秘密

2009年3月26日 読書
妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まった。映画「秘密」の原作であり、98年度のベストミステリーとして話題をさらった長篇、ついに文庫化。

妻と娘が事故に巻き込まれ、助かったのは娘、しかし中身は妻だったという魂入れ替わり。本当は夫婦なのだが、法律上は親子。これは辛い。結末も残酷すぎるので、男と女で評価が変わってきそうだ。

それにしても、やはり女。見事なまでに別腹人生を送っている。男も娘になってしまった妻とは別に、再婚すれば良かったのに。こういうのって、いつでも男のほうが可哀想だよな。その方が絵になるからだろうけど。

途中から娘が復活してきたかと思いきや、男性側に対して結末はあまりにも残酷だ。韓国で妻が失踪し、何十年も信じて待ち続けた挙句に、記憶を失った妻は別の男と結婚して別腹人生を生きていた人の話くらい可哀想だ。

何で女はいつも別腹人生を生きるのか! 女視点の物語ならまた違うかと思うが、男視点だと満足の行く結末ではないので、満点はあげられない。主人公の可哀相すぎる結末に、全米が泣いた! それにしても、東野圭吾って意地悪なエンディングが多いよね……。
この演説から新しい歴史が始まる!
●ベストセラー『オバマ演説集』の姉妹編。
●[英-日]完全対訳と詳しい語注付きで、英語初心者でもどんどん読める・聞ける。
●CDには臨場感あふれる生の音声を収録(*リンカーン「ゲティスバーグ演説」のみ吹き替え)
[収録内容]
●オバマ大統領就任演説(全文)
●ケネディ大統領就任演説(全文)
●リンカーン「ゲティスバーグ演説」(全文)
◎オバマ流「就任演説」のひみつを探る――本書のガイドをかねて
◎オバマ年表
◎ボキャブラリー・チェック

とりあえず、ネタとして古くなりすぎないうちに……。

今、最もホットな人物といえば、きっとこの人だろうけど、今までの大統領でこんなグッズみたいな商品は出てこなかったよなぁ(笑)。まあ、ブッシュの演説なんて、売ってても買う気はしないけど。

それにしても、この手の物を買っている層って、別に演説を聞きたくて買っている訳じゃないだろう? 「動画サイトやオバマのページで仕入れてきたら全部無料なのに、わざわざ買う奴は馬鹿」的な発言をしている子って何なの? 馬鹿なの?

そりゃ、1回聞いてみたいだけならそれでもいいかもしれないけど。根本的に何で売れているかという分析が出来ていないじゃないか。きっと、無料で仕入れた俺SUGEEEEE! みたいなゆとりの子だと思うけど。

わざわざ取ってきてこの形に加工するのって面倒じゃない? 一日100円で生活しているような赤貧ならやる価値あるかもしれないけど、普通の人なら時間を金で買うという視点で考えれば、せいぜい20分程度で動画加工したり、全文印字したりしないとやってられないと思うのだが。時給1,000円としても、この商品が1,000円なので、作業に1時間以上かけたら負けですからねっ!

唯一不満なのは、類似商品に、1,500円で2枚組ものが出てしまっている点。しかも、抜粋じゃなくて全文掲載っぽい。買うなら、『CD2枚付[完全保存版]オバマ大統領演説 』というやつのほうが良いかもしれませぬ。

スワンソング

2009年3月24日 読書
携帯もメールもなかったあの頃、僕たちの恋は強く激しく深かった。それでも気づくことができなかった。彼女が心の底で、哀しく美しい歌をうたい続けていることを―。同じ職場で結婚秒読みの僕と由香の前に現れた、アルバイトの由布子。ラスト1ページまで突き抜ける哀しみのラブストーリー、大崎“恋愛”小説の最高峰。

やはり大崎善生は上手い。だが、どれもこれもやるせない結末で、ハッピーエンドで終わってくれない。まだ完全制覇していないのだが、登場人物が幸せになる作品ってあるの? 正直、現実世界でウンザリする事ばかりなのに、物語の中でまで憂鬱な気分に浸るのは好きじゃない。

