ISBN:4152084189 単行本 小林 泰三 早川書房 2002/05 ¥1785
「あの年の夏祭りの夜、浜から来た少年カムロミと恋に落ちたわたしは、1年後の再会という儚い約束を交わしました。なぜなら浜の1年は、こちらの100年にあたるのですから」―場所によって時間の進行が異なる世界での哀しくも奇妙な恋を描いた表題作、円筒形世界における少年の成長物語「時計の中のレンズ」など、冷徹な論理と奔放な想像力が生みだす驚愕の異世界七景。日本ホラー小説大賞受賞作家による初のSF短篇集。

長門有希の8冊目
長門有希の100冊No.79

ホラー小説家が書くSFってどうなんだろうかと思っていたが、かなりのハードSFになっているので驚いた。硬すぎて理解出来ない部分があれば、無視してそのまま読み流しても大丈夫だけど。

普通の近未来物ではなくて、時間の流れが変わる世界や、重力が変化する世界、不思議な円筒形世界内部等、普通じゃない世界での物語が七編。異世界なのか、高度に発達した文明が作った人工世界なのかは不明だが、背景設定が尋常じゃないものばかり。

表題作は、時間の流れが違う村で生まれた男女に起こる悲劇だった。恋愛絡みは、重力や時間に引き裂かれるものが多い。これに比べたら、言語や国籍や宗教や民族や出自の壁に阻まれる恋愛小説なんて、些細な障害でしかない。

ある者にとっての死の一瞬も、それを見続ける者にとっては永遠にも等しい。
ISBN:489456937X 単行本 平谷 美樹 角川春樹事務所 2002/03 ¥1,995
「憂鬱な神の座」 それは究極の叡智か、それとも…。遥か未来の宇宙で異星文明間の争闘に巻き込まれた一人の男が、果てしなき試練の彼方に見たものとは? 壮大なるSFドラマ。

当時、これを見かけて、何となく表紙のデザインが「ヴィドック」に似ているなぁという訳判らない理由で手にして読んでみた訳ですが、前作以上に凄かった! いろいろな意味において。これは文庫になっていないのか。「エリ・エリ」を読んで続編に進みたい人は困るだろうな。

前作で体を失ったはずの神父は、神に匹敵するイキッスィアの力で再生する。そして別の宇宙で自分探しの巡礼に!? 彼を追ってきたカズミ、そして時々登場する謎の男クレメンタイン。

別の宇宙で神探しや自分探し、或いは恋愛SFといった感じには収まってくれない。やがて、イキッスィアの力を畏怖したウォダが戦争を始める。その戦いは時の終わりまで続き、イキッスィア文明圏とウォダ文明圏の間で銀河を二分する大戦争が繰り返される。新たに勃興した文明はどちらかの陣営に組み込まれ、際限なく戦争が続いていく。

しかし、片方の盟主であるはずのイキッスィアは現れなくなり、彼らに啓蒙された異星人だけが戦闘を継続している。イキッスィアの超兵器かと思われる、銀河を貫くギニルトゥル噴流、その正体は……。実のところ、神の如きイキッスィアは、世界を存続させるために戦争どころじゃなかった訳で。ここまで大風呂敷広げても良いのだろうか。

エリ・エリ

2008年11月6日 SF特集
ISBN:4758431736 文庫 平谷 美樹 角川春樹事務所 2005/05 ¥1,000
二十一世紀に入って、人類はかつてない精神的・科学的進歩の時代を迎えていた。人々は非論理的なものを排除したが、それは既存の“神”の否定でもあった。“神”に代わる超越者を求めて人類は、〈ホメロス計画〉による地球外知的生命体との接触を試みていたが、この計画は存続の危機を迎えていた教会にとっても「神の科学的証明」による信仰の回復の可能性を秘めたものであったのだ。しかし一方で、計画の反対勢力による陰謀が極秘裏に、だが着実に進行していた。こうした情勢下、地球外知的生命体からのものと思われる大量のニュートリノが観測され、事態は急展開を見せはじめるのだった……。人類と神、神と宇宙との関係に鋭く迫る、一大宇宙SFの幕が今、上がる!

