恋人・降一を事故で亡くした志保。彼の母親が営む店を手伝う彼女の前に現れたのは、その事故の原因をつくった五十嵐だった。彼の存在を受け入れられない志保だったが、同じ悲しみを抱える者同士、少しずつ二人の距離が近づいていく…。「君が降る日」他、二編収録。
表題作は、事故で恋人を亡くしたのに、運転していた男との距離が近づいて行くという、やるせない物語。忘れようとしてコンパで知り合った男とも親しくなるが、ハッピーエンドには至らない。それにしても、コンパ男だけでなく事故原因男とも寝てしまうというのが納得出来ない。
えっちしてもいいじゃない、にんげんだもの
こうですか? 私には分かりません。
「冬の動物園」は、長年付き合ってた男にアッサリ振られて傷心の女性が、英会話教室で年下の高校生に声をかけられ親しくなっていく話なので、まだ救いがある。浮気性女も困るけど、ダメっぽい男相手に入れ込んで、なかなか次に行けない喪女というのも難儀だよなぁ。
「野ばら」は、親しくなった異性の同級生相手に、友達以上の感情を持てず、ズルズルと友人関係になってしまう二人の青臭くて苦い物語。友人兄に惹かれるも、横から妹にかっ攫われて、告白以前に敗退。全く脈無し状態で、友人も生殺し状態で別れる事さえ叶わない可哀想な事に。自覚症状が無くて男を翻弄する女は厄介だよなぁ。
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戦況が悪化の一途をたどる1944年6月、日本軍の最重要拠点である硫黄島に新たな指揮官、栗林忠道中将が降り立った。硫黄の臭気が立ち込め、食べ物も飲み水も満足にない過酷な灼熱の島で掘り進められる地下要塞。このトンネルこそが、圧倒的なアメリカの兵力を迎え撃つ栗林の秘策だった。最後の最後まで生き延びて、本土にいる家族のために一日でも長く島を守り抜け―。「死ぬな」と命じる栗林の指揮のもと、5日で終わると思われた硫黄島の戦いは36日間にも及ぶ歴史的な激戦となる。
なにこの北朝鮮みたいな国は!? ああっ、大日本帝国でしたね。それにしても、この戦争を始めてこうも無残に負けたのは誰の責任? 第三帝国ならヒトラー、ゲーリングあたりの計算違いが大きいが、日本をここまで下手に負けさせたのは、誰が原因なのか? とりあえず、誰か分からないけど無能な人間が、栗林忠道中将でなかった事だけは確かだろう。
大日本帝国:栗林忠道中将、千田貞季少将
アメリカ合衆国:リッチモンド・ターナー中将、ホーランド・スミス中将、ハリー・シュミット少将
戦力
大日本帝国22,786vs110,000アメリカ合衆国
ちょっと! 戦力差がありすぎる。米国には艦砲射撃や航空戦力もついてくるのに対して、日本は連合艦隊壊滅、航空戦力は本土防衛で引き上げ。もはや何も無いに等しい。これでは孔明でも勝てないんじゃないのか?
サイパンで3万人の守備隊が僅か3日で壊滅した事を考えれば、物凄い頑張りようである。それにしても、ほぼ戦死というのが無茶苦茶である。国家全体が人間使い捨てな黒企業クオリティである。大日本帝国、恐るべし。
大日本帝国 戦死 20,129(軍属82を含む)、捕虜 1,023
アメリカ合衆国 戦死 6,821、戦傷 21,865
作中でも部下使い捨てとか銃殺とか、敵と戦わずに玉砕で犬死にとか出てくるけど、キチガイすぎる。自決したり味方に殺されたら、何の意味も無いじゃないか。上層部の命令は勝手に無視するし。こんなにキチガイが多くては勝てる戦争でも勝てなくなる。ましてや、最初から負け戦では……。
ところで、普通のパン屋とかが徴兵されて激戦地に送られ、地獄を見ているが、上流階級の奴らはちゃんと戦争に行っていたのか? 次回から、戦争法案に対して賛成可決した議員は、男女問わず自身又は身内が最前線に送られるという条項を是非つけて頂きたい。貧乏人ばかり使い捨てにするな!
