駆け落ち夫婦が開いた京の道具屋は新撰組や龍馬がお客。"見立て"と"度胸"で幕末の世を渡っていく「はんなり」系痛快時代小説誕生。

第139回直木賞候補作。

時代小説は苦手(というか、江戸時代が嫌い)なのであまり読まないのだが、直木賞候補作となったので挑戦してみた。もっと古い時代の話なのかと思ったら、一応は江戸時代でも、幕末の頃だった。

京都の道具屋と、そこに嫁いだゆずが主人公となるのだが、主人は長年使えた由緒正しき店の元雇われ人で、ゆずと一緒になるために独立して店を持っている。ゆずはその店のお嬢だったのだが、一緒になるために駆け落ち状態になっている。ゆずが欲しければ店を持って千両持って来いと言われたところから、独立して千両もこさえたのだが、お金を受け取って貰えずにいる状況で、題名の千両はここから来ている。

幕末なので、やって来る客も有名人が多い。新撰組は粗暴な悪人役になってしまっており、少し可哀想な扱いである。難癖つけて金品強奪、町人を拉致して身代金を要求。これでは単なるならず者じゃないか(笑)。どこかのテロリストと変わらないね。
ISBN:4829658150 文庫 七海 ユウリ フランス書院 2007/06 ¥680
「今なら言えるの、あなたのこと大好きだって」高貴なプリンセスにして、いつもケンカばかりしてきた少女騎士。ドレスをはだけたエウレカが愛しくてたまらない。

親の都合でシャルノア王国に観光旅行に来ていた剣道少年が、海辺で美少女を助けたものの、ハプニングからパスポートをビリビリに破られ、帰国出来なくなってしまう。途方に暮れていると、見知らぬおじさんに助けられ、家に連れて行かれると、そこはお城だったというご都合主義。おじさんは王様で、浜辺の少女は王女だった。

それにしても、この主人公が節操無い。相手が王女だろうとお付のメイドだろうと遠慮せずに……。こんな事したら死刑になりそうだ。しかし、ご都合主義により全人類の半数が憧れるという究極の逆玉の輿状態に。
ISBN:4829657995 文庫 七海 ユウリ フランス書院 2006/11 ¥680
「今夜の私はあなただけのお姫様」高貴なドレスをはだけ、まぶしい美乳をあらわにして、すべてを捧げてくれる王女エリス。無垢な唇も、真っ白なオッパイも、神聖な××も、ぜんぶ好きにしていいんだね?ひと夏だけの関係だから、今夜でお別れだから…僕はエリスを力いっぱい抱きしめた。

なんとなく、絵に釣られてしまったけど、絵師がものすごく手抜きしている。まともに書いているのは表紙だけで、中身はラフ画というか、下書きみたいなので、これは時間が無かったのか? 某所でも絵だけで点数下げられているけど、これでは作者が可哀想だ。

王女物だし、異世界だとばかり思っていたら現代だった。日本に遊びに来ていた王女が事件に巻き込まれ、偶然出くわした少年が助けた事で、らぶらぶ!(笑) それにしても、同じ王家に生まれながら、意味不明な国法のせいで、双子の姉だけが王女で、妹が従者にされているのは悲惨である。
コスプレ温泉
ボーナスを翌週に控えた初夏のある日―『そげな銀行』西竹口支店の店頭係・乾岬(二十三歳)は、ビル街にある公園でアニソンを口ずさみながら放心状態となっていた。なぜなら、その日の朝礼で突然、専門職以外の女子店頭係の全員解雇を言い渡され、退職金もないまま放り出されてしまったからだ。これからのことを考える余裕もない岬―そんな彼女に、後輩の竹川頼子が声をかけてくる。果たして頼子の目的は?三年半にもわたる綿密な取材のもとに描かれた、吉岡平入魂の一冊。

