史上最強の傲慢(ゴーマン)ウーマンと進化したポンちゃんの好物は、旅と友達とお酒と……。最高の快楽と至福の贅沢(ゼータク)を追い求め、天下無敵のエイミーズ・パーティ御一行様は、今日も世界を股に掛けて行く!ジャマイカ、ハワイ、ニューヨークetc.と舞台もノン気に、あくまでマイ・ペースのポンちゃん、誰がために行く!?

これは、ポンちゃん海外出張編みたいな感じだったっけ? 下らない事に関する記憶は結構良いと思うのだが、さすがにこの辺りはもう覚えてないよなぁ……。密林の説明を読む限りでは、世界を駆け巡り、我が世の春を謳歌している感じだよね。当時は何にも考えずに読めたけど、歩くルサンチマンと化した今となっては素直に読めないかもしれない。これも手元に無いので、再読はしないけど。
天下無敵のポンちゃんの新婚生活は、ジョーク飛び交う笑いのパラダイス。エイミーズパーティー御一行を引き連れて最愛のC・D(仮名)のN・Yの実家へお里帰りすれば、そこには温かいパパとママ、素敵な双児の兄弟が待っていた。どこまでもノーテンキなポンちゃんだが決めるときはバシッと決めてますよ!

「熱血ポンちゃんが行く!2」の文庫化改題で、ポンちゃんシリーズ? の第二弾。作家は小説型とエッセイ型な人がいるなぁと勝手に思っているのだが、山田詠美はエッセイもそこそこ面白かった気がする。(←すでに記憶があやふや)これも手元に無いので再読は無理……。攻略のための確認用にUP。
ポン助、ポンタロー、ポンちゃん…、愛称“ポン”こと山田詠美の元気の源はここにあり、とうならせる痛快エッセイ。お酒を飲み、いろんな人と出会い、恋をして、旅に出て、家族と語らい…、プライベートなポンちゃんの素顔をうかがい知ることができます。大人気『ポンちゃん』シリーズの原点。

山田詠美はエッセイもたくさん出しているけど、これはポンちゃんシリーズ? の第一弾。ポンちゃん=山田詠美なんだけど、大昔に読んだので、何でポンちゃんなのか忘れた(汗)。とりあえず、攻略のための確認用にUP。手元に無いので再読は無理……。

片想い

2009年3月16日 読書
十年ぶりに再会した美月は、男の姿をしていた。彼女から、殺人を告白された哲朗は、美月の親友である妻とともに、彼女をかくまうが…。十年という歳月は、かつての仲間たちを、そして自分を、変えてしまったのだろうか。過ぎ去った青春の日々を裏切るまいとする仲間たちを描いた、傑作長篇ミステリー。

題名を見て、ただの恋愛小説かと思っていたら、全然違った。性同一性障害に苦しむ人々と、キチガイストーカーに反撃して起こった殺人事件。様々な人物の思惑が交錯して、一筋縄では行かないのだが、殺された被害者が同時に加害者でもあり、同情は全く感じられない。むしろ、逃亡する側を応援してしまう。

全く落ち度の無い人間を殺すのは駄目だが、やられて反撃するのはアリだと思う。日本はキチガイの人権しか守らない悪人天国なので、過剰防衛にされてしまうけど、外国だと正当防衛の範囲内ですからね。やはり、最後はやるせない感じの結末で、ハッピーエンドでは終わってくれない。
このことは誰も知らない。五月末日の木曜日、午後四時のことである。大阪が全停止した。長く閉ざされた扉を開ける“鍵”となったのは、東京から来た会計検査院の三人の調査官と、大阪の商店街に生まれ育った二人の少年少女だった―。前代未聞、驚天動地のエンターテインメント、始動。

万城目学最高傑作とかキャッチがついているけど、完成度で言えば「鹿男あをによし」で、アイディアだと「ホルモー」のほうが上だと思う。これは単に話が長いだけでは……。

今回は500ページを超えていて長い! いつもの不思議系統な話かと思ったら、最初から2/3くらいは会計検査院が査察に入る日常の話で、なかなか盛り上がらない。他の作者ならこれでもいいけど、万城目だから、やはり鬼が暴れたり、動物が喋ったりする非日常的なものを期待してしまうだろう。普通の話になっている部分が長すぎる……。