思えば、これが平谷美樹との出会いであった。そして、当時は平谷美樹(ひらたにみき)という女性だとばかり思っていて、さらに書名の「エリ・エリ」は、ミサミサとかリサリサとかあゆあゆとか、女の子の名前を二重にして呼ぶ愛称みたいなものだとばかり(爆)。実は、「エリ エリ レマ サバクタニ!(神よ、神よ、なぜ見捨てたまう!)」だった訳ですが。

それにしても、女みたいな名前の作家多すぎ。長嶋有とか、平谷美樹とか、伊藤たかみとか、藤原伊織とか……。逆に、有川浩とか桜庭一樹は女だしな。男は女っぽく、女は男っぽくPNつけるのが流行りか!?

太陽系に飛来した超大型宇宙船は人類を無視したまま、高速で去って行く。その軌跡を逆に辿る事になる神父(の脳?)。ファースト・コンタクトは完璧に人類が無視されたまま終わってしまうのだが、それは人類が拙すぎて、彼らが求める技術を全く有していなかったからであるが。宇宙船の軌跡を辿って行くと、異星人は別の宇宙から来た事が明らかとなる。別の宇宙から穴開けて何かを探しに来た地球外生命体……。続編はさらに強烈になるのだが、この物語も風呂敷広げすぎだったなぁ。

「エンデュミオン・エンデュミオン」同様、宗教が絡んでくるが、やはり神は不在。きっと、地球外知性体と遭遇してしまったら、既存の宗教は大打撃を受けてしまうだろう。早く何か来て欲しい。それにより、人類が滅亡する可能性は大だけど。
ISBN:4894562588 単行本(ソフトカバー) 平谷 美樹 角川春樹事務所 2000/06 ¥1,460
21世紀初頭、月面や地球上の至る所で怪現象が発生し始めた。月面基地エンデュミオンの設置に参画した宇宙飛行士たちは、その現象をもたらす主が、人知に放逐され、月を最後のよすがとする神々であることを感知する。彼らは米政府の依頼により、神との交わりを自覚する少年ヤンと共に月へ旅立つ。が、それは神々の怒りを深める以外の何ものでもなかった―。神の領域を冒した人類の受ける報いは?月神セレネの嘆き哀しい、本格SFノベル。

角川春樹賞受賞。短編はこれ以前にも書いているみたいだけど、これが長編デビュー作。本格SFとキャッチついているけれども、集合無意識を素材としている時点で、ちょっと違うんじゃないかと思う。

地球や月面で生じる超常現象。人類が行うのは不可能だと思えるその現象に、人々は異星人の存在を疑うのだが……。地上で繰り返されてきたエンデュミオン殺し。今回も、エンデュミオンだとされる少年ヤンが、神の啓示を受けた狂人に狙われる。ヤンは、何度も現れる月神セレネに逢うため、月へ上がる事を決意する。

この作家は、宗教絡みのSFが多いですな。一貫して神不在のスタンスなのに、この物語はやたらと神が出てくると思っていたら、その正体は……。

この作品が、エリ・エリ・シリーズの最初にあたるらしい。
ISBN:4488012272 単行本 有栖川 有栖 東京創元社 2007/09 ¥2,310

長門有希の100冊No.04「双頭の悪魔」を読んだついでに。

先の三作から随分と時間が経っているので、有栖川ファンの方は、まさか続編が出てくるとは思っていなかったかもしれない。時代設定がバブル崩壊より少し前になっている。ヒロインも現実世界では既に四十手前のおばさんになってしまっているのだと思うと……。

今回は、江神先輩が新興宗教団体に拉致された感じになって、それを助け出そうと有栖達が行動するのだが、その先でお約束とも言える出来事(つまり、殺人事件)が起こり、教団施設から出られなくなってしまうのだ。