検索機能が劣化しすぎ……。
ちっともリンクしないじゃん。


吉岡平、初挑戦。無責任シリーズを大量生産しているので、乱発しているだけで中身はたいした事無いんじゃないかと思う反面、入れ替わりの激しいラノベ作家の中で長期間生き残っているのだから、実は結構面白いのかもしれないと生温く期待もしてみたり……。

まあ、ベテランだからか、文体は無理なく、普通に読めますな。中身がかなりヲタっぽくて引きそうになるけど。銀行が国有化されてしまい、いきなりリストラされてしまった女性行員が、後輩に連れて行かれてレイヤーデビューしてしまう。

カノンから始まって、ピア・キャロット、ラ・ビ・アン・ローズ、妲己ちゃん、カードキャプター、モリガン、でじこ、春麗……。実在するものばかりゴロゴロ出てくる。こういうものは大抵、著作権の絡みからか、全部オリジナルだったり、よく似た名前で誤魔化すものだけど、そのまま使っているのが凄い(笑)。書かれた時期がちょっと古いから、初音ミクが出てこなくて残念だ。

しかし、そのままだとちっともコスプレ温泉じゃない。温泉は一体どこに!? と思っていたら、実家の温泉宿が潰れそうになって呼び戻される。元後輩行員にして先輩レイヤーもついてきて、抱えた負債をコスプレ温泉で完済計画!?

それにしても、三年半もかけて自腹で潜入取材するほどの題材だったのだろうか? 趣味も兼ねてないと、実益だけではとてもやってられないと思うのだが。
「声に出して読みたい」「口に出したい」などの言葉を冠した書籍は数多くあるが、たとえば僧侶が読経している時の脳波は、モーツァルトの曲を聴くときと同レベルのアルファ波を出すというデータもある。素読は脳を活性化させると同時に、反復・持続することによって感性を磨き、学問の素地をつくるのに最適であるという。本書はこの素読の価値を学問の見地から検証するほか、古今東西の名文や聖書を取り上げながら、声を出して読むことの意義を説いている。

画像が無かったので、復刻版で代用。実際に読んだのは絶版となった講談社現代新書版。音読の有用性を説いた良書。漢文や古文だけでなく、ドイツ語やフランス語などの外国語習得にも実践出来ると思う。
走れ醜男 旅立て夫婦。注目の新鋭が描く低速ロード・ノベル。これ1冊で日本縦断の気分です。夏が終わる夜明け、北方の地より、醜男はオートバイで走り出す。海沿いの道を下って、南へ――。
秋――リストラで失業した夫婦は、借りたクルマで旅に出る。国道1・2・3号線を、南へ――。

第126回芥川賞候補作「南へ下る道」収録。

「醜男きたりなば」と候補作「南へ下る道」の二編が入っているが、関連している。「醜男きたりなば」では醜男が主人公で、北海道を旅立ち、旧友が暮らしている東京を目指してバイクで南下して来る。東京には、引越しもせず、かつての狭い部屋に住み続けている旧友がいた。そして、その妻も……。

「南へ下る道」では、醜男が訪ねた旧友夫婦が主人公となる。リストラで電気店の仕事を失った男と、パン屋をリストラされた妻。妻は靴屋で働き始めるが、車を預かるという依頼が来た事で九州に行きたがり、仕事を辞めて夫婦で九州まで旅に出る。

リストラされてピンチなのに、後先考えず旅に出るなんて、楽しそうだな。
塔と水路がある町のはずれ、「水無月橋」で見つかった死体。一年前に失踪したはずの男は、なぜここで殺されたのか?誰も予想できない結末が待っている!!恩田陸が紡ぐ、静かで驚きに満ちた世界。

第140回直木賞候補作。

またしても、重量級! このページ数だと躊躇してしまう。でも予約本だからな、しかも直木賞候補作だしな。万が一受賞なんてしたら予約殺到で読めなくなるしな。受賞は無理だと思うけど、頑張って読んでみる事に。

ある町にある水無月橋で殺された男の謎に迫る! しかし、最初のほうから中盤にかけて、ところどころに「あなたは……しました」形式の二人称部分があるので、非常に読みづらい。これがあるために、物語の中に入っていく事が出来ずに苦戦した。