物語の前半で、まだ現役で活躍しているセナの話が出てきたりして、その時点でもう、これは過去へ遡っているだけで、“現在”に相当する部分では悲劇として終わっているのだろうなと思った。

同じ社内で始まった三角関係で、去られる女と新しい女の、両方がおかしくなって行く。精神が破壊されていき、やがて悲劇が訪れる。自らが蒔いた種が大事になり翻弄される男。自分では懸命に頑張っている振りをしつつも、実際には全力で立ち向かっているとは思えない。鬱病になった恋人の元に毎日通い、5回も駐車違反でレッカー移動されてしまうのだが、そこまでせっぱ詰っているならば一緒に住めば良いと思うのだが。

結局、二人の人間を破壊した挙句、仕事は捨てずにドイツへ転勤。その経験を生かして転職するというしたたかさは、読んでいて全くシンクロする事が出来ない。文章も物語も上手いのだが、気分が滅入る。
「ほめる教育」がなぜダメかを指摘し、コミュニケーション重視のインタラクティヴ型支援を提唱する。

出版点数が増大しても、それ相応の書き手が比例して増える訳ではないので、近年の新書はレベルが下がり気味なのだが、それにしてもこれは酷い。洋泉社新書クオリティとは、講談社新書も堕ちたものだ。

ほめる教育の弊害について述べたものかと思いきや、出してくる例が自分に都合の良い極端なものばかりで全く公平性に欠ける。いくらなんでも、猫かわいがりに褒めるのは、人をスポイルしてしまうから駄目だろう。そこまで極端な例を持ち出すからには、ほめない方には何をしても褒めてくれない頑固職人みたいな親父を出してこないと……。

ほめる教育で駄目な子が増えたみたいな事を書いているが、駄目な子を増やしたのはゆとり教育ですから! 大学も駄目な学生が多くなったかのように書いているが、これも少子化により、本来は合格出来なかった低レベルの人間が入れるようになっただけの話。プロ直前レベルで壁にぶちあたった人の事例では、それに至るまでのほめる教育を全否定。もう一段上がるためには、従来のアプローチを変更しなければならない場合があるのはよくある話で、いきなり今までの方法を全否定とは酷すぎる。ならば、その人はほめられずにそこまで到達出来たのか問いたい。

自分に都合の良い極論ばかり持ち出して、ほめるのは良くないと貶しつつ、じゃあどうすれば良いのかという点については中途半端なインタラクティブ型支援でお茶を濁すばかり。結局、自分がほめられない子だったからいじけているだけとしか思えない。気に入らない教授に対する個人攻撃も見苦しい。

このようなトンデモ本を何の批判もなく受け入れてしまう読者こそが、ほめる教育の弊害そのもの。この皮肉な状況に対しては、突っ込むべきなのか笑うべきなのか(笑)。

「ビッグコミックオリジナル」で連載の人気漫画の映画化。三國連太郎演じる社長で釣り好きのスーさんと、西田敏行演じる平社員で釣りと妻をこよなく愛するハマちゃんが繰り広げる、コメディドラマシリーズ第17弾。ゲストは、石田ゆり子、大泉洋、片岡鶴太郎。

TVでやっていたので。釣りバカとスパイダーマン2が同じ時間帯だったけど、ここは当然、釣りバカでしょう。というか、スパイダーマン2は観た事あるし、特撮は凄いけど、所詮子供用のストーリー展開なので、二度も観なくて良いかと思って。

釣りにはあまり興味が無いので、釣りバカもアウト・オブ眼中だったのだが、観ると意外に面白いよな。釣りばかりやっているイメージがあるけれども、周囲の人間のドラマが波乱万丈で興味深い。

今回は憂いのある美女社員が再雇用制度で復職。以前、高学歴で外資系に勤める男と結婚して寿退社していたのだが……。美女は隣のアパートに住む美術教師に奪われてしまい、ハマちゃんの家に入り浸る船乗りのおっさんは、見事に玉砕、哀れ(笑)。