戦争は駄目だとか、二度としませんと奇麗事を言ってみても、やりたいキチガイが出てきたら始まってしまうものだしね……。今の日本は何百万人もの犠牲の上に、束の間かもしれない平和を謳歌しているが、今この瞬間でも世界の何処かでは常に戦争しているし。地球人はサイヤ人以上に戦闘種族なのだから、人類滅亡まで戦争が無くなる事なんて有り得ないんじゃないのか!?
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終戦間近の神戸に突然B29の大編隊が襲いかかった。清太と節子の兄妹は空襲の混乱の中、母親を亡くし、家を焼け出される。路頭に迷った兄妹はやむなく小母の家へ身を寄せることにするが、そこでも生活が苦しくなるに従って小母とのいさかいが絶えなくなり、清太は家を出る決心をする。荷物をリヤカーに積み込み、横穴壕でままごとのような二人の新しい生活が始まるが、やがて食糧も尽き…。
これ、かつて国語の授業で作者本人の実体験を小説にした本当の話だと習ったのに……。実際のところ、かなり脚色されていたんですね。思いっきり騙されたよ。半分位はフィクションじゃないか。全米が騙されて泣いた!
戦争の悲惨さを教えるには良作かもしれないけど、親戚の鬼婆の仕打ちがフィクションだとは……。実際には、あのように虐待されておらず、本人はお世話になった家にいた美人のお姉さんに夢中だったらしい。(をい!)ご飯食べさせてもらえずに横穴生活突入もフィクション……。
「火垂るの墓の作者は、どういう気持ちでこの物語を書いたでしょうか」という問題の正解が「締め切りに追われ、ヒィヒィ言いながら書いた」というのは……。
ちょっと! もう観ても泣けない(笑)。なにこのサンタクロースがフィクションだと知った日に匹敵するようなガッカリ感は。
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夏期限定トロピカルパフェ事件
2009年8月14日 読書小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を!そんな高校二年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは“小佐内スイーツセレクション・夏”!?待望のシリーズ第二弾。
連作短編っぽくなっていた前作と異なり、今回は長編になっている。しかし、「シャルロットだけはぼくのもの」と「シェイク・ハーフ」は先に短編として発表されている。
単発で発表されたものを含んで長編化してしまう力量が見事。単に、長編に突っ込んだという形ではなく、短編だけでも本格なのに、重ねがけでより大きなミステリーへと繋がっている辺り、勢いだけで書いているプロには無理な技である。最初から上手く繋がるように、プロットを練り上げていたのかね。
春→夏だから、すぐ後の話かと思っていたのだが、季節が一巡しているのは意外だった。このシリーズは、あまり長く続ける気が無いのかもしれないが、このペースだと冬期限定な頃には大学生?