視点も、町に住む様々な人物に切り替わって行くので疲れる。一体、誰を軸として物語を読み進めば良いのやら……。真相に迫るにつれて、ミステリーとはかけ離れて行き、トンデモな結末へ。キャッチに「誰も予想できない結末が待っている!!」なんて書かれているが、こんなトンデモ展開、宇宙からの電波を受信している人以外は予想出来ないし、する必要も無いです。

とりあえず、ミステリーだと思って読み始めた人は、最後で地団駄踏んで憤りたくなる事だろう。ファンタジーか何かだと思って読むにしても、恩田陸らしく、毎度の後半グダグダな展開だし……。これはもう、通常の三倍は恩田陸ファン専用だね(笑)。

それにしても、こんなので直木賞を狙うのか!? 何で「不連続の世界」で勝負しないのか……。最近の選考委員の中の人はよく判らないから、こういうのでも無理とは言い切れないけどさ。

不連続の世界

2009年1月5日 読書
『月の裏側』の塚崎多聞、再登場!詩情と旅情あふれる、恩田陸版「怖い話」。

独立した五編なのだが、「月の裏側」の塚崎多聞が出てくる。ところで、塚崎多聞ってどんな人だったっけ? 「月の裏側」を読んだのが結構前だったので、もう印象に残ってない……。というか、あの作品に出ていたのなら、もう別の何かに変えられてしまったりするんじゃ!?

物語には直接絡んで来ないのだが、どことなく都市伝説風な「木守り」男がちょっと不気味だったり、聞いた人が死んでしまうという伝染歌風な話に隠された、真実かどうかは確認出来ない意外な結末など、不思議系の話が多い。内容としてはホラー領域にも入っているけど、怖くは無い。

「幻影キネマ」は、呪いのように思えるが、実際のところは思い込みな訳で。この世に存在する呪いが全て思い込みとは言い切れないけど、大抵の呪いは単に確率の問題だと思う。たとえ当事者にとっては呪い以外の何物でも無いとしても。それにしても、この程度で呪われていたら、この物語に出てくる呪いの持ち主より1万と2000倍は呪われている私の立場はどうなる……。

これ、塚崎多聞だけじゃなくて、「中庭の出来事」や「象と耳鳴り」などの他作品からも、登場人物が脇役で出てきてるみたいだが、「中庭の出来事」はもう忘れたし、「象と耳鳴り」は未読……。

連作短編形式だからか、途中からグダグダにならず、上手く纏っている。こっちのほうが「きのうの世界」よりハイレベルなのでは!? なんで「不連続の世界」を直木賞候補にしなかったのか。

空想非科学大全

2009年1月3日 読書
『空想科学読本』でおなじみの柳田理科雄の初期傑作。「ウルトラ兄弟の活動時間」「仮面ライダーの改造手術」「宇宙戦艦ヤマトのワープ航法」など、空想科学世界の理不尽な出来事をマジメに大研究すると、意外な真実と爆笑の結論が明らかに!?長らく手に入らなかったベストセラーが、文庫となって待望の復刊。内容を徹底的に見直した、増補改訂決定版。

ヒーローが活動出来る制限時間や、秘密基地の立地条件など、空想科学世界のお馬鹿な約束事に着目。様々な事が、製作者の適当すぎる設定で決められていて笑える。別に設定厨になれとは言わないけど、もう少し勉強してから決められないものか……。

まあ、お馬鹿設定でも単純明快だった分、アホでもついていける内容だったと言えるかもしれない。最近のは大きいお友達をターゲットにしているのか、やたら難解なものが増えてきて、お子様がついて行っているのか心配になるのだが、どうなんでしょう?
「私はホッケになりたい!」とつぶやく借金苦の女。「SMは天職!」と言い切る女王様。「UFOに乗った!」と宇宙哲学を語る謎の美女。そして女子プロレスラー、ピンサロ嬢、さらには実の母…!オーケンの周辺に出没するヘンな女性たち、そのすべてが強く逞しく、そしてけなげ。愛と優しさに満ちた爆笑エッセイ集。