最後、ハマちゃんと一緒にいた社長が女性と一緒に消えてしまうのだが、あの人は現地妻か!? 釣りバカだけど、釣り成分がいつもより少なめだった。
「学校で十年やっても、使えない」。世間の不満と経財界の要望に押され、近年英語教育の強化が叫ばれている。小学校英語の導入、高校での授業改革等々、これらの改革は何をもたらすのか。真に目指すべき「ことばの教育」とは。

学校英語教育の混迷度合いが酷い(笑)。一体、文部科学省は何がしたいのか。結局、少しくらい早く教えても、中学高校の英語が旧態依然としたままだし、無理なんじゃなかろうか。私が習った教師で、本当に英語が使える英語教師なんて1人もいなかったぞ! 英語を習得させる気があるなら、NOVAが無くなって路頭に迷っている外国人と全部入れ替えてみたらどう?

高校では無理やりな感じで全部英語で授業するというような無茶苦茶な試みをするみたいだが、絶対に無理でしょう!? そこまでやるからには、少なくとも政府高官や議員辺りは、英語ペラペラになってからでないと、全く説得力がありませんよ! とりあえず、衆議院と参議院は当選した後で英語の試験をやって、TOEICの点数が860点~990点に満たないやつは当選取り消しにしてやるとか、どう? そんな事をしたら、与党の馬鹿議員が壊滅して、共産党だらけになったりして面白そうだけど。

ちなみに、860点~990点というのは『Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができるー自己の経験の範囲内では、専門外の分野の話題に対しても十分な理解とふさわしい表現ができる。Native Speakerの域には一歩隔たりがあるとはいえ、語彙・文法・構文のいずれをも正確に把握し、流暢に駆使する力を持っている。』という基準である。

英語よりも、まずは国語力だろうという反対意見には同意。最近では、まともな国語力を身につけていないゆとり脳な子供が多すぎると思う。間違いを指摘したら逆ギレするし。三点リーダどころか句読点すらまともに使えず、初歩的な間違いばかりしている厨二病患者が「ぁたしゎ小説家になりたぃです・・・」とかほざいてやがるし。
米国からの戦力が増強された。その名もルーシーMark3.5。しかし、女性用のも開発しようとしたら予算が足りなくなり、両方混ぜて上半身が女、下半身が男というのはいかんだろう! それって、ただの男だと思うけど……。せめて両方付けてふたなりか真性半陰陽にして(笑)。
最近、人気があるみたいで中古市場で価格が高騰して来た……。それにしても、緑とはマニアックな(笑)。このカラーがユリア100式の基本色なんですかね!? 米国本場仕様でライバルになる筈だったルーシーMark2は、何故かスカウトされて芸能界デビュー。しかし、わざわざアイドル系統で売らずとも、もっと適職があるだろうに。何が適職なのかは言えませんが。やはり、一般誌という制約によるものなのか!?
大富豪・李大人の屋敷で働くことになった少年・李衛は、白家へ大事な書物を借りてくるというお遣いに出る。雨が降っているわけでもないのに、着ている物が濡れて重くなる。路地には蟹の鋏で首を挟まれた猫、人気のない白家では壁から一抱えもある魚が泳ぎ出て来て仰天。果たしてその魚は、白家のお嬢様?不思議な話の数々、中国志怪風の“怪しい話”20話。第2回『幽』怪談文学賞短編部門優秀賞作品の文庫化。

メディアファクトリーだから、ラノベに毛が生えた程度だろうと思っていたら、意外にハイレベルだった。中華風の妖しげな怪談が盛り沢山。中華だけでなく、朝鮮、インド、日本と思われる部分まで広範囲にカバーしている。ただし、不条理で不幸な結末に至る短編が多く、オチも弱いのが惜しい。読み終えて「だから何なの?」とか、「えっ!? こんなところで終わり」と思う話が結構あった。もう少しサプライズが欲しかった。文章力もある事だし、次は中篇以上でやってくれないかなぁ。
メイドいんジャパン 1
富豪に買われるため、男であることを隠してメイド女子高に通う井上成美が、週末実習で派遣された先はメイド嫌いのお嬢様! 世界に誇れる「おもてなしの心」を胸に、日本のメイド=メイドインジャパン・成美の闘いが始まる…!?