夏休みに小佐内さんに連れまわされ、ご近所スイーツを制覇しなければならなくなる小鳩君。限りなくデートに近いのに、フラグが立っているんだか、潰しているんだか分らないもどかしさ。
後半は誘拐事件が発生してしまうので、日常ミステリーじゃなくなってしまう。しかし、さすが小佐内さん、仕掛けたトラップが強烈だ。やる事が策士すぎる(笑)。もはや犯罪域だけど、否定する気にはなれない。
日本の法律は悪党に甘く優しく出来ているから、自分の身を守るにはこれくらいやらないとね(汗)!? 但し、どれだけ法が無力であっても、被害者になったら泣き寝入りして耐えるというのが正しい? 小市民のあり方だから、大きく逸脱しているけど。
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春期限定いちごタルト事件
2009年8月13日 読書小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。
美味しそうな題名だけど、いちごタルトを巡ってある意味、悲劇が(笑)。人は死なないミステリーだけど、小佐内さんが可哀想な事に。訳アリな二人が、小市民に埋没して無難な人生を送ろうとするものの、厄介事に巻き込まれて能力を発揮せざるを得なくなるというもの。
最初のほうは、上から目線な感じで、秀でた二人が小市民たろうとするのが鼻に付くのだが、何で二人がそうなったかが分る(とはいっても、中学時代に何があったのかは明かされない)につれ、我慢出来る範囲になってくる。
自転車を盗まれた挙句、呼び出されたウマシカ教師から何で盗まれるんだ、管理が甘いと叱られる小佐内さんは可哀想。直接は登場しないのだけど、このウマシカ教師はアホな子か? その論理で行くと、殺人事件が発生しても殺されたほうが悪い、車に轢かれても轢かれる方が悪いという事になるぞ。悪いのは犯罪者であって、落ち度によって過失相殺があったとしても、被害者の責任ではない。こんな事も理解出来ないなんて、ひょっとして京都●育大学を卒業した教師なのかね?
とりあえず、小佐内さんの自転車をアレごと盗んだサカガミは逝って良し! 小佐内さんがただの可哀想な子じゃなくて、きっちり復讐するからスッキリしたけど。小動物に見えるけど、本当は狼というのが素敵デス。
主人公のほうはやる気の無い探偵だから、あまり食指が動かないのだけど、小佐内さんのほうは、一見すると小動物的な女子高生なのに、中身が暗黒属性だから素晴らしい! どうでもいいけど、変換しようとすると小佐内さんじゃなくて幼いさんになってしまう件……。
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本日の疑問:過去改変が不可能なら、未来改変も不可能なのではないのか!?
2009年8月11日 エッセイ コメント (2)
視聴率に期待出来るからか、毎年のように放映される「時をかける少女(アニメ版)」だが、おいらも釣られてしまい、また観てしまった(笑)。作中で主人公は何度もタイムリープし、過去を改変してしまう訳だが、果たして過去は変えられるのか。
一般的なスタンスはこうだろう。
過去は変えられないけど、未来は変えられる。
時間軸が常に「現在」の一点のみで、過去も未来も存在しないのなら正解かもしれないが、線で捉えると、おかしな事になる。何故ならば、任意の時点における過去は、より過去からみた場合の未来であり、逆に、未来はより未来から見た場合には過去となるからである。
過去が変えられないのならば、未来も確定していて変えられないという条件でないと、おかしくならないだろうか? 逆に、未来が変えられるのならば、過去も改変可能でないとおかしい。
具体例として、本能寺の変を挙げてみる。誰かが1582年6月2日以前に遡り、信長に光秀の謀反を教えたらどうなるだろう。我々からみたら確定した過去である本能寺の変も、信長から見れば確定していない未来である。
もうひとつ。突然、机の引き出しから青い悪魔が飛び出してきて、のび太君の未来を改変しようとした場合。ジャイ子と結ばれる未来を改変し、無事にしずかちゃんと結婚する事は可能か? のび太にとっては確定していないつもりの未来でも、セワシ君にとってはすでに確定した過去である。(先祖が変わってもバランスを取って産まれて来るとか豪語するセワシ君、遺伝子は一体どうなってるんだ!? というややこしい疑問は、とりあえず置いておくw)
過去改変は可能であるが、技術的に過去へ遡る機械が発明されていない(今後も人類テクノロジーでは発明されない)ので実質的に不可能であるという、ごく妥当な考え方をしてみる。しかし、我々は過去と同じく未来へ行く事も出来ないのだ。
自分が決断して(或いは不本意ながら状況に流されて)掴み取った未来が、自由意志に基くものであって、本人が知らないだけですでに確定していた未来ではないという事を、一体どうやって証明する?