ただのエッセイかと思ったら、様々な女性に大槻ケンヂがインタヴューする形式になっていた。自分の元おっかけにインタヴューして、余計な事までバラされたりもしている。SM女王様や15歳の少女プロレスラー、虐待親父に暴行されまくっている人、すぐ男に貢いで体も捧げるお馬鹿ちゃん、UFOを広めようとする電波さん、ヘビーな人ばかり出て来て強烈である。
「やっと見つけた」―少女は言った。さらさらの黒髪にくっきりとした大きな瞳。憂いを帯びた小ぶりな顔は高校生とは思えぬ艶っぽさがにじみ出ている。噂の転校生。双子の観池姉妹の片割れ―。誠一は不思議な高揚感に心を振るわせた。幼い頃から異常な記憶力を持つ藤沢誠一は、その特殊能力も発揮することもなく、ふつうの高校生活を送っていた。しかし、ひとりの少女との出会いによって、彼の運命の歯車は音を立てて回り始める。自らを時置師と名乗る観池眞名は続ける。「貴方は私の“対”です」しゃらん、と鈴の音が鳴る。瞬間、世界が反転した。時置師とは?彼女たちの目的とは!?運命によって一緒にいることを定められた少年と少女による「時間の旅」―自分探しの旅がいま始まる。

しまった、単発かと思ったらシリーズ物だった。しかし、二冊しか出ていない。二巻目で打ち切りじゃなければ良いけど……。

絶対に忘れないという記憶力を持つ少年は、目立ちたくないので能力を隠しながら生きていたのだが、目の前に双子の美少女転校生が現れる。彼女は涙を流しつつ「やっと見つけた」と抱きつき攻撃! かくして超目立つ羽目に。

彼女は呪われた家系で、時置師という存在だった。「対」となる存在を必要とし、得られなければ時間が逆に作用して、若返りすぎて輪廻から外れたまま消滅してしまうという難儀な存在で、しかもその「対」となる存在は少年だった!

時間が溜まり過ぎると反動で過去のどこかへ飛ばされてしまうのだが、二人で明治時代に飛ばされたところで、別の時置師が絡む事件に巻き込まれてしまう。

単品で読むには伏線と明かされない設定が多すぎである。そして、罪無き人が死ぬので後味も悪い。このままだと判らない事が多すぎるのだが、次巻で上手く纏っているのだろうか。
1960年代のアポロ月探査に始まる海王星までの太陽系惑星の探査、毎年南極から持ち帰られる特異な隕石等等によって、太陽系形成期の情報量は厖大なものとなった。本書は、とくに惑星が生まれた四十数億年前の出来事をひも解く鍵を与える。「創成期の石」を探し求めるドラマと、ポスト・アポロに著者らによって展開された、原始惑星の誕生と死という壮大な仮説に至るストーリーを紹介し、太陽系進化論の最先端の息吹きを伝える。

頑張って探したけど画像が無い……。

題名がコレだけど、別に火星と木星の間に星があって、破壊されてしまったなどというトンデモ本の類ではない。太陽系形成初期の段階に数多く存在していた微惑星の事である。小さな惑星同士は衝突を繰り返しながら成長し、今に至るのだが、その姿はまさに失われてしまった状態なので、惑星になりきれずに太陽系を漂う欠片から、太陽系の謎に迫ろうという訳である。

しかし、取りに行って調査するという事が困難なため、月の石や隕石に頼るしかないのが現状。よって、本書も隕石調査の話ばかりで、手堅いけど退屈。

空想歴史読本

2008年12月31日 読書
空想科学番組は、これまでさまざまな歴史的事件を描いてきた。「地球は46億年前、アース様によって創られた」「聖徳太子は法隆寺と同時にロボットを建造していた」「3713年、人類はサルによって滅ぼされる」…。これらの一見トンデモない事件を束ねてみると、意外にも大きな歴史の流れが浮かび上がってくる!