メイド物だが、主人公(表紙の人)が男だった……。金持ちに買われて良い目を見ようと、実母が息子を無理やりメイドに! お約束でツインテールなお嬢様も出てきて百合っぽくなるのだが、メイドが男……。メイド学校の先生なんて真性百合属性だし、ぶっ飛び具合がカオスである。

ツインテール娘は、父がメイドに入れ込んで家庭崩壊したと思い込んでいるのだが、主人公の危機を救った超凄腕の美女メイドが、実はお嬢様の父親……。おっさんなのに見た目が美女(装)すぎる(笑)。

なんかもう、別次元へ行き過ぎている感じの内容だったけど、実は普通のメイド物にしようとしたら、流行りだから主人公を女装メイドにしましょうと、担当が設定無理やり変えさせたらしい。何という鬼(笑)。しかも、その後すぐに秋田の最前線、週刊チャンピオンに異動してしまったらしい。作者にこんな設定押し付けたまま、自分は花形部署に消えるとは、何という悪魔(笑)。
<「脳がなにかと言い訳する」とは?>たとえば、ショッピングで気に入った服が二つあったとする。高価なので、どちらか一方しか買えなかったとき、後で「あのときの選択は正しかったのだ」とばかり、自分を正当化する理由を探し始める。その服の好きな点を探したり、あるいは買わなかった服の欠点を挙げたりなどして納得する。その時脳は、もっともらしい「言い訳」を探し出す。「後悔していない」、「あのときの選択は正しかった」という潜在的な意識を働かせるのだ。「後悔を嫌う」という本能があるからこそ、脳は私たちの人生を幸せなものにすることができる(ようにできている)。

脳細胞って、だんだん減っていく訳ではないらしい。毎日何万個も脳細胞が減るとかいう噂は、平均しての話であって、実際には産まれた直後に激減して、その後はさほど減ってはいないのだ。つまり、とりあえず余分に造っておいて、余分な細胞を捨てているだけなので、減っても問題は無いのだ。大人になってからも、頭ポカポカ殴ると、多少は減るかもしれないけど……。海馬と呼ばれる部分は、使えば増えていくらしい。頑張って鍛えましょう。

記憶は消滅してしまう事もあるらしい。情報を取り込んだ後、記憶遺伝子が働いて記憶をインプットして初めて、記憶は頭に残るのだが、それを取り出すと頭にある保管場所からは消えてしまい、上書きされて再度記憶されるのだ。よって、中途半端に思い出したままで上書きされないと、そのデータは消滅してしまうのだ。勉強した時に、中途半端な復習をするのは有害なのであった。

人間に自由意志が無いだろうという話には驚く! ボタンが目の前にあった場合、それを押そうと思って脳が働き実際に押すのではないく、まず脳が働き、それによって押そうと思い始め、ボタンを押すのだ。という訳で、意思より先に脳が動いているのであるから、それは単なる科学的な反応にすぎないのだ。より単純な生物だと、それが顕著に現れる。ボタンを押そうと思って押すのは自然な反応だが、それを思いとどまる事は出来る。よって、人間に与えられているのは自由意志ではなくて自由拒否なのだ。

全ては脳内物質や伝達回路の仕組みによって構成された科学的な反応の結果であって、我々に自由意志など存在しないのだ。きっと、ラプラスの魔ならその事を正確に理解している筈だ。
近年、数字に顕著に現れている日本の若者の学力低下、読書量の不足、意欲の衰退──。 萎縮する人間から「できる」大人になるための、必要な条件を提案する。力強い「教育力」を取り戻す!

また密林にリンク出来ないし!!
 