あと、プリンセスの側に、プリンセスを守るべき役割を与えられている少年がいるのだが、ヘタレで弱くて逆にプリンセスから守られている件! しかも女の子になりたくて、さらにはイケメンや美形設定じゃないらしく、セーラー服を着て登校したらキモいからと不良にフルボッコ……。せめて喪じゃなくて「こんな可愛い子が女の子な訳ないじゃない!」設定でやって欲しかった。喪女装ではちっとも萌えない(笑)。というか、この男の娘って、性同一性障害設定にする必要があったのか疑問なんだけど……。

東京から来た会計検査院の三人が調査するうち、OJOという謎の組織に不明金が流れ込んでいる事に気づき、査察を進めるのだが、次第に大阪国という正体不明の組織が見えてくる。

それにしても、今や教育も福祉もセーフティネットもズタボロなのに、こんなしょうもない物に多額の税金を費やしているというのは、やはり許されたものではないと思う。土建屋と天下り官僚くらいしか喜ばないような、金権政党の議員がオラが村へ利権誘導している腐敗構造と比べたら多少はマシかもしれないが……。

いっその事、腐敗した中央ごと断ち切って、大阪国として正式に独立してしまえば面白いんだけどな(笑)。でも大阪も、前の知事が私腹を肥やすだけで何も仕事をせず、借金ばかり増やしてグチャグチャにしてしまったからもう駄目か。

ところで、富士山の不思議な光景という伏線っぽい部分は回収されないのだが、別の話か続編で使うのかね? 単なるネタで、本当は全然関係ないのかもしれないけど、気になるので是非使って欲しい。
軟弱な海底に石を積み重ねることから始ったこの大プロジェクトは、長い歳月と一兆五千億円の巨費を要してついに開港にこぎつけたが、未完の工事、莫大な償却前赤字等難問は山積している。公害と地域経済、地方分権、民活プロジェクトの将来―ここには現代日本の政治経済問題のすべてが関わっているのである。本書は現代のピラミッド建設過程を、参加して技術者、財界人、政治家、官僚の証言を通して浮彫りにする試みである。

駄目だ、古くて画像探せなかった……。

関空プロジェクトに対する光と影、といった感じか。あんな巨大建造物をよく造ったと感心するが、やはり立地的に難がありすぎて、コストがかかりすぎである。世界の国際ハブ空港として機能するには、あまりにも小規模すぎるし、この国には本当に世界的視野を持った政治家が皆無だなぁ。オラが町の道路ほじくるよりも、国際空港を整備しろと言いたい。アジア諸国が大型空港を整備している今となっては、もはや手遅れですが。

それにしても、神戸の節穴具合と節操の無さには辟易する。立地的には優れていたのに猛反対して潰しにかかり、仕方が無いので泉南方面で地道にプロジェクトを進めていたら、旨みが分かったのか、手の平を返すように邪魔して来る。「はぁ? あんたってバカぁ?」と、アスカ・ラングレーに罵倒されたら良いと思う。結局、後から強引に新空港を造って、同じ地域に三空港並存で航空管制が大変な事になっている。

首都圏と地方で、金の配分にあまりにも差がありすぎなのもどうかと思う。公金でやりたい放題の首都圏に対して、地方は民間に負担してもらえというのでは、あまりにも身勝手ではないか。
全5巻完結。

1巻、2巻と続き、その後は「純情派」、「The movie」、「夏」と名前が変わっていく。題名はDr.リアンだけど、リアンは他のヒロインに押されっぱなしで、あまり馬鹿な事もしないのでマニア向け。

ヒロインは岡崎さん。直人君が大好きという設定で、もう何でもアリな感じなのだが、直人本人は馬鹿なのか、全く好みのタイプじゃないのか、反応を示さず。本当は脇役だったはずなのに、レギュラー化してリアンや岡崎さん以上に目立ちまくりなのが、忍者もみじ。埋蔵金を守って人里離れていたので、常識と羞恥心皆無な、ある意味最強キャラ。あと、頭部以外はヒモ状になっている正体不明生物の師匠がいる。