下位次元世界の勇者ロトは、自らの意志により竜王を倒す旅に出る。しかし、実際にはプレイヤーと呼ばれる神に操作される憐れな存在で、彼に自由意志は存在しない。同じように、人類が3次元(4次元時空)より上にいる何者かに操られているだけで、すでに確定しているシナリオの上を歩いている憐れな存在ではないと、どうして言い切れる!?
下位次元生命体である人類では、3次元(4次元時空)までしか認識出来ないが、量子物理学の計算上、隠された次元を含めると世界は10次元(ボソンひもまで計算に入れると26次元!)である。上位次元にいるアザトースさんとかヨグ・ソトースさんとかジュブ・ニグラスさんとかニャルラトホテップさんのためにある、ゲームの駒かもしれないのに……。
さてさて、過去と未来は変えられるものなんですかね? 教えてエロい人! そのうち、量子物理学者が計算して正解に辿り着いちゃうかもしれないけど、過去も未来も変えられません(つまり我々に自由意志は存在しません)なんて事になった日にはもう……(笑)。
一般的なスタンスはこうだろう。
過去は変えられないけど、未来は変えられる。
時間軸が常に「現在」の一点のみで、過去も未来も存在しないのなら正解かもしれないが、線で捉えると、おかしな事になる。何故ならば、任意の時点における過去は、より過去からみた場合の未来であり、逆に、未来はより未来から見た場合には過去となるからである。
過去が変えられないのならば、未来も確定していて変えられないという条件でないと、おかしくならないだろうか? 逆に、未来が変えられるのならば、過去も改変可能でないとおかしい。
具体例として、本能寺の変を挙げてみる。誰かが1582年6月2日以前に遡り、信長に光秀の謀反を教えたらどうなるだろう。我々からみたら確定した過去である本能寺の変も、信長から見れば確定していない未来である。
もうひとつ。突然、机の引き出しから青い悪魔が飛び出してきて、のび太君の未来を改変しようとした場合。ジャイ子と結ばれる未来を改変し、無事にしずかちゃんと結婚する事は可能か? のび太にとっては確定していないつもりの未来でも、セワシ君にとってはすでに確定した過去である。(先祖が変わってもバランスを取って産まれて来るとか豪語するセワシ君、遺伝子は一体どうなってるんだ!? というややこしい疑問は、とりあえず置いておくw)
過去改変は可能であるが、技術的に過去へ遡る機械が発明されていない(今後も人類テクノロジーでは発明されない)ので実質的に不可能であるという、ごく妥当な考え方をしてみる。しかし、我々は過去と同じく未来へ行く事も出来ないのだ。
自分が決断して(或いは不本意ながら状況に流されて)掴み取った未来が、自由意志に基くものであって、本人が知らないだけですでに確定していた未来ではないという事を、一体どうやって証明する?
下位次元世界の勇者ロトは、自らの意志により竜王を倒す旅に出る。しかし、実際にはプレイヤーと呼ばれる神に操作される憐れな存在で、彼に自由意志は存在しない。同じように、人類が3次元(4次元時空)より上にいる何者かに操られているだけで、すでに確定しているシナリオの上を歩いている憐れな存在ではないと、どうして言い切れる!?