特撮モノや映画を題材に、トンデモ設定の架空歴史へと迫る。地球規模の歴史を思いっきり無視して暴走するその姿に、失笑が止まらない。ちょっと調べたら判るはずなのに、製作者が適当な事をしすぎで笑える。

6億年前、まだパンゲア大陸が無かったはずなのに、何故かパンゲア大陸に超古代文明が成立したりして、思いっきり事実を無視している。徳川幕府が清帝国や欧州列強だけでなく、さそり座からの侵略者まで撃退しているのには驚いた。徳川幕府強ぇー!!

過去だけではなく、未来史も凄い。何度も何度も第三次世界大戦で人類が滅ぶのに、何事も無かったかのように回復。マゼラン雲からガミラス帝国という列強が攻めてきても宇宙戦艦一隻で撃退、宇宙怪獣も銀河核ごと吹っ飛ばして撃退……。銀河中心部を吹っ飛ばしたら重力源がなくなって銀河規模で大災厄が起こりそうな気がするのだけど、大丈夫なのか!?

西暦2200年代には、なんと隣のアンドロメダ銀河まで届く宇宙鉄道網を整備! メーテルのお母さん凄すぎる!! 銀河鉄道の前では、松下さんやカーネギーの偉業も霞んでしまう。間違いなく史上最大の起業家に違いない。

で、苦労と破壊と大量殺戮に彩られた人類史は、猿に負けて銀河の歴史を閉じる訳ですな。猿の惑星的な結末が多すぎ! 猿に敗れ去った人類に全米が泣いた!!

空想科学裁判

2008年12月31日 読書
仮面ライダー、北斗の拳、巨人の星、ドラえもん、ウルトラマンなどのTVで流れるアニメや特撮怪獣番組などのヒーローたちが空想の世界でやっていたことを法律で裁いたらどうなるか検証する。

なんか「空想法律読本」に似ていると思ったら、大人の事情が……。使われている素材はよく似ているのだけど、はっちゃけかたが足りないので、こちらのほうが大人しめ。単純に事例を使うのではなくて、裏読みしすぎで恣意的な判断基準による展開が多いのも気になるところ。

ドラえもんの評価額算定基準とか、あまりにも適当すぎるし、セワシ君から贈られたドラえもんで借金地獄になるというのなら、未来の道具を売りまくって儲けたら借金なんて出来ないという考えも成立するんじゃないのか!?

よく似ているけれども、どちらかといえば「空想法律読本」のほうがお勧め。

空想法律読本

2008年12月31日 読書
本書は「空想○○読本」シリーズの法律編である。今までの「科学」をテーマとした内容とは打って変わって今度は「法律」。いろんなヒーローやロボットたちの科学的な説明をむさぼるように読んだ人はきっと多いに違いない。しかし、「法律」のように文系的要素について考えた人は少ないだろうし、そんなことを載せた本はあまりなかったように思う。果たしてまともに取り扱える要素などあるのかと思いきや、実はいろいろあるようである。

怪人怪獣から正義の味方まで、彼らが繰り広げる騒動が法的にはどうなるのかを真面目に論じた本。真面目に法律論議を展開するのだが、その前提となるのが有り得ない状況ばかりなのが笑える。

それにしても、ウルトラマンが空を飛べば航空法違反、仮面ライダーが暴走すれば道路交通法違反。その他にも器物損壊、業務上過失致死、殺人罪と、様々な法律で裁かれてしまうのが哀れ。バルタン星人虐殺事件に至っては、20億3000万という生命を奪ってしまい、ジェノサイド条約違反という国際犯罪者にっ!

