ISBN:4062126745 単行本 町田 康 講談社 2004/11/16 ¥1,680
どうでもいいようなことで悲しんだり怒ったりしているとき、彼女らはいつも洗練されたやりかたで、人生にはもっと重要なことがあることを教えてくれた。写真と文章で綴る、猫たちとの暮らし。
「猫のあしあと」というのがあったので借りてきたら、「猫にかまけて」の続きである事が判ったので、慌てて追加で借りてきた。小説じゃなくエッセイだから、別に順番じゃなくても良さそうに思えるが、結構繋がっているので、やはり「猫にかまけて」→「猫のあしあと」の順で読むべき。
エッセイなのに文体が硬質で、昨今の芥川賞より余程出来が良い。まだ町田康の受賞作は読んでないけれども、これなら期待出来そうだ。飼い猫のココアとゲンゾーに加えて、ヘッケと奈奈が登場するのだが、悲しい結末も待ち構えている。それにしても、猫に注ぐ愛情は凄すぎる。人類全員が町田康になれば、猫も天国だろうに。
もの忘れは「ぼけ」の始まりか(PHP新書036)
2007年12月6日 読書ISBN:4569557864 単行本(ソフトカバー) 宇野 正威 PHP研究所 1997/11 ¥690
人の名前が思い出せない、大切なものをどこにしまったか忘れてしまう―年をとれば誰でも気になる「もの忘れ」。「もの忘れ」はなぜ起こるのか?「もの忘れ」がひどくなると、「ぼけ」につながるのか?本書は、「もの忘れ外来」で「ぼけ」の早期診断と治療にあたる著者が、このような疑問や不安にやさしく答える一冊。脳と記憶のしくみや、いまや「ぼけ」の代名詞ともなりつつあるアルツハイマー型痴呆に関する最新事情などもコンパクトに解説する。
記憶のメカニズムからアルツハイマー病まで。前半が物忘れや痴呆の原因や状態についての説明で、後半はアルツハイマー病に関するもの。つまり、題名やサブタイトルには入っていないけれども、半分くらいはアルツハイマーに関する内容。出版年が古いので、状況はやや好転しているものの、未だ死に至る病なのは変わらず。
それにしても、国内製薬メーカーが作った治療薬が、許認可のラグにより米国でしか使えなかったりするのは大問題だと思う。まぁ、厚生労働省は国民の命なんて虫けら程度にしか考えていないから仕方がないか。外務省や防衛省もそれなりに悪行を重ねてはいるけれども、国民を何千人も殺した省庁は、戦後においては厚生労働省だけですからね。その罪は桁違いである。
ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く
2007年12月6日 読書ISBN:4140812397 単行本 塩原 通緒 日本放送出版協会 2007/06 ¥3,045
物理学界がいま最も注目する5次元宇宙理論とは? すぐそこに存
在するという第5の次元はなぜ目に見えないのか? そもそもそれは存在するのか? 現代物理学の歩みから最新理論までを数式を一切使わずわかりやすく解説したベストセラー。
リサ・ランドールはプリンストン大学、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学で終身在職権をもつ女性教授。まだ若いのに、これは凄すぎる。競争の無い日本の硬直した学閥システムでは、どれ程実力があろうと、絶対にこのポジションに就く事は出来ないだろう。どの位凄いかというと、東大と早稲田と慶応義塾で教授になって、さらに界王拳100倍位凄いハズだ! 上3つの大学は、世界大学ランキング一桁に入りそうだけど、東大なんて最も難しかった第二次ベビーブーマー世代当時ですら100番位ですからね。
なんか変なサブタイトルを付けられているがために、今流行りの五次元ブームに乗っかったトンデモ本と同列だと誤解されてしまいそうだが、これは英米の超一流大学でテキストとして使われている物理学の本なので、オカルト書籍のつもりで買ったりしないように!