人が殺されたのに、警察には通報しないと頑なな態度を取る教団幹部達。有栖一行も、施設内に拉致状態で、外界と隔てられてしまう。教団内部の内ゲバや権力争いか? それとも設定時期が時期だけに、某カルト教団みたいに良からぬ事を企んでいるのか? 謎がどんどん膨らんでいく。

今回の作者からの挑戦状は、何故か少し弱気。まぁ、ギブアップする事は最初から決まっているので、推理せずに解答を読む。犯人よりも、教団が隠していた謎のほうが意外だった。

このシリーズ、どうやら次で完結予定らしいが、いつ出る事やら?
ISBN:4488414036 文庫 有栖川 有栖 東京創元社 1999/04 ¥1,092
四国山中に孤立する芸術家の村へ行ったまま戻らないマリア。英都大学推理研の一行は大雨のなか村への潜入を図るが、ほどなく橋が濁流に呑まれて交通が途絶。川の両側に分断された江神・マリアと、望月・織田・アリス――双方が殺人事件に巻き込まれ、各各の真相究明が始まる。読者への挑戦が三度添えられた、犯人当ての限界に挑む大作。

長門有希の7冊目
長門有希の100冊No.04


今回はダブル主人公となる。いつも通りの主人公はアリス、そしてもう一人は、休学して消えたマリアだった。単発ヒロインとして消え去らなくて良かった。

鉄砲水で橋が流されて分断された両側で起こる殺人事件。終盤に突入するまで、行き来が出来なくなってしまうので、アリスとマリア視点で、交互に物語が進んで行く。この時点で、作者からの挑戦状は二回。しかも、それだけでは終わらない。江神さんがいるマリア側では、殺人犯人を特定した直後に新たな殺人事件が発生する。殺されたのは、最初の殺人事件における犯人だと推理された人物。ここで、第三の殺人事件及び全体を把握するための最終挑戦状が作者から贈られる。

三回の殺人事件と、三回の挑戦状。これは、一粒で二度どころか三度美味しい! まぁ、推理は苦手だから自分で考えずにアッサリと解決編まで読んでしまうけど(笑)。江神さんに関わる暗い過去と、彼に付きまとう死の予言がとても気になる。予言通りに江神さんが死んでしまったらどうしよう……。ハラハラしながら読み進めた。
ISBN:4488414028 文庫 有栖川 有栖 東京創元社 1996/08 ¥693
英都大学推理研初の女性会員マリアと共に南海の孤島へ赴いた江神部長とアリス。島に点在するモアイ像のパズルを解けば時価数億円のダイヤが手に入るとあって、早速宝捜しを始める三人。折悪しく嵐となった夜、滞在客のふたりが凶弾に斃れる。救援を呼ぼうにも無線機が破壊され、絶海の孤島に取り残されたアリスたちを更なる悲劇が襲う!

長門有希の100冊No.04「双頭の悪魔」を読むために。

一作目は火山噴火で下界と切り離された山中で連続殺人事件が起こったが、今回は孤島が舞台。江神先輩とアリスだけが登場、他の人は姉の結婚式と教習所合宿のため、プロローグ部分だけで退場。代わって紅一点、マリアが登場する。

マリアに誘われて島にある宝探しに挑戦する事になった江神先輩とアリスだが、お約束通り、外界から隔離された島で人が殺されて行く。孤島物と言えば、何者かの手によって、次々と人が殺されていき、お互い疑心暗鬼に陥るというのがセオリーだが、有栖川有栖作品では、そこまでむやみやたらと人が殺されまくったりはしない。登場人物の大半は殺されずにすむので読み物としては少し地味になるかもしれないけれども、その分、リアリティは増している。小説ならともかく、実際にはそう都合よく人が殺されまくり、しかも犯人が判らないなんて事はなかなか考えられないからね。