下位次元生命体である人類では、3次元(4次元時空)までしか認識出来ないが、量子物理学の計算上、隠された次元を含めると世界は10次元(ボソンひもまで計算に入れると26次元!)である。上位次元にいるアザトースさんとかヨグ・ソトースさんとかジュブ・ニグラスさんとかニャルラトホテップさんのためにある、ゲームの駒かもしれないのに……。
さてさて、過去と未来は変えられるものなんですかね? 教えてエロい人! そのうち、量子物理学者が計算して正解に辿り着いちゃうかもしれないけど、過去も未来も変えられません(つまり我々に自由意志は存在しません)なんて事になった日にはもう……(笑)。
夫婦でいるとか、恋人でいるとかって、本当はどういうことなんだろうな。不動産会社に勤める瀬尾隆一は、大学時代からの先輩・蛭間直樹の妻・いずみのことが気になっている。いずみから直樹が浮気をしているのではないか、と相談を受けたのがきっかけだった。自身の妻・信子とは2年前から別居中で、すでに愛情は枯れてしまっている。次第に距離を縮めてゆく二人だが、失うには大きいものが多く、なかなか踏み込めない。そんな関係が煮詰まってきたある日、直樹が病院に運ばれた―。
芥川賞関連で、まだ書籍に入っていないのがあるので、今度こそ入るかと思ったら、またしても違った(汗)。表題作のみの長編で、不倫の物語。
夫に女の影を感じた妻が、夫の後輩に相談するうち……、というありがちな展開をしてしまうのだが、後輩も自分の妻が浮気をして別居中という複雑な人間模様を描く。転がり始めた人間関係は、もう二度と元には戻らない。
後輩の浮気妻は自業自得だから仕方無いとして、残りの人々は落ち着くべき場所に立ち位置を変えた感じなので、一応はハッピーエンドに近いか。それにしても、何としてでも男を手に入れようとする不倫相手の覚悟は凄い。
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12分の1のドールハウスで行われた小さな殺人。そこに秘められたメッセージの意味とは!?天国的美貌を持つミステリー界の人気作家「覆面作家」こと新妻千秋さんが、若手編集者、岡部良介とともに、残された言葉の謎に挑む表題作をはじめ、名コンビが難事件を解き明かす全3篇を収録。作家に探偵、おまけに大富豪のご令嬢と、様々な魅力を持つお嬢様探偵、千秋さんの名推理が冴えわたる“覆面作家”シリーズ第3弾。
覆面作家シリーズ3冊目。
ドールハウス殺人事件は、(物語内で)実際に起こったのではなく、人形が殺されているだけ。そこに隠されたメッセージが、製作者からの挑戦状となる。
殺人成分が下がり、ハッピー成分が増えた。双子の兄は意外な相手とゴールイン。リョースケは超級お嬢様を無事攻略出来るのか!? フラグが立った辺りで終わっているのが残念。この結末を見届けたかった。
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ペンネームは覆面作家―本名・新妻千秋。天国的美貌でミステリー界にデビューした新人作家の正体は、大富豪の御令嬢。しかも彼女は現実に起こる事件の謎までも鮮やかに解き明かす、もう一つの顔を持っていた!春のお菓子、梅雨入り時のスナップ写真、そして新年のシェークスピア…。三つの季節の、三つの事件に挑む、お嬢様探偵の名推理。人気絶頂の北村薫ワールド、「覆面作家」シリーズ、第二弾登場。
覆面作家シリーズ2冊目。
家の中と外で人格が変わるお嬢様と、出版社の担当リョースケ。リョースケにはユースケという双子の兄がいる。警視庁の刑事なのだが、事件絡みでお嬢様とも関わる事になりがち。
一作目よりも殺人成分が高くなってきたのは残念。人が死なないミステリーのほうが良いなぁ。謎解きは苦手なので、通話時間のトリックは軽く読み流す。
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姓は・覆面・、名は・作家・。弱冠19歳、天国的美貌の新人推理作家・新妻千明は大富豪令嬢。若手編集者・岡部を混乱させながら鮮やかに解き明かされる日常世界の謎。誕生! お嬢様名探偵、シリーズ開始。
