肉親を失い天涯孤独になった17歳の美咲。遠縁を名乗る大実業家、浦沢に引き取られた処女を待っていたのは、鎖に繋がれた凌辱の日日だった。「夢を見させてやる」。ゆっくりと充血した花びらが左右に押し広げられ、痛みはやがて快楽に変わっていく。「ああ堕ちる…」。母に似た美しい少女は、いつしか被虐の喜びに悶え狂っていくのだった。幻冬舎アウトロー大賞特別賞受賞作。
表紙の女の子に釣られたけど、これは何というエロス! 禁止マークがついてないのに驚く。幻冬舎だから、多少はエログロがあっても驚かないけど、ここまで来たらもう二次元ドリームとかに並ぶクオリティ。これはもう小学館を超えたかもしれないね。
天涯孤独となった美少女の前に現れたのは、遠縁を名乗る超大金持ち。だが宝箱はミミックだった! じゃなくて、あしながおじさんはダークあしながおじさんだった!! 日本は法治国家というよりも放置国家だから、実際に何処かでありそうな話だよな。
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PRESENT FOR ME石黒正数短編集
2009年7月5日 SF特集名作「それでも町は廻っている」で一気に天賦の才能に花開かせた石黒正数が、2000年~2004年の頃に各誌に発表した好短編を堂々7点収録。石黒作品に流れる熱き血潮と冷静な感覚の閃きが、ここに存在する!
短編が7つ収録されているのだが、全てズレた感じになっているのに才能を感じる。最初の話は小さな無人島で事故が発生、三人の超能力者とマッドサイエンティストだけが残される。使える能力はどれも微妙。この話で注目すべきは、表紙に描かれた人数。あれ? 二人足りない(笑)。
他のもシュールな結末のものが多い。人類滅亡ネタに盛り上がる学生の結末が人類滅亡そのものだったり、正義の味方になろうとしたなげなわマンが、人命を助けようとして逆に……。
部屋に魔女っ子が押しかけてくるというありがち設定ですら、来るのは美少女というお約束を華麗なまでに破って、ブサ子が! しかも、別の人のところにはお約束通り美少女な魔女っ子が来ているから泣ける。
悪の秘密結社デーモンナイツが解散してしまい、途方に暮れるピエロ怪人とヒーロゼットの物語は、ピエロ怪人の中の人がナイス!
やはり最高なのは表題作。滅びかけた未来世界で出会った人類の少女と壊れかけた機械。海外SFの短編みたいな雰囲気で、描き方も特殊。こういう技法で描かれたコミックは、あまり見かけない。
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赤い花の精霊―妖界ナビ・ルナ 6
2009年6月26日 ファンタジー特集ふたごの弟タイとの激闘の末、タイを妖界へ送りかえしたルナは、みずからも深い傷を負い、生死の間をさまよっていた。そのころ、山奥のある村では、村人たちが奇妙な病いにおかされる事件があいついでいた。新たな妖怪の出現なのか?!眠りからさめたルナ、スネリ、もっけはふたたび冒険の旅にでることになった。物語はいよいよ第二幕へ!シリーズ第六弾。小学校中・高学年向。
前作で死亡フラグ立ちまくりだったから、どうするのかと思ったけど、一部のキャラがパワーアップしたね(笑)。
黒幕の正体が全く見えぬまま、新展開となる。元素の次は四聖獣? 謎の奇病に襲われている村を救いに来たルナは、暴走する花の精と対峙するのだが……。それの正体は花の精じゃなくて、もっと別の存在だった。
キャラが増えたところで大変な事に気づく。
このシリーズ、図書館に全作揃ってないじゃないか!!
Orz
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光と影の戦い―妖界ナビ・ルナ 5
2009年6月25日 ファンタジー特集第5の舞台となる島で、ルナは都和子先生と再会する。都和子先生が明らかにしたルナの出生のひみつとは? 少年タイの正体は? 宿命の対決の幕が切って落とされた。
謎の少年の正体が、ようやく明かされる。そして、壮絶なバトルに! しかし、少年攫った黒幕がいるらしく、新たな伏線が!?
物語のターニング・ポイントとなっているのだが、今まで以上に何かと痛い展開に。そして、死亡フラグが立ちすぎ! 主人公も血塗れでズタボロじゃないか。最近のお子様は、こういう痛い話が好きなのかね?