リアリティ以外の面でも、殺される側が限定されるのには理由がある。ある程度進んだ時点で、作者から読者に挑戦状が送られるのだ。その時点までで、犯人を特定するためのヒントが読者に与えられているのである。むやみやたらと殺してしまったら、死体だらけになってしまうので、生き残りから犯人を捜すのが簡単になってしまう。

今回は、ちゃんと登場人物表がついていたので助かった。しかし、挑戦は華麗にスルーして最後まで読み進めた。推理苦手だし、頭硬いから絶対に無理! 最後のほう、嫌な展開になってきたけど、あの人が犯人じゃなくて良かった。今回もアリスは失恋モードでほろ苦い結末へ。
ISBN:448841401X 文庫 有栖川 有栖 東京創元社 1994/07 ¥735
夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会の面々を、予想だにしない事態が待ち構えていた。山が噴火し、偶然一緒になった三グループの学生たちは、陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。その極限状況の中、まるで月の魔力に誘われたように出没する殺人鬼! 有栖川有栖のデビュー長編。

長門有希の100冊No.04「双頭の悪魔」を読むために。

長門有希100冊にある「双頭の悪魔」を攻略しようと思ったところ、これは有栖川有栖の学生アリスシリーズ三作目だと知る。という訳で、これを攻略する為には「月光ゲーム」→「孤島パズル」→「双頭の悪魔」→「女王国の城」と進める必要が出てきた。

これも、長門有希に薦められなければ読む事は無かったかもしれない。ある程度物語が進んだ時点で作者から挑戦状が叩きつけられる。その時点までで、犯人を特定するための情報は与えられているというのだ。これは少し新鮮。意外に、作者vs読者で正々堂々と戦われる推理物って少ないからね。名探偵だけが推理していたり、読み物としては面白くてもヒントは不足していたり、酷いのになると、作中に犯人が登場していないなんてルール違反もあって、絶対に読者が解けなかったりするからね。

さてさて、有栖川有栖から挑戦状を頂いた訳ですが、ここは5秒で降伏! いや、頭が硬いから推理は苦手だしさ……。最大に盛り上がっている冒頭を無視すると、とりあえず始まりには4人しかいないのだが、山登りの最中に他の大学と合流して、登場人物が17人に増えてしまうのだ。いきなり増えるから、全員覚えられません。これではもう、謎解き以前の問題である。

山の上でキャンプ中に火山が噴火して下山出来なくなるのだが、そこで連続殺人事件が発生。下界とは隔離されているのだから、そこにいる誰かが犯人だという密室状態なのだが、人が多すぎる……。これ、ラノベみたいに全員のイラストつけてくれたら良いのだけど。せめて登場人物一覧表くらいは欲しかった。わざわざメモする気力は無かったし。文庫版とか、新しいやつには付いていそうだけど、図書館にあったのは初期の単行本だから、ついてませんでした……。

そういう訳で、早々に謎解きはギブアップ。有栖川有栖の勝利となったのだが、謎解きしなくても、普通に読むだけで面白いからOKです。推理主体なので、登場人物の描写がアッサリ風味だけど、推理するためのヒントも鏤めつつ、キャラ描写まで濃くしてしまうとアレステア・レナルズみたいな厚さの本になりそうなので、これは仕方が無いだろう。
ISBN:4087748537 単行本 絲山 秋子 集英社 2007/04 ¥1,365
今日もどこかで、あの人はきっと生きている。熊井はいつもギターを弾いている。もう何年も会っていないTTのことを考えながら……。様々に繋がる人間関係、それぞれが誰かへの思いを抱えながら、地を這うように生きていく、希望と再生の連作短編。

