黒く反転してくれたら良かったのに、この点だけがちょっと不満足。
それにしても、凶暴そうな顔をした奴や、気持ち悪い形状の生物が多い。深海という特殊な環境に適応した結果なのだろうけど、某暗黒神話に出てくる生物? に似た感じで、とってもグロテスク。
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多摩川べりのありふれた町の学習塾は“キタナラ塾”の愛称で子供たちに人気だ。北村みつこ先生が「犬婿入り」の話をしていたら本当に「犬男」の太郎さんが押しかけてきて奇妙な二人の生活が始まった。都市の中に隠された民話的世界を新しい視点でとらえた芥川賞受賞の表題作と「ペルソナ」の二編を収録。
第107回芥川賞候補作「ペルソナ」
第108回芥川賞受賞作「犬婿入り」収録。
「ペルソナ」は、弟と共にドイツへ留学している女性の日常。会話が会話文ではなく、地の文に埋没しているのが特徴的。とりたてて何も起こらない海外での日常生活なのだが、文章はこちらのほうが読みやすい気がした。この頃の芥川賞は妙な方向へ走っていないので、普通に物語として読める。
「犬婿入り」のほうが、内容としては面白いのだが、一文が長いのが引っかかる。何で芥川賞系統の人は、読点を使わずに長い文章を書きたがるのか。
題名からイメージして、八犬伝的な昔話なのかと思ったら全然違った。キタムラ塾を経営する北村みつこのところに、太郎と名乗る男が勝手に住み着き、ご近所の噂になるというもの。ラストが少し意味不明系。
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時は、21世紀の初頭。マンフレッド・マックスは、行く先々で見知らぬ誰かにオリジナルなアイデアを無償で提供し、富を授けていく恵与経済の実践者。彼のヘッドアップ・ディスプレイの片隅では、複数の接続チャネルが常時、情報洪水を投げかけている。ある日、マンフレッドは立ち寄ったアムステルダムで、予期せぬ接触を受けた。元KGBのAIが亡命の支援を要請しているが、どうやらその正体は学名パヌリルス・インテルルプトゥス―ロブスターのアップロードらしい。人類圏が特異点を迎える前に隔絶された避難所へと泳ぎ去りたいというのだが…。この突飛な申し出に、マンフレッドの拡張大脳皮質が導き出した答えは…“特異点”を迎えた有り得べき21世紀を舞台に、人類の加速していく進化を、マックス家三代にわたる一大年代記として描いた新世代のサイバーパンク。2006年度ローカス賞SF長篇部門受賞作。
天才なのに、すでに貨幣経済の枠組みから逸脱しており、アイデアを無償で他人にあげてしまう恵与経済の実践者、マンフレッド・マックス。彼の元に押しかけ、無理やり結婚してしまうパメラは、旧態依然とした資本主義経済に組み込まれた徴税官であり、本来マンフレッドが利益を出していた筈の金額を算出し、納税を迫る。
結局、二人が上手く行く筈もなく、破局を迎えるのだが、パメラはマンフレッドが知らないうちに、勝手に娘を産んでしまっていた! そこから徐々に娘であるアンバーの物語へと移って行く。マンフレッドが主人公という訳でも無かったのか!