 
 
結局、題名になっている部分についての明確な解答は書かれていないんだね……。学ばなくなった現状とどうすべきかについては同意するけど、なぜ? の部分にきちんと答えられていないのが不満。少子化、ゆとり教育等、様々な原因が考えられるけれども、安易にアメリカ化やロックやインターネットのせいにするのはどうかと思う。

バカが増殖しているのは事実であるけれども、そんなにバカ、バカ言って大丈夫なのか? でも、馬鹿にされるような層はそもそも読書なんかしないので、本書で悪口書かれても気づかないか(笑)。

「リスペクトの精神」を喪失した事も一因に挙げているが、国政の中枢にいるエリートすら好き放題で無茶苦茶やっている現状、もはやリスペクトするのに相応しい人材も枯渇しかけているんじゃないのか? 教師だって、デモシカやウマシカだけでなく、不正操作で採用された黒い奴らや、担当生徒の制服や体操服盗むブルセラショップと間違えてるんじゃないかと思いたくなる糞がいる中で、どうやってリスペクトしろと!? まずは、大人がリスペクトされるに相応しい言動を取り、まっとうな社会を作らなければ、何を言っても説得力皆無。

教養を身につける事の大切さを語る部分が、エリート視点に偏りすぎに思える。「なぜ日本人エリートは学ばなくなったのか」なら問題は無いが、日本人全般で語る以上、もっと平均値で論じなければ駄目なのでは!? ガンダムを語る奴は駄目で、マルクスやドストを語る奴はそんなに偉いのか? ガンダムオタク、マルクス原理主義者、ドスト厨、どっちにしてもキモイと思うが。ゲーテやニーチェやカントを読んで、青臭い事ばかり言っている教養のある青二才がそんなに偉いのか? 中卒で教養なんかなくて小さな町工場でモノづくりに励んでいるおじさんのほうが、そんな奴らより1万と2000倍は偉いぞ。「学ぶ」という行為は、なにも高尚な古典文学や思想を読むだけではないと思うのだが……。

ところで、読書しても人生の暇潰しでしかなく、何にも変わらない感じがするのは、気のせい!? どれだけ読んでも、ちっとも頭なんて良くならなかったし、人生のレベルアップ音も聞こえてこないですぞ! 単に、まだまだ量が足りてないだけとか? 

パトラッシュぼくもう読みつかれたよ、両目がとっても痛いんだ……。

波打ち際の蛍

2009年3月20日 読書
川本麻由はかつての恋人によるDVで心に傷を負い、生きることに臆病になっていた。ある日通院先で植村蛍に出会い、次第に惹かれてゆくが…どこまでも不器用で痛く、眼が眩むほどスイートな恋愛小説!!

普通の恋愛小説じゃなくて、主人公となる女性がメンヘルさんだったのが、かなり痛い。しかし、元から精神異常だったり電波さんだったりしたのではなく、過去付き合った男のDV攻撃によって壊れてしまったという外的要因となっているので、それほど本人に責任がある訳でもないだろう。

しかし、痛いシーンが出てくる訳でもなく、本人が隠したがっている事もあって、過去の出来事はほとんど語られない。新たに出会った男性を上手く関係が作れない状態で苦悩する姿が描かれるのだが、淡々としたままで楽しい物語ではなかった。

この作者は痛い要素を入れたがるのだが、実体験が無いからか、その部分が非常に薄口になってしまうのが毎度のパターン。中途半端なのはいけない。無難に抑えるか、徹底的に人の醜悪な部分を抉り出さないと……。
サメの顎が退化した耳小骨、トカゲの眼のなごりの松果体、舌にのこる「二枚舌」の痕跡、男にもある「子宮」、サメ肌から生まれた歯など、祖先とは機能を変えたり、失ったりした器官をみれば、ヒトの進化の道をたどることができる。

退化と聞けば、進化の逆で旧式に戻されるようなイメージがあるが、工業製品ならともかく、生物学では事情が違ってくるようである。進化も退化も進行方向は同じで、生存により適した形態に変化していくというイメージがより正しいのだろう。

必要な部分は進化して行き、使わなくなった部分は退化して行く。それは決して旧バージョンに戻ってしまうのではない。退化も進化の一形態なのだ。それにしても、生き物が自ら望んでいる訳でもないのに、遺伝子が都合の良いように体を変形させていくというのは、非常に上手く出来ているけれども、ある意味、怖い話ではある。
不思議なことにニュートリノは左巻きスピンのものしか発見されない。この世界と「鏡の中の世界」との対称性の破れに密接にからむ「弱い力」のなせるわざだ。物理学者を悩ませ続けた「弱い相互作用」の複雑なしくみをわかりやすく解説する。