信者による絶賛が凄いです。確かに絲山作品の中ではかなり良いけど、そこまで凄いと思えないのは、この作家との相性悪いからだろうか。視点変更があって判り難い部分あるし、主人公による一人語りもあまり好きじゃないな。あと、安易に病気ネタがあるのもマイナス。連作短編形式になっていて、構成とかは良かった。
ISBN:4757507151 新書 藤咲あゆな エニックス 2002/07 ¥882
リン:マジカルピッピぃ?
伝次郎:そう、ケータイで呼び出せる正義の戦士になるのだ!
リン:おじさん、なんであたしが… 
伝次郎:世のため人のため、そして我が社の携帯電話普及のために!
リン:正義とケータイ普及になんの関係が…
伝次郎:リン、おまえはおじさんが首になってもいいのか?
リン:なにそれ?どーゆーこと!?
伝次郎:フフフ…それはだな。読めばわかぁーる。

高坂りとの絵に釣られた訳ですが、馬鹿っぽくて恥ずかしい題名はともかく、意外に読めた。魔法少女物のハイテク仕様バージョンといったところでしょうか。

芸能界デビューに憧れる鈴子(りんこ)が、携帯電話会社に勤めるイケメンだけど中身はヲタな叔父さんに呼び出さて何かを飲まされ、気がつけば魔法通信マジカルピッピに改造されていたという嘘。携帯電話で呼び出されると瞬間移動してしまうし、怪力が出るし、空まで飛べてしまう。宇宙人から授けられた超テクノロジーで魔法通信マジカルピッピにされてしまったという建前であるが、本当は叔父さんが発明したハイテクによるもの。どういう原理でそこまで出来るのかは不明だけど。

秘密がバレると宇宙人によって亜空間に隔離されてしまうと脅され、正体を隠したまま魔法通信マジカルピッピとして活躍する事になるのだが、呼び出された先でやらされるのはゴミ捨てとか犬の散歩とか、ショボイ事ばかり。唯一活躍したのは、ビル火災で死にそうになっていた憧れの先輩を華麗に救出した事くらい。

ラストになり、銀行強盗と対峙する事になる。ここでようやく大活躍かと思いきや、お助けマンとかいうライバルが突如現れ、物語も終盤だから纏めないといけないのに、さらに盛り上がったままで……。

えっ!? 続編書くような感じで終わりつつ、続きが出ていませんね。続かないのなら、お助けマンは要らなかったと思う。まあ、単品でも読めるエンディングで、伏線未回収とかは無いので、未完結放置による減点はしませんが。

ISBN:4150116369 文庫 福島 正実 早川書房 2007/09 ¥700

長門有希の6冊目
長門有希の100冊No.57

かなり前の作品なので、電話交換手が出てきたり、小道具は古びているが、物語そのものは全く古臭くなっていない。知らない間に小さな町が正体不明の何者かに支配されていく恐怖を描く侵略物。

映画がリメイクされたので、文庫版も新装されて入手出来るようになったのが有難い。すでに何度も映画になったり、様々な作品で使われているので、未読でも内容は知っている人が多いだろう。次々に何かに変わっていく人々がどうなるのか、どういう結末が訪れるのか予め知っていても、それでも十分に楽しめる。

恩田陸がオマージュで「月の裏側」を書いているけれども、毒が抜けてしまって煙に巻かれるいつもの作風なので、やはり本物である「盗まれた街」を読む方が良いだろう。
ISBN:4829637374 新書 黄支亮 フランス書院 2002/03 ¥950
「暇そうだね、ツカジュン!」風薫る校舎の屋上、優しくそよぐポニーテイル。「隙あり、キックッッ!」そして僕の背中に炸裂する彼女の真空飛び膝蹴り。―高校三年間、ずっと僕のそばにいてくれた草加ちづるをはじめ、忘れがたい十一組の仲間たち。黄支亮&みさくらなんこつ、ライトHノベルズ史上、最強のコンビが贈る学園らぶストーリー決定版。

これは、エロゲーのノベライズでしたか……。オムニバス形式でまとまりに欠け、ストーリー展開も強引かつご都合主義すぎる。これはもう、悶々とした高校生が勢いだけで書いて後悔していないネットエロ小説クオリティ。みさくらなんこつの絵だけで釣っている感じ。「最強のコンビ」が組んで、何でこんなものが出来上がったのか謎である。