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火をふく魔物―妖界ナビ・ルナ 4
2009年6月24日 ファンタジー特集学校の理科室から泣き声がきこえてくる夜には、町のどこかで、かならず火事がおこる。ルナたちがやってきた町には、そんなウワサが広がっていた。この奇怪なできごとのうらには、なにがあるのか?第四の玉をさがしもとめるルナの前に、強大な魔力をもつ新たな妖怪が出現してきた!人気沸騰中!書き下ろしシリーズ第四弾。
出てくる敵が、なんだか四元素に絡んでいるっぽくて、風→水→土となれば、今回はもう火を使う奴に決まっている訳で……。
町のあちこちで起こる不信な火事。事件には虐められっ子な少年が関わっていて、妖怪とシンクロしてパイロマニアのような力が! 何だ、燃やされていたのは虐めっ子の家か。それなら何の問題も無いから、もっと燃えれば良いのにな(をい!)。
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黒い森の迷路―妖界ナビ・ルナ 3
2009年6月23日 ファンタジー特集なぞめいたチラシにみちびかれて、ルナたち三人がおとずれたのは、うつくしい海にかこまれた南の島、果南島。その島にある「魅惑の森」では、森に入ったままゆくえ不明になる事件があいついでいた。ルナの身にも危険がせまる。暗闇の迷路のなかで、新しい妖怪との戦いがはじまろうとしていた!人気上昇中!書き下ろしシリーズ第三弾。
物語が流れるように繋がっているのではなく、一作ごとにブツ切りにされた感じで舞台が変わっていくのが気になるのだが、今回はリゾート開発が進んだ南の小島。
自然が破壊されて行く事を危惧する化け物の仕業で行方不明事件が多発するのだが、遊びに来た観光客を襲っても仕方が無いと思うのだが。どうせヤルなら、資本家と言う名のラスボスを倒さないと、島への侵略を止める事は不可能だろう。まさか、このまま1億3000万全てを滅ぼすつもりだったのか?
お子様向きの結末だとはいえ、優等生的な話の展開が予定調和すぎで胡散臭いなぁ。謎の少年と黒い犬の正体は、またしても明かされず。
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人魚のすむ町―妖界ナビ・ルナ 2
2009年6月22日 ファンタジー特集妖力の封印が解けたルナは、最初の敵、妖怪かまちをたおした。次なる妖怪と悠久の玉を探してたどりついた港町には、水をあやつるふしぎな女の人がいた。ある日、友だちのユイとたずねた店で水晶玉の盗難事件がおきる。同じころ、もっけとスネリがゆくえ不明に…。ルナの第三の目がふたたびうずきだす!書き下ろしファンタジーシリーズ第二弾。
使い魔的な二匹と共に、妖怪退治の旅に出る事になったルナだが、小学生該当年齢で安アパートをどうやって借りたのか謎!? 白猫が人間に化けて、妖力で住民票を偽造するか大家をたらし込んだのか!? この猫は、美女なお姉さんに変身するからな(笑)。
1億円持っている無職の男が部屋を貸してもらえなかったという具体例を知っているだけに、身寄りの無い小学生女児が賃貸に住むのは無理な気がするのだけど。
今回の敵は、題名そのもので、前巻ほどの悪玉妖怪ではないのだが、町に伝わる伝説とも絡んで、悲しい結末に。今回も出血成分が多いのが微妙。黒い犬にも襲われるのだが、こちらは伏線を張ったまま、謎が明かされず次巻へ。
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解かれた封印―妖界ナビ・ルナ 1
2009年6月21日 ファンタジー特集星の子学園でくらす竜堂ルナは小学三年生。赤んぼうの時、学園の門前におきざりにされていたのを、この学園の人に引き取られ育てられた。春休みのある晩、友だちのサエが何者かにつれさられるという事件がおきた。サエのゆくえをおっているうちに、ルナは自分の超能力に目ざめていく! 書き下ろしファンタジーシリーズ第一弾。
妖精ナビ・ルナかと思っていたけど、よく見たら“妖界”だった(笑)。大きく勘違いしていたので、表紙の子は妖精なのかと思っていたのだけど、自らも半妖怪で、内容が妖怪退治物じゃないか。表面が可愛くても、変なところに目がついているから萎えそう。
白い猫と梟が使い魔的に味方となるのだが、敵の攻撃で出血しまくりだから、結構エグイ。そして、小学生向きなので、ひらがなが多くて読み辛い……。主語が抜けている部分もあって混乱するのだが、お子様なら普通に理解出来る文章なのか?