数式を使わずに、出来るだけ判りやすく説明してくれてはいるのだが、内容が四次元立方体とかプランク定数とか超ひも理論なので、やはり一般人が読むには難解。例えば、三次元を二次元に置き換えて、二次元世界上で三次元球体が通過した際の見え方は、円が大きくなり、中心を越えると小さくなるという説明をされるのだが、これを一次元上乗せすると……。三次元世界を四次元立体が通過した場合は、球が拡大縮小するように見えるというのだが、実際には四次元立体は球体では無いのである。高位次元世界なんて見た事が無いので、ちっともイメージが出来ません。
こういう想像の域を超えられない仮説だけでなく、後半は純粋に物理学の話になっていく。題名から考えると、宇宙を舞台にしたSFっぽい内容をイメージしてしまうが、実際には本書で扱われているのは極小世界である。ヒッグス粒子等、まだ発見されていない存在を、高性能の粒子加速器で見つけ出す為の試みは、すでに始まっている。SFで出てくる光速よりも早く動く事しか出来ないタキオンは、理論上の誤りで考え出されたものであるとされ、本書では否定されてしまった……。
タキオンは無かったのか。じゃあ、これからのSF作家はタキオンを使えないね。少し残念だ。
グッバイ・チョコレート・ヘヴン
2007年12月4日 読書ISBN:4344401077 文庫 荒木 スミシ 幻冬舎 2001/06 ¥630
ある時ヒロミは誘拐された。ヒロミの姉は国民的アイドル“イオナ”。「世界の中心は黒い穴だ」と声明文を送ったヒューイと名乗る犯人は、イオナの全身整形暴露記事にショックを受けた少年だった。やがて誘拐劇は未熟な二人の逃避行に発展し、ヒューイは時代のヒーローに祭り上げられていく―。冷たくも甘い「青春トリコロール」シリーズ第一弾。
思いっきり表紙に釣られてしまった。小説でありながら、半分くらいは少女の妄想系な詩みたいになっているし、場面転換判りにくいし、文章は下手じゃないのかもしれないけど中身は女子高生が書いたネット小説みたいなノリだし、これはもうついていけません。
なんか、異様にアマゾン評価が高いのだけど、これは閉塞感に押し潰された世代が読んで共感しているだけだよね? 本当に良作ならば、こんなに早く品切れになんてならないし。改行と記号とチャットと詩で字数稼ぎすぎ。「青春トリコロール」シリーズ第一弾となっているけど、多分、もう他のは読まない。浅田弘幸の表紙だけは良かった。
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白雪ぱにみくす! 1
2007年12月1日 アニメ・マンガISBN:486127396X コミック 桐原 いづみ マッグガーデン 2007/07/10 ¥590
帯に書かれた過激なキャッチ。
全ての人類よ、下僕にするぞ!
夢の中で、別世界で眠り続ける姫と出逢った少年、直後に妹の夜這いで目覚めるのだが、「家が変な事になった」と言われ、見てみればそこには見知らぬ巨大な鏡が出現していた。さらに、妹が「入れます」と言いつつ鏡の中に消えて行くので追いかけると、そこには夢で出てきた綺麗な姫がガラスの棺で眠っていたのである。
眠り姫が出て来れば、目覚めは王子様のキスというのがお約束事。流されるまま、謎の美姫の封印を解いてしまうのだが、目覚めた相手は、見た目とは裏腹に、かなり高飛車で強烈な性格の白雪姫だった! 暗黒仕様の白雪姫に不思議の国のアリスを融合させた感じの、摩訶不思議ファンタジー。
Missウィザード 2
2007年11月29日 アニメ・マンガISBN:4757517068 コミック 葉月 京 スクウェア・エニックス 2006/06/24 ¥550
顔だけ良いけど中身ヲタのダメダメ人間の願い(無理難題)を叶えなければ正式な魔女になれない二人であったが、ライバルがついた相手と願いがブッキング。妨害工作されて、お互い深みに嵌って行く。
タイトルに(仮)がついているのは魔女仮免許段階だから。そして、Missがついているのは、ウィザード(仮)とつけた後に、男性名詞だと指摘された為らしい。これ、二話で雑誌が休刊してしまい、スクエニに拾われたようだ。
1巻は買ってしまったけど、主人公がキモすぎるから買う気が失せてきて、古本屋で立ち読みして済ませてしまった。絵柄は結構好きなんだけどね。
ISBN:4163255907 単行本 藤原 伊織 文藝春秋 2007/01 ¥1,300
男たちの生き方に共感必至! CM制作を手がける麻生は昔の恋人の窮地を救うため突飛な手を考えた!(「水母」)。広告界と美術界を舞台にした力作3篇を収録!