でも、酔っ払って馬鹿になってるクラスメイトをおんぶして送らされる羽目になった少年が、背中にゲロゲロ攻撃された後の展開には笑った。
ISBN:4757711603 文庫 蕪木統文 エンターブレイン 2002/11 ¥672
―僕は…誰だ?交通事故に遭い、二週間寝たきりの状態から目覚めた主人公・瀬能透矢は身体が無事な代わりに記憶を失っていた。その前に現れるメイドと名のり、当たり前のように世話をする少女・琴乃宮雪。夢のなかに登場する見知らぬ一人の少女―。夢と現実の狭間で透矢はなにを見、手にするのか―。F&Cの大人気ADVノベライズで登場。

ギャルゲーのノベライズでしたか……。交通事故に遭い、気がつけば記憶を失っていた主人公というありがち設定から物語は始まる。名家の育ちらしく、先祖の資産を食い潰しつつも、自分専属のメイドまでいるというご都合主義。しかし、このメイドが自分しか認識していない存在らしく、夢なのか現なのか判らなくなってくる。

村に伝わる伝承から、父がやった量子力学の実験まで絡んできて、他の人には見えていないメイドが超常的存在なのか、単なる脳内妄想なのかはっきりしないまま、幼なじみ同級生相手のエンディングへと辿り着く。

え!? このメイドがヒロインじゃなかったのか!? 同級生少女なんて途中まで脇役扱いなのに、最後のほうで一気に逆転でフラグ成立ですか! 名前すら出てこない酷い扱いをされているサブヒロインもいるみたいだし。原作をプレイしていないと、何が何だかよく判らないうちに終わってしまう一冊。
ISBN:4840120587 文庫 米村 圭伍 メディアファクトリー 2007/10 ¥609

初めて表紙を見た時には新キャラ登場かと思ったが、タバサじゃない方は使い魔にした風竜が人間化した姿だった。1巻と同じく無理難題クエストをこなす形式だが、本編のエピソートとも結構絡んでくる様になった。

本編ほど陰謀が渦巻く物語にはなっておらず、究極の味を求める料理物みたいなのまで混じっていて笑える。しかし、本来は自分の味方となるべき人間と対峙しなければならなくなる話が結構あるのは辛いところである。彼らの死を無為にしないためにも、やはり無能王だけでなく、イザベラも倒して欲しい。小公女みたいな臭い結末は見たくない。
ISBN:4840117268 文庫 米村 圭伍 メディアファクトリー 2006/10 ¥609
ふたつの月が空を彩る異世界ハルケギニア。そこでトリステイン魔法学院に通う少女・タバサには秘密があった。母国ガリアから彼女に与えられた地位は騎士。その中でも極秘裏に任務をおこなう「北花壇警護騎士団」の一員なのだ。胸に秘めた目的のため、タバサは使い魔である風竜・シルフィードとともに任務にむかう…。ある日、タバサに与えられた任務は、ガリアのとある村での「先住の民」の討伐だった。さっそく向かったタバサだが、どうやら村でのもめ事は単純な「先住の民」とのいさかいだけではないようで―。大人気「ゼロの使い魔」シリーズの神秘的な少女・雪風のタバサの活躍を描く番外編、いよいよ登場。

無口なためか、本編ではいまいち目立たないタバサが主人公。小さくて眼鏡っ娘で無口と、個人的には何ひとつ惹かれる要素が無い訳だが、異世界へ足を踏み入れて波乱万丈人生を余儀なくされた本編主人公の次くらいに、激動の人生を送っているキャラなので、やはり外伝を出すならこの人だろうとは思う。

王族なのに、無能王に父を暗殺され、復讐を果たすために汚れ仕事を黙々とこなす悲劇の主人公タバサ。ライバルとして登場するのは、無能王の娘でとてつもなく性格の悪いイザベラ。世界名作文学とかだと、こういうキャラでも最終回には逆転負けした挙句に、性格良すぎる主人公に赦されて和解となるのが定番だが、個人的にはそういう偽善的な結末は見たくない。やはり、実際の歴史に見られるように、最後は無能王と共に、復讐の刃に倒れて欲しいところである。