それに対して悪党側は、心神喪失者と看做されるので、怪人が一般人を殺しても無罪! さすが日本、空想科学世界においても悪人に優しく出来ているな(笑)。何の落ち度も無い人々が酷い目に遭う現状、こんな悪党天国な国では法治国家と呼べないぞ! 是非、厳罰化を求めたいところである(苦笑)。
陰気で、友人も恋人もいない史代は、周囲からダメ教師のレッテルを貼られ敬遠されている。そんな彼女の生きがいは、ちまたで有名な幽霊「紅蓮女」の変装をして人を驚かすこと。怪奇スポットや自殺の名所を徘徊し、その場に居合わせた人々を怖がらせることに喜びを感じていた…。口裂け女、都市伝説パーティー、生き神信仰、呪いの手紙、電話男―徘徊先で遭遇する事件に紅蓮女が立ち向かう。

題名がヤバすぎる(笑)。ゲテモノだと思っていたけど、それなりに読めた。紅蓮女は幽霊だけど、本物ではなくて幽霊のコスプレをした生身の人間である。その正体は根暗な女教師なのだが、溜まりまくったストレスを幽霊コスプレで発散しているという、かなりの問題教師なのである。

コスプレ素材となる紅蓮女は、自らが時間をかけて流布した都市伝説という気合の入り方。普段は駄目教師なのだが、変身すると性格まで変わるという強烈な電波さん。そんな彼女が口裂け女と出合った!?

口裂け女? との対決、電波入った猟奇事件犯人との対決、鄙びた村での鏡伝説、呪いの手紙と続いて、最後に白いメリーさんに似た電話男との決戦。連作短編みたいになっているが、ラストで一本に繋がる。繋がるどころか、紅蓮女だけで完結せず、他作品にまでリンクしている……。しまった、図書館に置いてないから、執筆順に読んでない。

紅蓮女の火炎攻撃が人間業とは思えないし、ちょっと強引なのでミステリーとして読むには物足りないかもしれないが、都市伝説を上手く取り入れていて面白い。作中に火の玉アイスが出てくるのだが、実在するらしい。
サンダーライダーに乗り、帰路を急ぐフチ。道中、アグシュひきいるオークの群れにかこまれるが、現れた北の牧童との交渉の末、追いはらうことができた。つぎに立ちよったのは、イラムスの“トラモニカの風”だった。メリーアンを救いだしたフチは、その先の目的地へとサンダーライダーを走らせる。伝説のあの男が姿を現す。フチ・ネドバルの“魔法の秋”、ここに完結。

二度もドラゴンラージャを失い、自己を喪失する事に匹敵する悲しみで完全に狂ってしまったクラドメッサ。そこに現れたジゴレイド。拒否したクラドメッサの代わりにレニがジゴレイドを選択すれば、クラドメッサを止める事が出来る。果たして、レニの決断は!?

といった部分で前巻が終わっていたのだが、最終巻を読み始めると、いきなり主人公フチがキルシオン王子の名馬サンダーライダーに乗って一人旅をしている。あそこまで盛り上げておいどうなったのかと思ったら、全て終わってしまっており、フチは黒竜アムルタットに届ける身代金を故郷まで運ぶ途中なのだった。

何が起こったのかは、過去の回想シーンで語られるのだが、全貌は明らかにされない。判るのは、キルシオン王子が殺害された事、サンダーライダーはフチに、魔法剣プリムブレードはサンソンが受け継いだ事、反逆したハルシュタイル侯爵はまだ逃げているらしい事、ウンチャイ達が侯爵を追っている事、国家のためにカールが侯爵を反逆者ではなく英雄にしようと画策している事(これは恐らく、貴族全体を敵に回すのを避けるために、侯爵はウンチャイ達に倒させて、表向きは隣国との戦争で名誉の戦死を遂げたとでもするんだろうな。)などなど。

驚いたのは、フチが伯爵になっている! 蝋燭職人からいきなり伯爵か、凄い出世だな。ずっと伝説でしかなかった最強の魔術師ハンドレイクも登場するのだが、意外な人物が本人だった。