母親が世界を超えられる程の力を持った妖怪姫で、父は陰陽師という、何その売れ筋な美味しいとこ取りな設定は! お勧めされる程の出来でもない気がするのだが、ゆとり教育の後遺症か、このレベルの作品じゃないと、今のお子様には……。
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日本生まれのロボット玩具を、監督マイケル・ベイ&製作総指揮スティーブン・スピルバーグというハリウッドを代表するヒットメーカーが実写で映画化! 地球の危機を救ったのは、少年の勇気と、変形する愛車だった!!
放映されたから観た。
他の星から来た金属生命体が自動車やトレーラーに擬態していて、可変モビルスーツなんて足元にも及ばないほど派手な変形をするのが笑える。これを玩具で忠実に再現するのは、人類テクノロジーでは不可能。
正義の側は一般車両なのだが、悪玉は戦車や攻撃ヘリや最新鋭戦闘機というのが単純明快。メガトロン様、かっこいい!!
元がオモチャだけに、ストーリーがお子様向けすぎるのは仕方がないだろう。
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人類は衰退しました 4
2009年6月12日 このライトノベルがすごい?わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は“妖精さん”のものだったりします。そんな妖精さんと人間との間を取り持つのが、国際公務員の“調停官”であるわたしのお仕事。里の娘さんがたからは、先生と呼ばれたりもしてます(恥ずい)。「妖精社」製の妙な品々が里に出回るのと前後して、走るチキンを目撃してしまったわたしは、祖父と助手さんとともに「妖精社」の工場視察に向かったのですが…。数か月でクスノキの里を、世界一の妖精人口過密地帯にしてしまったわたしの出張報告とともに、クニクニどうぞ。
表紙を見て、何で4巻だけ髪が短いのかと思っていたら……。やはり女の子はロングじゃないといかんだろう。長髪こそ女に産まれた者にのみ許される特権なのだから。だってさ、女で長髪が許されないのって、水泳選手とか一部の調理関係とか、限られた分野だけだろ!? 逆に男だと、芸能界とクリエイター関係とオカマバーくらいしか許されないと思う。普通の会社でOLが長髪になるとモテ率が向上するだけだが、男性社員がやるとリストラ率が向上するから!
という訳で、主人公の髪が短くなってしまったのが非常に悲しい。本人も泣いていたが、この酷い仕打ちには全米が泣いた! まあ、救済策が用意されていたので良かったけど。
今回は、食糧難に陥った村に、妖精社なる謎の企業印がついた怪しい物資が蔓延する。そして、付近に出現した怪しい工場。またしても妖精さんの仕業なのか!? 調停官としての任務を果たすべく、この工場へ乗り込むのだが……。これって、チョコレート工場ネタ? 他にも、良くなかった探しをするダーク・ポリアンナが脇役で出てきて笑える。
後半は、妖精さんの密度が増えすぎて、イジメが発生。ノーテンキっぽい妖精さんが、だんだん人類化してきて嫌だなぁ。これも過干渉の弊害か!? 妖精さん人口が村近辺で急上昇しているという調査結果が出るのだが、原因は明らかな訳で。
かくして主人公は妖精さんがいない場所へ、イジメられた子を亡命させるための単身赴任命令が発動されてしまう。しかし、行った先で湖の無人島に流されてしまい、再びサバイバル生活に。また臭くなるのか(笑)。どんどん主人公が逞しくなっていくな。
しかし、今回はネガティブ・オーラに包まれたイジメられっ子な妖精さんがいる。小さな無人島で建国する気になった妖精さんは、主人公を女王様に! これは、小さな王国の栄枯盛衰の物語である。
それにしても、妖精テクノロジーは高度すぎて、相変わらず魔法どころか冗談にしか見えないな。入手可能な物資によって出来る事に制限がかかるので、魔法じゃなくて科学なのだろうけど。
あとがきにある新展開というのは何だろうか? きっと、コミック化、アニメ化あたりだろうけど。
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人類は衰退しました 3
2009年6月11日 このライトノベルがすごい?わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は“妖精さん”のものだったりします。そんな妖精さんと人間との間を取り持つのが、国際公務員の“調停官”のお仕事。…閑職ですが。そんな絶賛衰退中の人類のすべての記録を目指した、ヒト・モニュメント計画の影響で通電することとなったクスノキの里では、“夏の電気まつり”が開催されることに。一方、妖精さんは里帰り。…!?妖精さんがいなくなる!?微妙なお別れののち、わたしたちは都市遺跡の調査に向かったのですが…。エネルギーの補給は計画的に。
今回は一話が凄く長い。しかも遺跡ダンジョンに迷い込み、延々と探索する羽目に陥る。ほんわか系のシリーズだったのに、何日も巨大構造物内部で彷徨い、水が不足してきたり、お風呂に入れないので臭くなってしまうところが妙にリアル。そういう生々しいところはあえて書かないという、ファンタジーなお約束を反故にしている。いくら見た目が可愛くても、主人公が臭うのは嫌だなぁ(笑)。
ここで新キャラ登場か? “ぴおん”という名前の猫耳少女が出てくるのだが、どう見てもロボットか何かなのに、自分が人間だと主張している件! 彼女は記録喪失(注意:記憶喪失ではない)に陥り、情報が欠如したまま、オヤジなる人物を探し続けている。
ゆとり脳のモンスター・ペアレンツが自分のお子様につけそうな、“ぴおん”なんて痛い名前が付いているけど、この名前が……。ネタバレすると面白くないので書かないけど、まさかそんなモノまで出てくるとは!!