王女イザベラから与えられる無理難題クエストをこなす形式の短編で構成されている。元々は携帯電話用コンテンツらしいが、携帯小説にしては、それほど文字と中身スカスカ系統ではなく、普通に読める程度のラノベにはなっている。
ISBN:4840123195 文庫 ヤマグチノボル メディアファクトリー 2008/5/21 ¥609
ガリア王ジョゼフの野望を砕くため、ロマリアへと協力を決めたルイズ。しかし、最も危険な役割を担う才人を案じたルイズは、ロマリア教皇の持つ「虚無」の力を借り、才人を元の世界へと戻そうと決意する。その頃、ガリアでは騎士人形「ヨルムンガント」の”軍団”がロマリアを目指して出立する――。
アニメ第3シリーズも決定した大人気冒険ラブコメファンタジー、待望の最新巻!

泣く泣く、才人を異世界へ戻そうとするルイズ。かくして才人は気がつけば、日本に……。戻ってねーじゃん!! 一度戻しておいて、新しい使い魔と契約しようとしたらまた戻されるのかと思ったら……。結局、使い魔&ご主人様という立場上、片方が死ななければ契約解除は不可能な訳ですな。

無能王の姦計により、危機に晒されるロマリアであったが、さすが教皇は奇麗事好きなアンリエッタ女王様とは違い、ぬかりは無かった。ガリアから離脱した反乱軍がロマリアを急襲するというシナリオは、アッサリと見抜かれた上、ある意味最強の「虎」により決戦兵器である装甲ゴーレムも撃退されてしまう。

まさに
「地球ナメんな。ファンタジー」
である。

「零」に続いて「虎」が活躍したのも良かったが、巨乳エルフ、ティファニアの緊縛シーン(イラストまでついてるのは読者サービスか!?)もエロス。

ISBN:4840121109 文庫 兎塚エイジ メディアファクトリー 2007/12/20 ¥609
才人が元の世界へと帰るための方法を探してあげたい。でも、才人に帰ってほしくない。そんな気持ちで揺れるルイズ。一方、里心がついた才人だったが、ハルケギニアで仲良くなった人たちを見て、心が揺らぎ始める。「こっちの世界にいてもいいんじゃないか」と思い始める才人。そんな折、ロマリアからジュリオがやってくる。ジュリオは、”虚無の担い手”であるルイズとティファニアにロマリアで説明したいことがあると告げる。それは、”虚無”に関する重要な秘密だというが――。ジュリオの、ロマリアの意図は何か、そしてガリアの思惑は……。大好評の使い魔ファンタジー、13巻!

一行は女王の命令でロマリアへ向かう。そこで待っていたのは、若き教皇ヴィットーリオ。実は、彼もゼロの使い手なのであった。そして、使い魔は今までに出てきたあの人。敵となるであろうガリア王を除く三人の使い手が揃い、ある計画を打ち明けられるのだが……。

ヴィットーリオに鍵となる指輪が戻された時点で発動する事になった虚無の魔法は、異世界へのゲートを開くものであった。そして、そこに映し出されたのは、彼らの世界では造る事が出来ない超高層タワーが林立する場所だった。

急にサイトに優しくなるルイズ。何を言ってもしても怒らなくなる彼女に戸惑いながらもロマリアの都を一緒に歩くサイトだったが、最後に魔法で眠らされてしまう。このまま地球に戻されるのか!? 戻されても、また召喚されそうな気がするけど。

異世界の西側で活躍したアレまで出てくるよ!
ISBN:4840119007 文庫 兎塚エイジ メディアファクトリー 2007/08/24 ¥609
トリステインの女王アンリエッタの頼みで、ティファニアを迎えにいった才人たち一行は、妨害にあいながらも、どうにか学院に戻ってきた。ティファニアはアンリエッタの計らいで、ルイズたちと同じように学院に通うことになり、その可愛らしい容姿と「革命」な胸のため、あっという間にクラスの人気者になる。しかし、ハーフエルフであることを秘密にしておきたいティファニアは、いつも帽子をかぶっておどおどしていた。突然現れたうえに人気をさらったティファニアが面白くない女生徒たちは、帽子をとってやろうとたくらんで……(第1話)。あの人気キャラも活躍!? 大人気異世界ファンタジーは、ちょっと一息の短編集!