藤原伊織の数少ない短編集。著書は全作品、極めてレベルは高いと思うが、やはり長編が圧巻である。分量が少ないから、短編だとやや物足りないかもしれない。本書には三篇収録。やはり、表題作となっている「ダナエ」が断然良い。何かと思ったら、ギリシア神話に出てくるペルセウスの母親だった。
ダナエはアルゴス王アクリシオスの娘だったが、孫に殺されると予言されたため、王によって青銅の塔に閉じ込められる。しかし、ユピテル(ゼウス)の子を身篭りペルセウスを産む。成長したペルセウスは円盤投げの最中に手元が狂い、祖父であるアクリシオスに当ててしまうのである。
この神話から描かれたレンブラントの作品「ダナエ」が、1985年に所蔵先のエルミタージュ美術館(サンクト・ペテルブルク)で硫酸がかけられるという事件が起こったのだが、その事件を模倣するかのように、ある日本画家の力作に薬品がかけられてしまうのである。画家は、犯人が神話になぞらえてアクリシオスに当たる人物を狙っているのではないかと考えるのだが……。
ハードボイルドでありながらもせつない系。基本的に、ハッピーエンドで終わる話は無く、どれを読んでも物悲しい。もっともっと書いて欲しかった。東野圭吾のエッセイ『きっと最後の御挨拶』には、倒れていない頃の藤原伊織が出てきて、しかも酔っ払っている。この頃、すでに病に蝕まれていたのかと思うとやるせない。
起業の着眼点 (PHP新書400)
2007年11月27日 読書ISBN:4569654363 新書 邱 永漢 PHP研究所 2006/05 ¥714
バブルがはじけて十七年。戦後日本経済を支えた年功序列賃金や終身雇用制が影をひそめ、転職や脱サラをしたり、あるいは退職金を元手に起業を試みる人が増えている。本書は、創業・起業を何十と繰り返してきた著者が、起業を試みる人たちに贈る50のアドバイス。起業を成功させるには、努力することも必要だが、それ以上に、お金の儲かる仕事を見つけることが大切なポイント。時代が変わると儲かる商売も変わる。起業とは社会の変化を見きわめて、新しい「お金の通り路」を発見することなのである。
PHP新書も、通し番号400を超えてしまったか……。(調べたら、そろそろ500番台も超えるね。)出始めた頃と比べたら、随分といい加減な本も増えてきたし、ちょっと字も大きくて内容スカスカなんじゃないかと心配したが、意外に読める内容だった。とりあえず、著書の中身が宣伝だらけの大前氏や、オカルト話ばかりする船井氏よりは、よほど中身があると思う。
実は、お金儲けシリーズ全六巻の三冊目らしいのだが、順番に読まなくても大丈夫。独立した内容だから単品で読める。ごく当たり前の事しか書いてないのだが、その基本を疎かにしている人が多いので、起業するならば押さえておいたほうが良い。無論、社畜のまま過ごすであろう大多数の人にも役立つ内容。
日本はもう落ち目だから、一旗揚げるならば、他所の国に行ったほうが良いかもしれない。
Missウィザード 1
2007年11月27日 アニメ・マンガISBN:4757515561 コミック 葉月 京 スクウェア・エニックス 2005/10/25 ¥530
人間界にやってきた見習い魔女ふたり組が、男子諸君の夢と希望を叶える、ちょっぴりエッチなラブ・ファンタジー!