アンバーは厳格で古いしきたりに縛られた母から逃げ出すのだが、手引きしてくれた父の思惑をも超越し、地球圏外へと逃亡してしまう。逃亡には、父が飼っていたアイネコが関わるのだが、最初は日本製のロボペットに過ぎなかった存在が、次第にとんでもない何かに変貌して行く。
宇宙へ逃げたアンバーは、木星圏に到達し、そこで環(リング)帝国を築き、女帝として君臨する。さらには、太陽系に近くなった褐色矮星ヒュンダイ+4904/-56に地球外文明の痕跡を求めて、コーラ缶程の大きさしかない超小型宇宙船に自分達のコピーを入れ、加速して送り出す。
コピー達が新世界に到達したアンバー達は、異世界文明に囚われて困難な状況に陥るのだが、ネットワークの存在を明らかにしつつ、一計によって離脱し、太陽系へと帰還する。
ところが、木星圏ではリング帝国が破産して崩壊し、オリジナル体は消失していた! しかも、別の男と結婚して子供まで生まれているという(笑)。かくして、産んでいないはずの子供と、異様に若い母親が出会う。
近未来の話なのに、内惑星が解体され、マトリョーシカ構造のダイソン球世界が形成されているし、背景設定が大仕掛け。基本的にサイバーパンク系統なのだが、人類がアップロードしたりコピーしたりしすぎで、オリジナルとの区別がつかなくなって来る。主要な人物も、結構死んで再生しているし。アンバーなんて、自分が知らない間に……。
未訳だけど「glasshouse」というのが同じ世界設定で、人類が銀河へ広がった27世紀の話になる。人類テクノロジーでは無理だけど、近所に地球外文明が築いたネットワークがあるので、それを利用して広がる話なのかな。
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アイアン・サンライズ
2009年9月16日 SF特集ウェンズデイ、16歳、オールド・ニューファンドランド・フォーの住人。彼女は暗い廊下を必死で逃げていた、執拗に追う怖るべき魔犬をふりきり、避難船にたどり着くために。あんな死体や謎の書類なんて見つけなければよかったのに。時間はもうほとんどない。約4年前、鉄爆弾が太陽を超新星化させ、モスコウで暮らす2億人を焼きつくした。その恐怖の衝撃波面―鉄の夜明けが、まさに今ここに到達しようとしていたのだ。
題名だけでは分かり辛いのだが、これは「シンギュラリティ・スカイ」の続編なので、先に前作を押さえておくべきだろう。直接の続きではないにしても、前作より後の話で、物語の中核となる二人もそのまま出てくるので。
恒星破壊兵器が使用され、ひとつの世界が滅亡した後から物語は始まる。故郷を失い、鉄の夜明けと呼ばれる衝撃波から逃げるために避難する人々の中に、ウェンズデイと呼ばれる少女がいた。彼女は見えない友人に導かれ、ある極秘文書を隠すのだが、彼? が単なるイマジナリー・コンパニオンではない。彼? の名前がハーマンという部分で、これが万能知能に近いエシャトンに関係する存在である事が分かってしまう。
難民と化したウェンズデイだが、新たな移住先で命を狙われ、宇宙船で逃亡する羽目に。敵は全体主義のリマスタードと呼ばれる勢力。リマスタード自体は、エシャトンの力と比べて劣るのだが、モスコウが滅亡するのを未来予測出来なかった事で、エシャトンに匹敵する黒幕の存在を予感させる。
後半から前作のマーティンとレイチェルもウェンズデイに合流し、報復兵器の使用を中止するためにリマスタードと対峙する事になるのだが、状況はさらに二転三転し、思いもよらぬ真実へ。
最後、リマスタードが地球圏にまで浸透してくるところで終わるので、この後の展開が気になるところ。続編あるよね?