覆面作家シリーズ1冊目。
宮部みゆきから“本格原理主義者”なんて言われているので、もっと本格なのかと思ったら、限りなくキャラクター小説に近い感じ。これでもう少しペラい文章ならスニーカー文庫のほうでもいけそうだ。
出版社に作品を送ってきた相手は、超金持ちで超美人のお嬢様だった。異様に頭の回転が速く、身近に起こる事件の謎も解き明かしてしまう。何もかも揃った完全無欠キャラというのはありがちだけど、嫌味が無いのが良い。家の中だと深窓の令嬢な感じなのに、外に出ると男前な性格に変わってしまうのが何とも……。
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退屈姫君 これでおしまい
2009年8月6日 読書「すてき!」に目がない弱小藩のうら若き正室めだか姫。いま江戸で評判の変わり菊競べを見たくてなりません。姉君三姉妹の失踪騒ぎに乗じ屋敷を抜けだすと、そこには名菊「雪見桜」を踏みにじり、選考に不満をわめく、天下のボンボン田沼意知の姿が。めだかの正義に火が点り、やがて将軍さまも巻き込んだ未曾有の大騒動が始まるのでした。文庫書き下ろし「退屈姫君」シリーズ完結篇。
退屈しのぎに、余計な場所に首を突っ込み、結果として田沼と対決する事になるめだか姫のシリーズも、これで最後か。
お付の老女が頑張りすぎて、なかなか大名屋敷の外へ出られず難儀するめだか姫。そこへ父が現れて、嫁入り前の姉、猪、鹿、蝶の三人が失踪したと教えられる。これ幸いとばかりに、姉達を探すという名目で外へ出るめだか姫。しかし、行き先は江戸で評判の変わり菊較べの会場だった。
姉達は事件に巻き込まれたのではなく、どうせ男漁りをしているのだろうと放置したまま、会場で菊較べの花を楽しんでいたところ、田沼のボンボンが難癖つけて暴れる場面に遭遇。やがて菊較べは、田沼家の陰謀も絡んで、将軍様まで巻き込んだ騒動へ。
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生まれてすぐに家族になるわけじゃない。一緒にいるから、家族になるのだ。東京から田舎に引っ越した一家が、座敷わらしとの出会いを機に家族の絆を取り戻してゆく、ささやかな希望と再生の物語。朝日新聞好評連載、待望の単行本化!
第139回直木賞候補作。
大手食品メーカーに勤める男が、企画の第一線から外され、地方の営業に。出世の目が無くなったと思った彼は、家族に相談もせず強引に田舎の古い家屋を借りてしまう。妻は仕事ばかりの夫と姑相手に不満たらたら。姑は認知症が始まり、娘は友達がいなくて孤立、息子は喘息持ちと、それぞれ問題を抱えているが、どこにでもありそうな家族の一風景。
大きな日本家屋の二階には謎の仏壇、庭には祠。引っ越してきてから、鏡に何かが映ったり、誰もいないのに足音がしたりと怪奇現象が起こる。ここで出てくるのが血塗れのお婆さんだったり、髪をふり乱した女性だったりしたらホラーだが、怪現象の正体は、小さい子供。見てしまった家族も驚くが、小さい子(座敷わらし)も驚いて逃げて行く。
座敷わらしは子供にしか見えないという伝承通り、まともにその姿を見ているのは少年と祖母(認知症)で、後は鏡で見たりするだけ。当然、お父さんはなかなか見る事が出来ない。家族関係は次第に好転するけれども、それは座敷わらしの幸運パワーではなくて、登場人物の思考がネガティブからポジティブに変わったからだろう。
結局、会社の適当すぎる方針のため、この家屋には短期間しか住まないのだが、結末が洒落ていて良かった。これでも直木賞は貰えないのか。受賞した不倫話より良いと思うんだが……。