少し前まで、ニュートリノは仮説上の粒子だったし、実際に発見されてからも、ほとんど何にも干渉せずに地球を突き抜けてしまうほどの存在なので、質量の有無すら分からなかった訳だが、スーパーカミオカンデのように巨大な設備を造って様々な事が分かってきたようである。

ニュートリノには質量がある。という事は移動速度は光速より遅く、右巻きのスピンも発見されなければおかしい事になる。何で左巻きスピンばかりなのか? それは、神が左利きだから、クセが出てしまっただけなのか?

ニュートリノも捉えられるようになって来たのだから、そのうちヒッグス粒子とか超対称性粒子とか重力子とかも見つかるのかね!? SFに出てくる超光速粒子タキオンに関してはハーバード大学の教授が存在を否定していたけど……。

物理学の究極理論 超ひも理論がわかる! 相対性理論と量子力学を結びつけ、4つの力を統合する究極の理論と期待される「超ひも理論」。さらに「多次元宇宙」「ブレーン世界」など超ひも理論によって導き出される驚異の宇宙像を、数式を使わずにわかりやすく解説する。

イラスト、図、表が多用されているので分かりやすい。尤も、扱っている内容が量子物理学の中でも相当高度な部分になるので、これでも分からなければ、まだ読み手が理解するのに相応しいレベルに到達していないかと……。

ニュートンとグレゴリーの林檎を並べる話は笑った。それにしても、余剰次元だけに止まらず、最近では時間軸すら複数という理論を考え始めた物理学者も出てきた様で、一体、量子物理学の世界は何処まで行くんだ!?
素朴で真面目で礼儀正しくて。一見ふつうの5年生だけど彩乃ちゃんには、見えている。周りの人のちょっとした未来。うまくいかない相手と仲良くする方法。幸運をよぶ少女と迷える人たちのひと夏のできごと。注目の著者が描く優しいファンタジック・ストーリー。

彩乃ちゃんという名前の、特殊な力を持った少女が新興宗教の二代目教祖として登場する。題名がコレだから、彩乃ちゃんが主人公だと思っていたら違った。

夜散歩、石階段、夏花火と三編ある短編に異なる三人の主人公が登場し、各人物の人生に一部関わる事になるのが彩乃ちゃんである。彩乃ちゃんは祖母から受け継いでしまった不思議な力で未来まで視えるらしく、それぞれが彩乃ちゃんのお告げを受ける事になる。

「夜散歩」では、教祖が亡くなり、教団内部の権力争いによるゴタゴタから守るため、ある男が彩乃さまを預かってくれと智佳子に頼み込んで来る。半ば無理やりな感じで彩乃ちゃんを預かる事になるのだが……。

続いての「石階段」は、人を利用する術に長けている同級生に誘われたまま、たったひとりで山に埋もれている石の階段を掘り出す事になってしまった男子高校生に彩乃ちゃんが絡んで来る。智佳子に貰った物を持っているので、これは時系列でも二番目の話。

最後の「夏花火」は、彩乃ちゃんと同世代の少女が主人公になる。東京と田舎のギャップで、上手く地元民と溶け込んでいない佳奈の現状も視えてしまう彩乃ちゃんが貸してあげたのは、先の二編で貰った大切な物。

予知能力により不思議な力を使う彩乃ちゃんだが、それほど派手な力技ではなくて、よく注意していないと見落とす程の、些細なお告げしかしていない。大人の事情によりあちこちに連れて行かれているのだが、全てが視えてしまう為なのか、まだ少女なのに超然としているのが魅力的である。