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シンギュラリティ・スカイ
2009年9月16日 SF特集「わたしたちを楽しませてくれますか?」ある朝、新共和国の辺境惑星ロヒャルツ・ワールドに降りそそいだ携帯電話から聞こえてきた不思議な声は、住民の語る「物語」と引き換えに、3つの願いをかなえはじめた…お金、自転車、家、核融合爆弾…それがどんな願いでも。かくて惑星社会は大混乱に。この事態を「侵略」と決めつけた新共和国皇帝は、ただちに攻撃艦隊の派遣を決定したが…。英国SF期待の新星が放つ衝撃作。
ロシア帝国風の新共和国辺境ロヒャルツ・ワールドに現れたフェスティバルという謎の勢力が虐げられている民衆の願いを叶えまくり始めた。フェスティバルに有用な情報を与えるなどして彼等を楽しませるのと引き換えに、3つの願いを叶えてくれるのだ。それは、旧態依然として抑圧された社会に暮らす人々にとっては、ほとんど魔法に近い程の効力で、貴族が住むような豪邸でも、若返りでも、反政府勢力ならば貴族と戦うための核融合爆弾さえ手に入れる事が出来るのである。
秩序を乱された新共和国は、これを侵略行為だと捉え宇宙艦隊を派兵するが、未来へ行き、そこから時間を侵略直後の時間まで遡行するという危険極まりない方法で対処しようと画策する。この世界には、エシャトンという超AIが存在し、過去を変更する等の因果律違反を試みる勢力は、ことごとく殲滅しているのである。エシャトンが動けば新共和国だけでなく、周辺数十光年の星系住民が超新星爆発の驚異に晒される事になる。
表向き、ある企業から派遣されて、軍艦のメンテナンスを行う技師という事になっている主人公は、出撃する旗艦に乗艦する羽目になり、戦いに巻き込まれて行く。トラブルに巻き込まれてしまう直前に、謎の美女と出会うのだが、彼女も地球から派遣され、新共和国とフェスティバル双方が因果律違反を犯さないための監視をするため、外交特権を付与され、大佐待遇で乗艦するのだった。
あまりにもテクノロジーのレベルが違いすぎるので、フェスティバルやエシャトンは異星人文明なのかと思ったら、後半で明かされる衝撃の事実。それにしても、やはりレベルが違うと戦争にすらなりませんな。
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ブリーダー崩壊の現場を前に決意した島田さんは、ただちに救出を開始した。持参したケージに次々と犬を入れ、ワゴン車へと運びこむ。島田さん宅ではボランティアスタッフが53頭の到着を待っていた。知り合いのトリマーや獣医師も応援に駆けつけてくれた。痛みと、痒みと、空腹と、悪臭と―苦痛のなかでのみ生きてきた犬たちの、幸福への一歩がはじまった。人と犬のあいだで呼応する命の声―。犬と暮らす喜びと厳しさを描く、森絵都初のノンフィクション。
森絵都だけど、小説ではなくて、捨てられた犬を保護する人々を取材したものだった。拾う人はごく一部で、捨てる人は多数。飼い主に見捨てられた犬の多くは、野垂れ死ぬか、保健所に捕まってガスで虐殺されて行く。
人間を虐殺した第三帝国は、あれほど糾弾されているのに、犬猫ならどんどん虐殺してOKなようで……。ファッション感覚で動物を飼い、飽きたらすぐ捨てるような馬鹿は死ねば良いのにな。この国はキティが多すぎて困る。
しかし、人間すら使い捨てにする国だけに、犬猫の命を大事にしろと唱えても説得力は無いだろう。自分が優しくされていないのに、犬猫の事まではなかなか考えられないと思う。
そういう人は最初から飼うなというのは容易いけど、経済情勢や生活環境なんて一寸先は闇なのだから、明日どうなるかなんて誰にも分らない。ある日突然、会社が無くなって途方に暮れ、自分すら食べられなくなった時に、犬を助ける事が出来るだろうか。無論、飽きたら捨てるようなキチガイは論外、逝って良し!!