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小学校六年生になった長男の僕の名前は二郎。父の名前は一郎。誰が聞いても「変わってる」と言う。父が会社員だったことはない。物心ついたときからたいてい家にいる。父親とはそういうものだと思っていたら、小学生になって級友ができ、ほかの家はそうではないらしいことを知った。父はどうやら国が嫌いらしい。むかし、過激派とかいうのをやっていて、税金なんか払わない、無理して学校に行く必要などないとかよく言っている。家族でどこかの南の島に移住する計画を立てているようなのだが…。型破りな父に翻弄される家族を、少年の視点から描いた、長編大傑作。
破天荒な父を持つ家族が沖縄に移住! ←この程度の情報しか知らないまま読んだので、父が元過激派で世間とズレすぎていてあせった。
沖縄は沖縄でも、本島よりもさらに向こう、西表島まで行ってしまうのだが、ページの半分以上は東京で国家権力と戦う第一部。年金も保険も義務教育も全否定。過激派の英雄にして、米軍の戦闘機を焼いた疑いまであり、キューバのカストロ議長とは知り合いだという噂。あまりにも強烈すぎるが、こういう人間は好きだな。自分の父親だったら困るけど。
居候していたおじさんが内ゲバで敵対する幹部を殺害した事で、家主に契約更新を拒否され、あっと言う間に家財道具を売り払って西表へ転居。しかし借りたのは廃村になっている場所で、リゾートホテル建設計画がある私有地を不法占拠した形になってしまう。
波乱万丈な家族であるが、西表へ行った後のほうが幸せそうに見える。東京では袂を分かった親族との格差に悩んだり、不良(というよりもはや犯罪者中学生)に絡まれて酷い目に遭ったりしていたのだが、西表は悪人も見当たらず、伸び伸びとしたジャングル生活!? 開発業者とのバトルはありますが。
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祇園祭宵山の京都。熱気あふれる祭りの夜には、現実と妖しの世界が入り乱れ、気をつけないと「大切な人」を失ってしまう―。幼い姉妹、ヘタレ大学生達、怪しげな骨董屋、失踪事件に巻き込まれた過去をもつ叔父と姪。様々な事情と思惑を抱え、人々は宵山へと迷い込んでいくが…!?くるくるとまわり続けるこの夜を抜け出すことは、できるのか。
連作形式になっており、6編でそれぞれ主人公が変わるのだが、京都の祇園祭宵山を舞台にしており、視点を変えて各話が繋がっている。この世界のモノでは無い何かも絡んで来るところは、やはり森見ワールドらしい。
姉とはぐれ、何かに連れ去られそうになる妹。
友人乙川の大仕掛けな悪戯に翻弄される男。
大仕掛けの舞台裏。
従妹が神隠しにあい、叔父も何処かへ行ってしまうのを止められい女。
何度も繰り返される宵山の閉鎖世界に囚われた男。
妹を見失い、自分も普通とは異なる場所へ迷い込む姉。
各話の並び具合が神! 非日常的とは言っても現実世界の一部に過ぎない祇園祭宵山の夜と、宵山世界がかさなり、不思議な雰囲気を醸し出す。宵山世界に囚われてしまい、何度も何度も宵山当日の朝を迎えてしまう男のタイムループ系も良い。
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6年前に別れた恋人・静佳にはある事情があった。彼女を一度は受け入れると決めたのに、突き放す形になってしまった過去。ユキヒロはその謝罪をしたいと思っているが、なかなか一歩を踏み出せないでいる。そんなユキヒロのところに、父親を雪山の事故で亡くした甥っ子の葎が預けられることに。葎との生活のなかで、少しずつ前へ進み始めたユキヒロは、静佳に手紙を書こうとするが―。死別よりつらい男女の別れとその6年後を描く期待の新鋭、初の書下ろし長編小説。
第138回芥川賞候補作となった「空で歌う」が微妙だったので、さほど期待はしていなかったのだけど、三冊目は断然良い出来栄え。
病気ネタは入っているけれども、白血病になりました、死んでしまいました、全米が泣きましたといったありがちパターンではないのも好感が持てる。まぁ、死には至らない病なのだけど……。死なない病でも、当事者達にとっては大事な訳で、これを受け止める包容力を高校生男子に期待するのは酷だろう。