やや淡々としすぎなので、派手なのが好きな人には物足りないかもしれない。
娘を亡くした日も、妻を亡くした日も、男は駅に立ち続けた…。映画化され大ヒットした表題作「鉄道員」はじめ「ラブ・レター」「角筈にて」「うらぼんえ」「オリヲン座からの招待状」など、珠玉の短篇8作品を収録。日本中、150万人を感涙の渦に巻き込んだ空前のベストセラー作品集にあらたな「あとがき」を加えた。第117回直木賞を受賞。

第117回直木賞受賞作。

読了した筈なのに、データが無いので少しだけ。実は、かなり昔に読んだので、内容があまり思い出せない(汗)。鉄道員と書いて、ぽっぽやと読ませる。なんとなく、ヤンキー言語みたいな無理やり感。

長編かと思ったら、表題作を含む短編集だった。なので一編が短く、映画化もされて有名な「鉄道員」はすぐに読み終えてしまう。しかし、短くても心に響くものがある。売るためにダラダラと引き延ばすジャンプコミックやラノベとは、やはり一味どころか一桁違う。

映画のほうは、広末涼子はどうでも良いが、高倉健が渋くて良かった。

プロキシマ1.3

2009年3月17日 SF特集
プロキシマ1.3
粟岳高弘、デビュー4年目にして初の単行本!かわいい女の子が主人公の、ステキな一冊です。

品切れ状態だし、密林では取り扱いさえ無いし、古本屋を廻っても出会えないので、もう諦めかけていたけど、ゲット出来た!! まあ、一応は年齢制限付きの雑誌に掲載されていたみたいなので、指定マークが入っちゃっていますが。

しかし、エロ度合いで見ると小学生女児が読んでいる小学館の少女マンガよりも使えないクオリティなのでOKかと。 これで駄目なら、声のレッスンとか言いながら女子高生を押し倒したり、血が繋がった妹を押し倒したりする少女マンガはもっと反則になるはずだから。(駄目なら先にそれを指定入れて制限して下さい。)

ある女の子の描いたらくがきで対消滅エネルギーが発生したり、別の恒星系付近の閉鎖空間で、1人だけ生き残った女の子が仮想現実世界に囚われて、20世紀後半あたりの日本で生きていると思っていたり、知らないうちに地球がデネブとプロキオンに分割統治されている世界で、エイリアン王子を守るための戦闘用魔法少女にさせられる話とか、妙なSF設定だらけ。空間を曲げたり接続したりしているけど、実際に使っているのは魔法じゃなくてブラックホール応用技術っぽいけど。

「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない」
アーサー・C・クラーク


楽しくなければ生きてる意味はない、と言わんばかりのポンちゃん流生き方をつづった極上エッセイ。バリ珍道中からトリップな毎日、懶惰な休暇から哀愁のヨーロッパまで、すべてをパラダイスにしてしまう極意とは?読めば読むほど幸福な気分になれる痛快ポンちゃんシリーズの決定版。目からウロコの一冊。

楽しくなければ生きている意味はない、か……。そうなると、人類の大部分は生きている意味がないって事にならないか!? 某ポリアンナみたいに無理やりなプラス思考で良かった探しでもすればプラセボ効果で何とかなるのかもしれないが(幸せだと自分で自分を洗脳したところで、客観的現状は何ひとつ変化しないのであるが)、そもそも幸せの原資が人によって違うからねぇ。お金と同じで幸せも不幸も同じ場所に集まるものである。幸せな人はどんどん幸せに、そうでない人はどんどん嵌るのがこの世の仕組み。

せめて、健康や教育の機会均等くらいは守らないといけないと思うが、今や義務教育すら受けられない底辺層が出現しているからね。一体、何処の東南アジア、アフリカ諸国の話なのかと思ってしまうが、これは日本のお話。単に気の持ちようとかの問題ではない段階まで来ているよ。そんな事はない! その人のプラス思考次第と言い張る奴は、自分が裕福な立ち位置にいて何も見ようとしない愚者か偽善者、そうでなければ単に頭がお花畑になっているポリアンナ症候群(←勝手に命名)に相違ないと思うのだが。

内容と全く関係なくてすみません。大昔に読んで手元に無いから再読出来ませぬ。とりあえず、ポンちゃんシリーズ? は、ここまで読んだという記憶だけ残っている。

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