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森で拾ったその犬には、なにか知性のようなものが、意志に似たものが感じられた。孤独な中年男のトラヴィスは犬に〈アインシュタイン〉と名を与え、半信半疑の対話を試みる。徐々にわかってくる信じがたい事実。それにしても、犬は何を警戒しているのだろう。繁みの陰に、暗闇の奥に、なにか恐るべき“もの”がひそんでいるのか。
トラヴィスが森で出会ったゴールデンレトリーヴァーは、ただの犬ではなく、高度な知性を持つ超能力犬だった。犬を取り戻そうと追ってくる人間とは別に、悪意と憎しみだけで追ってくる正体不明のアウトサイダー。
クーンツにしては珍しく、最後まで正体不明のまま引っ張らない。途中でアウトサイダーが何なのかも分かるのだが、ただの邪悪な化け物ではなく、少し哀れな存在に見えてくる。しかし、相互理解は無理なので、対決する事を余儀なくされる訳なのだが……。
読んでいる途中で下巻が長期間、行方不明になってしまい、上巻の内容をかなり忘れてしまったのは内緒……。
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いい年をして親のスネをかじる自称「自立した女」、買物カゴをのぞいて夕飯のメニューを当ててしまうオバサン、経済記事を読みつつも人差し指はH記事のページに挾む品のいい紳士…。あなたの隣にもよく似た人がいるのでは?何気ない日常生活に溢れ返る変な人、面白い出来事を群ようこ流に解剖した、溜飲の下がるエッセイ59篇。
エッセイといえば、書いてる本人だけが楽しんでいるクソ面白くもない日常ものか、面白いけど、それ本当?作ってるんじゃないの?という非日常パターンが多いのだが、さすが群ようこ!!エッセイの中身は題名通りの「日常」を扱いながら面白い。
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食品成分表、ぴあマップ文庫、看護日記、うれしい編みもの、そして古典、名作、新作について興味つきない読後話から、本のふるさとである活版印刷の現場ウォッチングまで―。感動も思い出も情報も、すべて「本」との出会いから始まる群さんの、シンプルでユニークな活字生活が浮かび上がる、心愉しいエッセイ集。
本に関するエッセイで、古典からぴあマップ、食品成分表みたいなものまで、幅広く扱っている。普通に自分で選んでいたら絶対に読まないような本が結構載っていて面白い。群ようこのエッセイを読んでいると、取り上げている本もだんだん読みたくなって来る。
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特別な事件より、普通の毎日。奇人変人より、あなたの隣人。そんな『日常』にこそ、面白い出来事は潜んでいる。昼下がりのレストランの店内に響きわたるおばさんコーラスの傍若無人の歌声。最先端のイメージで売るカード会社の本質。スーパーのお弁当における芸術的な職人芸。楚々とした美人のおぞましい奇癖…。思わず納得、痛快無比の辛口エッセイしめて100編。
悪くは無いのだけど、ひとつひとつの話が短すぎて、群ようこのエッセイの中ではイマイチかもしれない。見開き2ページでひとつの話が終わるし。雑誌か何かで掲載された時の文字数制限なのかもしれないが、これでは話にヒネリが加えられない。だが、それぞれの話には思わず同意してしまう部分が多々あり。
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ペンギン夫婦がつくった石垣島ラー油のはなし
2009年9月14日 読書石垣島ラー油(石ラー)を知っていますか? 東京の「銀座わしたショップ」では毎月10日が“石ラー入荷日”なのですが、この日は開店前に100人以上の列が店の前にできるのです。そんなラー油を作っているのはペンギン夫婦(本名!)。夫婦が出会って沖縄移住を決めて、ひょんなことから石ラーを作って売ることになって・・・。そんな二人の現在までの道のりをまとめたドキュメンタリーがこの本です。石ラーの場合、「ラー油は餃子にかけるもの」ではないのですよ。辛いだけではない、ハーブから作られるラー油。その簡単レシピや、ウワサの辺銀食堂のメニューも掲載しました。
ペンギンさん(本名!)が石垣島で作っているラー油の話。夫となる暁峰さんとの出会いから、石垣島でラー油を作るまでのお話。最初からラー油作りを目指して移り住んだのではなかったのか。
順風満帆な感じではなく、最初は紙作りに惹かれて石垣島へ。そこで様々な人と出会い、生活費を稼ぎつつ、たまたま作ったラー油が少しずつ評判となって行く。機械化して大量生産せず、手作りにこだわっているので、今となっては入手困難だが、最初は2本しか売れなかったらしい。