徹頭徹尾、おバカなエロギャグに終始。結局、3年かかっても岡崎さんのラブロマンスは花開かずに終わってしまった。最後ぐらい、ラブラブにしてあげたら良かったのに、悲惨すぎる(笑)。それにしても、金髪ツインテールのデレデレで、可愛いし胸も大きいしお金持ちのお嬢様なのに、直人少年は一体何が不服なのか……。
働き盛りの46歳で突然死した椿山和昭は、家族に別れを告げるために、美女の肉体を借りて七日間だけ“現世”に舞い戻った!親子の絆、捧げ尽くす無償の愛、人と人との縁など、「死後の世界」を涙と笑いで描いて、朝日新聞夕刊連載中から大反響を呼んだ感動巨編。

「課長が死んで女になって生き返る」という情報しか入手していなかったので、もっと萌えな話かと思ったら、結構普通だった。しかも、仮の姿で戻っているだけで生き返ってないし(笑)。七日間という題名にも関わらず、実際に活動出来るのはその半分くらいしか無いし。

椿山課長だけでなく、あと二名が仮復活するので物語が分散してしまい、余計だなと思っていたら、最後のほうでお互いに関わってくる。仮復活組は全員男なのに、ヤクザ組長だけが性転換しないのは何故だろう? 椿山課長が妙齢美女で、少年がロリ美少女なのに、ヤクザだけがダンディになってしまう謎。

それにしても、妻に裏切られているのに恨まないし、椿山課長は良い人すぎる。もう1人の同期と結婚したほうが良かったのに……。

TSな話として読むと、椿山課長よりも、事故死してしまった少年美少女のほうが萌えな感じである。
探査宇宙船スタープレックス号は地球人とイルカ、六本足のウォルダフード族と統合生命体のイブ族という異星人の乗組員を乗せ、旅立った。建造者も建造目的も不明ながら、瞬間移動を可能にする謎の通路を使って、銀河系のさまざまな未知宙域を探険するのだ。異種族混合の乗務員を率いる宇宙船の指輝官キースが、壮大なる旅路の果てにつきとめた銀河創成の秘密とは…?ネビュラ賞作家のソウヤーが描く、驚異の冒険SF。

少しずつ開いていく銀河間ネットワークを利用して互いに行き来する事が可能となった地球人、イルカ、六本足のウォルダフート族、統合生命体のイブ族が、探査宇宙船スタープレックス号で新ルートを探る旅へと出かける。

銀河に張り巡らされたネットワークは、ワープホールのようなものであるが、一度誰かが入り口へ突入しなければ出口として機能しない。これにより、付近にあるホールが利用出来るようになるまで、未熟な文明は他の文明から隔離された状態で保護されている。人類を含め、他の二種族も超光速で自在に跳躍するテクノロジーは有していないので、誰かが新たに開かない限り、別の場所へ到達する事は出来ないのである。

何者が作ったのか不明なまま、そのネットワークを利用するのスタープレックス号だが、本来のルートではない場所に迷い込み、そこでダークマター生命体の発見を発見する。直後、何者かが穴を押し広げ始める。飛び出してきたのは、この宇宙に存在しないはずの、緑色をした恒星だった。恒星質量の物体すら移動させる力を有する正体不明の相手の真意は一体!?

これも、壮大な物語である。恒星を送り込んでくるネットワーク製作者の正体と理由を知ると面白くなくなるので、書かないでおく。

系外惑星

2009年3月13日 読書
1995年、はじめて太陽系外に惑星が発見された。この発見は、太陽系惑星を中心に組み立てられてきた惑星形成理論を大きく変更させることとなった。現在、最もエキサイティングで、さまざまな発展の可能性を秘めた本分野の魅力と研究の到達点をあますところなく解説する。

常識で考えたら、他の恒星系にだって普通に惑星くらいあるだろうと思うのだが、思っているだけでは駄目で、そこに惑星が存在するという証拠が必要となる。という訳で、かつては太陽系みたいな状態は稀有かもしれないという、奢りとしか思えないような説まであった訳だが……。

近年、他の恒星系で次々と惑星が発見されて、周囲に惑星が廻るという状態はありふれたものとなりつつある。従来の予測では考えられないような内側軌道に巨大ガス惑星があったり、妙な楕円軌道を描くものもあったりと、新たな発見がある度に従来の理論と常識が揺らいでいる。それにしても、まだ火星にすら手が届かないのに、他所の星まで見えるのには感心する。