エルフとメイド。今回の表紙は最強ですな。身分を隠したまま、魔法学院へ中途編入する事になったハーフエルフのティファニア。この世界においては、エルフは恐怖の対象となっているため、肌が弱いのを保護するという名目で、とんがった耳を常に帽子で隠した状態。

一見、森に住んでいたただのエルフだけど、よく考えたらアルビオン王家の血統を受け継ぐ唯一の生き残りだから、王族で、さらにはアルビオン王位継承資格者なんだよな。その美貌に魅せられ、取り巻きを奪われた大公の娘が難癖付けてくるが、本来は格違いですからね。

今回も、物語は停滞してしまい、ツンデレばかり。しかも、お互いに相手を読み切れず、ツンツンばかりになってしまう。なんでサイトはこのヒロインが好きなのか不思議である。

ティファニア 王族で巨乳でエルフ
アンリエッタ 王族で巨乳
シエスタ   平民で巨乳でメイド
ルイズ    貴族でツルペタ
キュルケ   貴族で巨乳
タバサ    王族でツルペタ

やはりここは、身分も胸も揃っていてエルフという付加価値があるティファニアが最強だと思うぞ。それにしても、この六択問題、半分は王位を狙えるじゃないか(笑)。
 
後半のルイズ&シエスタ百合モードもエロス!
ISBN:4840118590 文庫 ヤマグチ ノボル メディアファクトリー 2007/05 ¥609

隣国ガリアへ無断潜入し、学友タバサの奪還に成功した一行は、とりあえずキュルケの実家があるゲルマニアへ。しかし、女王の呼び出しがかかり、ルイズの実家に向かう事に。何故か、家に戻るのを異様に脅えるルイズ。そこに待っていたのは、最強の母親! 恐ろしい秘密兵器だ。こんなのがいたら、戦争に従軍しなかったからと、容易く公爵家を改易する事など不可能だろう。

母の折檻でボロボロになるルイズと使い魔であったが、国の許しは出て、懲罰はされない事に。代わりに、アルビオンにいたゼロの使い手を保護するため出かける事に。躍動するようなシーンが減って、ちょっとダレ気味。ツンデレはデレデレが多くなって来た。
ISBN:4150739617 文庫 真崎 義博 早川書房 2005/01 ¥819
雪に閉ざされたニューヨーク州スパータの町は、殺人鬼HOGの凶行に震え上がった。彼は被害者を選ばない。手口も選ばない。不可能としか思えない状況でも、確実に獲物をとらえる。そして巧妙に事故や自殺に見せかけたうえで、声明文を送りつけるのだ。署名はHOG―このおそるべき連続殺人事件解決のため、天才犯罪研究家ニッコロウ・ベネデッティ教授が乗り出した!アメリカ探偵作家クラブ賞に輝く本格推理の傑作。

長門有希の5冊目
長門有希の100冊No.80

謎解きが苦手なのと、落ち度の無い小市民がどこかのキ印に無為に殺されていくのが憂鬱なので、推理小説はあんまり読まないのだが、これは面白かった。絶対に不可能としか思えないような連続殺人が起こるのだが、読み進めるにつれて、本当は誰も殺されていないのではないかと混乱してくる。しかし中程まで読み進めると、今まさに殺人犯が犯行に及ぼうとする場面が出てきて……。

長門有希のお勧めリストに入っていなければ、一生出会う事も無かっただろう一冊。こういう、謎解きなんかしなくてもストーリーだけで面白い作品は助かります。

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