父を亡くした甥っ子の葎を預かるユキ(ユキヒロ)。リツとかユキとか女みたいだけど、両方男デス。甥っ子と書いてなければ、葎は女だと間違えそうだ(笑)。
高校時代につるんでいた四人のうち、事情により元恋人の静佳だけが町からいなくなっているが、鴇田と、その彼氏であるチャラ男風のエザミは残っているので、物語に絡んで来る。
病気になった静佳は、ほぼ回想シーンでしか登場せず、過去に縛られた主人公が六年間もウダウダやっている現在が舞台となるので、ヘタレ男に思えて仕方が無い。それに対して、姉や鴇田の性格が(良い意味で)何と男前な事か。友人のチャラ男はヘタレじゃないけど、ロクデナシな感じ。
左側ページの下にあるパラパラマンガは、読み進めると単なる落書き以上の意味が付与される。
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「漫画の王国」に生れた小説家の乙女な日常生活。バンドを追っかけ上方へ、愉快な仲間と朝まで語り、わきあがる妄想の楽園に遊ぶ…色恋だけじゃ、ものたりない!なぜだかおかしな日常はドラマチックに展開―日本の政局も、家族の事件も、人気のTVドラマも、考え始めたらいつのまにかヒートアップ!「読んで楽しく希望が持てる」、笑い出したら止まらない、抱腹微苦笑ミラクルエッセイ。
やはり、どれを読んでも三浦しをんのエッセイは面白くない。とは言っても、内容が駄目なのではなくて、読み手がついていけない事が原因なのだが。
これも、他のエッセイに勝るとも劣らない腐女子の妄想が暴走機関車トーマス状態。すぐに受けとか攻めとか脳内変換する辺り、とてもついていけませぬ(笑)。他にも、目に入ったシーンから妄想全開でストーリー考えたり、キャラ分類で盛り上がったりと……。腐女子が読めば上手くシンクロして楽しめるのではなかろうか。
それにしても、貧乏ネタが目につくけど、この頃はお金無かったんだろうか? 今や、直木賞作家だから、大判小判ざっくざくで、腐女子マンガとかを大人買いしていそうなイメージがあるけど。
妄想全開系統でも、森見登美彦なら上手く波に乗れるのだが、三浦しをんは自分が腐女子ではないだけに、無理っす!!
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大人気シリーズゲームノベライズ第2弾登場! 弟・文和の意識を取り戻すため、ネットゲーム「ザ・ワールド」へと向かった晶良は、そこで重剣士ブラックローズとして、「ザ・ワールド」に潜む謎へと立ち向かう! 大人気ゲームノベライズ第2弾登場!
世界規模の大型MMOにて、プレイヤーが意識不明となる事件が多発。これ、実際にあったら社会問題になるよな。管理サイドも、客商売とは思えない酷い言動を繰り返すし、CC社というのは運営として駄目すぎる。もしかして、運営本体は日本や欧米じゃなくて、韓国か? CC社と比べたら、実在するガンホーとかは神運営だと思うぞ(笑)。
運営は、余計な行動を起こすなというが、彼らを信用出来なくなったブラックローズは、自分達で今起こっている異変を解決しようと動き始める。この時点で伝説となっているバルムンクが運営側についているのが嫌な感じだよな。NPCキャラで介入してくる運営はもっと嫌らしいけど。
少しずつ対ボス戦も増えてきて……。え!? ボス三体だけじゃなくて、たくさんいるの!? 現実世界のトラブルは解決したけど、「The World」の異変は解決せず、弟も意識不明のまま。
ところで、アニメに出てきたキャラが確か晶だったと思うのだが、名前からして、これが弟で、大好きな姉の名前から取ってキャラを作ったんだなと、勝手に思い込んでいたら……。全然違うし! じゃあ、晶というのは誰!?
さてさて、ゲームは四作品だった訳だが、やはりノベライズも四部作になるのか。近所の古本屋には最初の二冊しか売ってなかったから、続きが読めぬOrz
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