難解な計算式だらけなので、数学に強い人間じゃないと、半分も理解出来ないのが残念。
恐竜はなぜ滅んだのか?この究極の謎を解明するために、二人の古生物学者がタイムマシンで六千五百万年のかなた、白亜紀末期へ赴いた。だが、着いた早々出くわしたのは、なんと言葉をしゃべる恐竜!どうやら恐竜の脳内に寄生するゼリー状の生物が言葉を発しているらしいのだが、まさかそれが「***」だとは…!?次次に披露される奇抜なアイデア、先の読めない展開。実力派作家が描く、心躍るアドベンチャーSF。

恐竜絶滅の謎を解くためにタイムマシンで過去へ行った二人の考古学者。そこにいたのは、英語を話すトロエドン。そして、その正体は……。

ただのタイムスリップでは終わらない。思いもよらないものが出てくるし、地球の重力が半分になっているし、太陽系の姿も今とは違う。白亜紀の空を飛んでいるトンデモないものも! さらに、現代パートでは過去改変による別の時間軸が形成されており、いろんな要素が融合して、有り得ない物語に仕上がっている。

捻りすぎてリアリティは乏しいかもしれないけど、これはこれで面白い。普通のSF作家では、ここまで変な時間旅行物は書けない。それにしても、恐竜絶滅の原因が隕石でも気候の変化でもなく、●●●●みたいな●●●による●●の変化が原因だったとは……。

この作家の話は、推理小説じゃないのにネタバレ出来ないものが多くて困るな。
有森静は精神が異世界の王女セーディアと入れ替わってしまった若菜を救うため、謎の組織「一の界」本部へ向かう。しかし潜入しようとしたとき突然バードに精神が飛んでしまい、動かなくなった体であっけなく捕らえられてしまう。精神がもどってきた静は、「宗主」と呼ばれる少女イゼラに再び助けられ、この世界についての不思議な話を聞いてしまう。驚く間もなく、宗主を殺そうと襲撃してきたロウギという戦士と共に、逃げるように異世界へのゲートに飛び込んだ。そこで静がみたものは―静の恋と冒険の行方は?大好評!異世界シンクロ冒険譚、第三弾が登場。

作者がまとめ切れなくて、区切りがなく2巻からそのまま続いている。教団幹部に追われて飛び込んだ先は、またしても別の並行世界。そして、砂漠に住む化け物に食われそうになる。

敵と戦うロウギと共に、なんとか女王セーディアがいた世界へと移動するものの、彼は女王(若菜)を殺そうと襲い掛かる。実は、全ての世界にセーディア(若菜)と同じ姿の人物がいて、それがキーとなっているらしい。教団は、全てのキーを集め、世界を元に戻そうとしているのだが、ロウギはそれを阻止するためにキーを殺そうとしているのであった。

分裂して多重世界構造になってしまった世界が元に戻ると、本物の世界だけが残り、他の世界は消滅してしまうのである。あまり盛り上がらないままに、敵の本拠地に乗り込んで最終決戦。ナンバー2とは戦うが、小さい子にしか見えない教祖とは戦わない。
有森静は小柄でおとなしめの男子。女の子のような名前でいじめられたこともあったけど、人気者の女子・椎名若奈も名前にコンプレックスを持っていたことから、なんとなく話すようになった。ある日、静はモニターとして参加した新型ゲームで異世界の人物に精神がシンクロして現実世界に戻れず、死の寸前まで追い込まれる。この事件がきっかけで急接近した静と若奈は、やがて高校一年になり、友達よりちょっと親密、という微妙な関係をすごしていた。しかし初デートの最中、若奈が突然、意味不明な言葉を発する。その言葉の中に懐かしい人の名前を聞きつけた静は…。好評!異世界シンクロ冒険譚「放課後ログイン」の続編がついに登場。

ログインしていた世界はゲームの中ではなくて、並行世界だった。異世界へアクセスするゲーム機器のようなものを開発したのは、ある宗教団体。厳密には宗教ではないのだが、これには政府の中枢にいる大物も関わっている。

そいつらがヒロイン椎名若菜を誘拐、しかし別世界の女王と中身が入れ替わってしまうので、前作「パートタイム・プリンセス」みたいな事に。一緒に拉致された主人公は、小さな女の子に助けられるのだが、実は敵宗教団体の大ボスというか、教祖様だった。