ラストでフチの村にデミ王女に匹敵する容姿をした謎の美女リタが現れるのだが、フチと会話をして去って行く。直後、黒竜アムルタットが西の空へと消えて行った。

最後、なんだか盛り上がらなかったな。人類の未来を危惧する様な、妙な思想を入っている感じだったし。ちょっと文章はゲーム感覚でアレだけど、シリーズ通してそれなりに面白かった。
クラドメッサのもとへむかう前夜。眠れずにいたフチは、剣を手に庭で体を動かしていた。レニもやってきて、その光景を見まもっていると、突然シオネが現れ、レニを連れさろうとした。フチは仲間を呼ぶが、シオネが攻撃をしかけてくる。絶体絶命の危機に、現れる巨大な影。トロールの聖職者エデリンだった。狂気のドラゴン、クラドメッサをめぐる人間種族の抗争劇。ついに決着。

クラドメッサを目前にして、敵側のドラゴンラージャとぶつかってしまう一行。しかし、護衛していたレッティのプリースト達は、王家そのものに反逆する気はなく、追いついてきた侯爵との間で、三勢力入り乱れて戦闘状態に。侯爵の卑怯な不意打ちで背後から撃たれて倒れるキルシオン王子。もはや侯爵も後戻り出来ないだろう。

乱戦の最中、なんとか抜け出した一行は、追っ手を防ぐために山を破壊しつつ、クラドメッサのところに。ようやく巡り逢えたクリムゾンドラゴンだが、レニはラージャとして拒否されてしまう。代わりに現れたネクソンを受け入れてしまうクラドメッサだが、吸血鬼シオネがすぐさまネクソンを殺害。再びドラゴンラージャを喪失するという異常事態に陥ったクラドメッサが狂い始める。
ついに親子の再会をはたしたエポーニンとハスラー。つかのまの幸福をかみしめるハスラーだが、ネクソンと手を組む反逆者である以上、その心境は複雑だった。いくら改心を要求しても、ハスラーの思いはゆるがない。理由をたずねると、ハスラーは静かに語りだした。「すべては“八つ星”と、ルトエリノの“魔法の秋”からはじまった」。300年の時空をこえた愛憎劇!そのときフチは、大魔術師になる―。

悪逆非道なハルシュタイル侯爵の陰謀により、反逆者ネクソンに組して戦うハスラー。その哀しい過去が明らかとなり、生き別れとなっていた娘エポーニンとの再会を果たす。復活目前となったクラドメッサを制御すべく、ドラゴンラージャの資質を求めて露骨に動き出す侯爵。もはやバイサス王家に対する叛意は明白である。

ハスラーによって、300年前に何が起こったのかを知る事になるフチ達。クライマックスに向けて、クラドメッサの眠る褐色山脈へ。
カーンアディウムでオークとの戦闘にまきこまれたフチたち。ネクソン一行が城の外でオークにかこまれているのを発見し、ひとまず救出することに。だが負傷したフチが、ネクソンとともにオークに捕まってしまった。再びオークが城にむかうと、フチとネクソンは、二人きりになった。記憶をたどるネクソンが、ある伝説を語りだす。「八つ星」に秘められた真実の物語。種族の創生と死滅を決定するものとは…。

オークの大群に囲まれた地方の町だが、そこへ突撃してくる宿敵ネクソン。敵なんだから放って置けば良いのに、オークから助け出そうとする一行。そして、囲まれた挙句に主人公フチ少年が逃げ遅れてフルボッコ状態に。

幸い、命までは取られなかったのだが、混戦時に耳を落とされ、腹を突き刺され、縛られて半死半生に。頭の悪いオーク達が町へ襲撃に出かけていなくなった所で、同じく捕虜になっていたネクソンと殴り合いながら脱出するが、気絶してしまう。

一方、町に逃げ込んだ一行は、馬鹿なオークの計略を見抜き、罠を仕掛ける。オークの計略があまりにも馬鹿っぽいから笑える。

フチが気絶している間に、見事オークを退治した一行は、馬車を貰って王都へ向かう。しかし、そこは難民で溢れ酷い状態に。ハルシュタイル侯爵の陰謀も明らかになって来た。

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