もはや本土では100gの通常品すらレアだが、さらに激レアな壷入りがあるらしい。霊感商法の壷は要らないけど、石垣島ラー油入りの壷なら超欲しい!! このラー油といい、波照間の泡波といい、人気が出るとみんなが殺到して買えなくなるのが……。
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アジアより欧米が好きだった著者が、ふとしたきっかけで訪れたアジアの街。香港ではブランド物を買い漁り、マカオではギャンブルに夢中に。ソウルでは同行者の失敗を笑い、激辛料理に舌鼓を打ち、韓国刺繍の美しさに驚嘆する。そして大阪ではラブあり、サスペンスあり、バイオレンスありの旅に人生を深く考えさせられた。ご近所感覚で歩いたアジアを綴ったお気楽旅行記。
アジア成分濃厚な紀行文。エッセイも紀行文も小説も、一定水準以上の面白さ。それなりに人生を謳歌されているようで、ギザウラヤマシス! な限りであります。
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こんな生活、もう嫌だ。私、やめます。めでたく退職、地獄の満員電車にオサラバしたものの、あまりの赤貧状態に音を上げ、再就職する羽目に。ところが…。会社勤めに悩む全ての人々に贈る「満員電車に乗る日」。親戚から結婚しろとうるさく迫られるフリーライターがめざす意外な人生を描く「シジミの寝床」など、フツーの人々を力強く応援する、一読爆笑、元気百倍の小説集。
確か読んだ筈なのだが、もう手元に残っていないので確認できず。密林説明文だと、現状が嫌になって退職したものの、お金が無くて再就職というおバカな悲劇の話が載っているっぽい。
基本的に、黒企業以外は辞めたらいかんよね! 少し嫌な程度で辞めてしまったら、もっと酷いところしか再就職先が無いというのがお約束だし。黒企業に関しては、辞めないと人生そのものを辞めさせられて、黄泉へ旅立つ事になりかねないので、仕方が無いと思うけど(苦笑)。
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パンダが見たい、東京ドームを見学したい、ディズニーランドで遊びたい…と新幹線でひとり上京してきたモモヨ、九十歳。好奇心旺盛でおシャレな祖母の笑いと涙の物語。「文庫版あとがき」として、92歳、95歳のモモヨの相変らずのユニークぶりを報告。
タイトルを見ると、「もう九十歳」の間違いじゃないのか? と思いたくなるが、中身を読むと、なるほど、これはまだ九十歳で正しいのだと納得する。高齢なのに、異様にバイタリティ溢れるモモヨが逞しすぎる!
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アメリカ同時多発テロ 最後の真実
2009年9月13日 映画1993年2月26日。アメリカ・NYのワールドトレードセンタービルの駐車場に止められていた1台のバンが突然爆発、6名の犠牲者が出た。FBIのテロ対策部長・オニール(ハーヴェイ・カイテル)は、パキスタンに逃亡した容疑者・ラムジ・ユセフを追跡するが……。
これはDVD化されている映画ではないのか。何も見当たらないので、画像ははちゅねでお願いします(笑)。
TVでやっていたのだけど、9.11そのものではなくて、そこに至るまでの経緯を1993年時点から追って行く。一連の流れがよく分るので、「ワールドトレードセンター」よりも遥かに良作。
それにしても、政府がここまで把握していたのが事実だとしたら、この人達は無能すぎる。阿呆だらけの日本政府じゃあるまいし、これは不味いんじゃないのか? これでは、意図的に見逃してアフガンやイラクを叩き潰すためのスケープゴートにしたんじゃないかという穿った見方が出て来ても仕方がないよな。かつて大日本帝国を叩き潰すために、連合艦隊の動向を察知していたにも関わらず、ハワイを餌にして切り捨てた実績のある国だけに、何してもおかしくないし。しかも、この時点でアメリカ史上最低最悪のあの人が大統領だっただけに……。
アルカイダ幹部の集会予定地点を巡航ミサイルで攻撃する前に、パキスタンに情報を流して台無しにしたオルブライト国務長官、おめでとうございます! 大規模テロの直前に対策チームを縮小したライス国務長官も、おめでとうございます! この映画が事実だったとしてのお呪い……、違った、お祝いの言葉だけど。
結局、上層部にいるおバカが自分の利益や保身を優先し、大局を見極められずに悲劇を生むのは、どの国でも共通仕様なのか(苦笑)。日本の上層部だけがうんこ仕様じゃないようで、少し安心した。
それにしても、アフガンの英雄マスードが暗殺されてしまったのは残念だ。彼が生きていれば、アフガンの新政権ももう少しまともになったかもしれないのに。
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