三巻完結なのに、並行世界どころか、多重世界構造にするのは話を広げすぎな気が……。ちなみに、ログインした先の中世っぽい世界も、現代世界も偽物で、教団の本拠地がある世界だけが本物だった。
中学3年生の静は新型ネットワークゲームマシンのモニターに当選する。届いたマシンを使ってログインしたゲーム世界は、実在するかのようなリアルな異世界。気弱であまり運動ができない静は、その世界で自分とは正反対の人物「バード」の体に入り込む。バードは逞しい戦士で、なにやら旅をしているらしい。それも可愛い系と美女系の二人の女の子と共に!うらやみながらログインを続ける静だが、えっ?ゲームキャラに怒られた!?もしかしてここって、実在する異世界!?ファンタジーと現実がクロスオーバーする冒険ストーリー。

これも前作の「パートタイムプリンセス」みたいな異世界←→現世界行き来パターン。最初は、ヴァーチャル世界に潜る「.hack」みたいな物を想像していたのだが、少し違った。

新しく出たゲームのモニターに当選した少年は、早速プレイしてみる事に。異世界に別の人物視点で入り込むのだが、その内容があまりゲームっぽくない。本当に存在するかのように振舞う登場人物達。そして、自分が入り込んでいるキャラ? が、少年の存在に気づいてしまうのである。

異世界での謀略に巻き込まれていき、好きな同級生そっくりな容姿の姫を守るためにログインする事になる少年。プレイ時間制限を超えて、覚醒しなくなったりする部分は.hackに似ている。

しかし、主人公が優しいだけで弱っちぃヘタレ君なので、全然盛り上がらない。やはり、.hackは超えられないか……。

 

2009年3月10日 読書

現代宇宙論の最大の研究テーマになっているダークマターとダークエネルギーの正体を追い求める物語。銀河の回転速度の観測から、宇宙は望遠鏡では見えない物質に満ちているらしいことが数十年も前から知られている。それはダークマターと呼ばれ、世界中の天文学者と物理学者がその正体を解明しようと努めてきた。ダークマターを検出しようとして世界中でさまざまな実験施設が作られ、検出まであと一歩のところまで来ていると考えられている。本書はダークマターの候補として有望なものを一つずつ、理論的な面から吟味してゆく。理論的な検討の結果、ダークマターはまだ発見されていない新しい粒子であることが明らかにされる。余剰次元を動き回る粒子などが有力な候補の一つとされる。もしそうだとすればダークマターが物質に見えているのは実は錯覚であり、本当は高次元の幾何のために隠されてしまう粒子の運動である。ダークエネルギーの発見はもっと最近のことで、宇宙の膨張速度が加速しているという観測結果に基づいている。宇宙の何もない空間にもエネルギーがあり、それはアインシュタインの重力方程式の宇宙項にあたると考えられている。ダークエネルギーがなぜ今のような大きさなのかという問題が取り上げられ、超ひも理論の真空の種類や人間原理といった最近のアイデアを検討している。理論的な天文学の最前線の雰囲気を楽しめる一冊だ。世界天文年2009日本委員会の公認書籍でもある。

宇宙というとてつもなく大きいものを理解するために、とてつもなく小さな正体不明の何かに焦点を絞る。一見、何も無い空間に思える場所も、実際には完全な真空や虚無状態ではなく、何らかの物質なりエネルギーが存在している。むしろ、星々を形成している物質のほうが少数派で、大部分はダークマターやダークエネルギーという何だかよく分からないもので出来ているのだ。

しかし、現段階ではそれが小さすぎて見えない粒子なのか、超対称性パートナー粒子なのか、超ひも理論のストリングなのか、知られている四つの力以外の何かなのか、全く分かっていないのが現状である。

それにしても、宇宙空間が広がっても、その正体不明の何かは密度が下がらないというのだから、これはもう宇宙の外側から入り込んでくるとしか想像出来ないのだけど……。外側にあるのが別宇宙なのか、余剰次元なのか、アザトースさんのお家なのかは謎だけど。

 

2009年3月9日 ???