最後はぴおんを留めるため破壊工作を行って、減給、社会奉仕、再研修、内職、始末書のフルコースに。さらには断髪……。この罰が一番痛いと思うのだが。
今回も2001年とか、スタートレックとか、いろいろ使われてますな。人類衰退の原因も、少しだけ明かされたかも。
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人類は衰退しました 2
2009年6月10日 このライトノベルがすごい?わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は“妖精さん”のものだったりします。そんな妖精さんと人間との間を取り持つのが、国際公務員の“調停官”であるわたしのお仕事。…なんですが。高い知能を持つ妖精さんのまわりは不思議なことだらけ。理解不能なおかしな道具を創って、わたしの身体を小さくしたり。現場復帰する祖父の助手さんのお迎えに、何度も何度も行かせたり。…そんなこと、報告書には書けません!えっ?わたしが一因?ではないですよ!?お疲れの人類の脳に刺激と安らぎを…。
妖精さんの作り出したと思われる不思議な道具が出回り、脳内から材料を取り出せる謎のスプーンにより、少女が小さくなって妖精化? これは単なる便利な道具ではなくて、恐ろしい副作用が漏れなくついてくるのだが、そうとは知らない少女はミニチュア化して冒険の旅に。それにしても、今回はアルジャーノンが味付けだとは!
後半は、タイムリープ系の不思議な話で、何度も何度も巻き戻されてしまうから、主人公だけでなく読み手も疲れて来る(笑)。1巻と比べて話が長いと思ったら、ページ数が増えている。ここで、不在により謎だった上司であるお祖父さんの助手がついに登場。最初はマセたエロガキ仕様で嫌だなぁと思っていたのだが……。
アルジャーノンみたいに、すぐに分かるネタだけでなく、隠し味的にいろいろ使われているみたいなのだが、白いのはガンバのノロイ?
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人類は衰退しました
2009年6月9日 このライトノベルがすごい?わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は”妖精さん”のものだったりします。平均身長10センチで3頭身、高い知能を持ち、お菓子が大好きな妖精さんたち。わたしは、そんな妖精さんと人との間を取り持つ重要な職、国際公務員の”調停官”となり、故郷のクスノキの里に帰ってきました。祖父の年齢でも現役でできる仕事なのだから、さぞや楽なのだろうとこの職を選んだわたしは、さっそく妖精さんたちに挨拶に出向いたのですが……。田中ロミオ、新境地に挑む作家デビュー作。
ラノベにしては異様に注目度が高くて気になっていた作品。これがデビュー作だけど、ただの新人ではない。シナリオライターなので、物語がちぐはぐだったり、描写が足りていなかったり、齟齬や矛盾が生じたりという、新人にありがちな水準の作品ではなく、安定している感じ。
人類は衰退しました。滅亡でも絶滅でもなく、衰退というところにセンスを感じる。ゆるやかな黄昏の時を迎えた人類が、その座を妖精さんに明け渡し、旧人類となった未来世界。
物語は国連の調停官となった主人公視点で進む。対人恐怖症な少女と、やや頭がお花畑系な妖精さんとの、とぼけた会話が面白い。妖精さんは超科学? の力により、一夜にして大都市を建設したりもするのだが、行動基準となるのは楽しいか否か。楽しいと妖精密度が高まり、様々な事件が発生する。お菓子を好み、お遊びに飽きると離散する。
それにしても、高度に発達した科学は冗談と見分けがつかないとは(笑)。これ、様々な分野から小ネタを仕込んで隠し味にしているから、楽しめるかどうかは読み手の知識量次第になると思う。少なくとも、ラノベしか読まないお子様では、本当の味を楽しむ事は出来ないだろう。
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