ヒトゲノム・センターに勤務する気鋭の遺伝子学者ピエールは、帰宅途中、ネオナチの暴漢にあやうく殺されそうになった。ネオナチとなんの関わりもないのに、どうして狙われたのか?やがて、自分が連続殺人事件にまきこまれていると知ったピエールは、事件の謎とみずからの研究課題であるヒトゲノムに隠されている秘密に命がけで挑んでいくが…ネビュラ賞作家ソウヤーが、遺伝子研究の問題をスリリングに描く、会心作。

密林で検索したら、「フレームソフトでよろしいですか?」と聞いてきた。

……よろしくねえよ、おバカ!(笑)。
では、気をとりなおして。
 
SF文庫で出版されているけれども、これはSFではなくてミステリーだと思う。ヒトゲノムに隠された暗号解読に挑む遺伝子工学者ピエールは、帰宅途中にネオナチに襲われて殺されそうになる。直後、物語の舞台が第二次世界大戦中の収容所へと飛ぶ。ユダヤ人を虐殺する収容所で、ナチに加担する残虐なウクライナ人。

この時点では、ナチによる過去の忌まわしい出来事と、遺伝子工学者ピエールの関係は見えてこないのだが、細部に鏤められた、一見無関係な出来事が、ラスト付近へ向けての伏線となって行く。

ピエール自身が体内に抱え込むハンチントン舞踏病という死の時限爆弾。妻となるモリーの超能力、二人の間に産まれる娘の正体、ある保険会社が高収益を出すためのからくり、弱者を暗殺していくネオナチ。後半へ向けて一気に明かされていく謎、伏線の張り具合が絶妙である。

SFっぽさは感じないけど、キングやクーンツの良作を読んだ時の様なサプライズがある。   
ねえ、覚えてる? 空から蛇が落ちてきたあの夏の日のことを――本と映画と音楽……それさえあれば幸せだった奇蹟のような時間。『夜のピクニック』から4年、恩田陸が贈る、青春小説の新たなスタンダードナンバー誕生!

「夜のピクニックから4年。青春小説の新たなスタンダードナンバー」というキャッチに期待したら、かつて青春時代を謳歌した人々の回想としてしか青春は無い。すでに社会に出ている人の視点から回顧しているだけじゃないか。夜のピクニックとは全然違う!

大して苦労もせずに大学へ入り、その後もバブルの波に乗って、日本社会の美味しいところばかりを消費した当たりクジ世代の物語。その後も、小説家になったり、一流大企業から映画監督に転進したりと、順風満帆人生ばかりで、とてもご都合主義的。しかし、単に願望が入ったフィクションではなくて、こういう世代が本当にいたのだから嫌になってくる。そういえば、この作者も美味しい世代に含まれているよなぁ。

……こいつらが日本の美味しいところばかり喰らい尽くしたから、その後のやつが受験地獄、バブルの波に乗ろうとしたら自分の番が来る前に波どころか水まで無くなって焦土状態で、ひたすらババクジばかり引かされてるんじゃないか! 不公平すぎる! リストラされて一度くらい地獄見ろよ畜生め!!!!1

なんしか、人生の谷を経験していない幸福世代が主人公だから、どす黒い感情しか湧いてこなかった。夜のピクニックと同じジャンルみたいにキャッチつけているのも納得が行かないし。まあ、グダグダ感がないだけ良かったか。

廃墟建築士

2009年3月7日 読書
ありえないことなど、ありえない。不思議なことも不思議じゃなくなる、この日常世界へようこそ。七階を撤去する。廃墟を新築する。図書館に野性がある。蔵に意識がある。ちょっと不思議な建物をめぐる奇妙な事件たち。現実と非現実が同居する4編収録の最新作。

独創的で妙な話ばかりが四編入った短編集。淡々として起伏に欠けるのはいつも通り。始めの「七階闘争」は、自殺や他殺や事故が起こったのが、たまたま共通して七階だった事から、七階排斥運動が激化し、当局も事件発生を少なくするため弾圧してくるというもの。それに対して、七階に住む人や愛着のある人間が抗議するのだが、対象となるのが七階だけに、嘘臭くて変な話だ。

表題作となった「廃墟建築士」は、題名そのもので、廃墟を建築する男の人生を描いたもの。これが建築士ならごく普通の話で終わるところ、廃墟だからとっても変。最初から廃墟となる事を目的として建てるなんて、アネハ物件より酷い(笑)。

「図書館」は、超能力みたいなものでその場に存在しない動物を見せる話と、ちょっと繋がってる感じ。今回は特殊能力で図書館の本を開放するという、これまた変な話。

最後は「蔵守」で、何も入っていない蔵を守る人と、それを奪いに来る略奪者の戦い。しかし、どちらも同じ体制下で踊っている点で、なんだか「図書館戦争」の図書館職員vsメディア良化委員会の内ゲバみたいな感じが……。

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