うーむ……。この作者の他作品は結構良かったのだが、これは微妙だ。「ちょっぴりエッチなラブ・ファンタジー」という部分はともかく、主人公が顔だけ良くて中身ダメダメ、しかもキモヲタなので、見ていてだんだん苛立って来る。どうせならラブやんの主人公みたいに見た目からダメ男で良かったのに。
魔女試験の最終段階である実技試験を受けに人間界へとやってきた二人組だが、見かけ倒しで中身ダメダメな男を実技対象として選んでしまったから大変な事に……。
ISBN:4152088559 単行本(ソフトカバー) coco 早川書房 2007/09/07 ¥1,050
本が大好き! いっしょに読めばもっと楽しい! SF者の早川さん、ホラーマニアの帆掛さん、純文学読みの岩波さん、ライトノベルファンの富士見さん、レア本好きの国生さん。個性豊かな本好きの女の子たちの日常を描いて大人気のブログコミックが、オールカラーで、ついに本になりました。
基本的にページの半分は四コママンガで、残りには解説文。全部カラーだから見ていて綺麗だけど、このイラストに騙されてはいけない。一応はマンガ形式になってはいるけれども、本書は本読みのための本である。普段、本を読みまくっている人が読めば共感出来るところだらけで非常に面白いのだが、読書量が少ない人がマンガだからと飛びついても、きっと楽しむ事は出来ない。少しくらい面白くても、この本の潜在能力を限界まで引き出す事は出来ないだろう。
という訳で、マンガになってしまっているけれども、活字中毒の人こそ読んでください。特に、SF者とホラー者と純文学者の人っ!(笑)
SF者の早川さん、ホラーマニアの帆掛さん、純文学読みの岩波さん、ライトノベルファンの富士見さん、レア本好きの国生さん。主な登場人物はこれだけ。レアな国生さんは滅多に出ないから、実質上は4人だけ。岩波さんは、SFばかり読んでいる早川さんを子供扱いするし、早川さんはラノベ大好きな富士見さんをちょっと格下に見て優越感に浸る。こういうシーン、実際によくあるから笑える。
それにしても、4人の中でも早川さんを主役中の主役にしたのは正解だ。そして、これを出した早川書房も偉い! 岩波さんじゃ、絶対にこんな本は出してくれないだろうし、富士見さんでは白黒印刷でショボくラノベ文庫で出されてしまいそうだ。
まりあ・ほりっく 1
2007年11月24日 ???ISBN:4840116768 コミック 遠藤 海成 メディアファクトリー 2007/02/23 ¥500
これはまた強烈な……。長身のために虐められ、男に触られるだけでじんましんが出るまでになってしまったかなこが転入したのは中高一貫教育の名門女子高。男が大嫌いになってしまったので百合属性なこの主人公、いきなり罵詈雑言を浴びせる謎のメイドと、超美少女と出会うのだが、美少女は女じゃなかった!
学院内の私有地に住む前理事長の孫、祇堂鞠也は女にしか見えないけど本当は男。しかも性格が悪くて腹黒い。何で女の格好で女子高に通っているのかは現段階(1巻)では不明。それにしても、これで男なのは無理やり設定である。表紙の人は、主人公ではなくて祇堂鞠也、つまり男ですからね。
まりやが男であると知ってしまった宮前かなこは、秘密を暴露しないよう部屋まで同じにされて監視状態、ひたすらイジリ倒される事になってしまう。イジられつつも、見た目が好みだから鼻血まで出してしまう。これでは悲しんでいるのか悦んでいるのかよく判らない。
かなこは巻末で、次巻の表紙は自分の番だとメイドの茉莉花に言われてしまうが、調べたら本当にそうなってるね……。本当は主人公のハズなのに題名どころか表紙も取れないなんて、可哀想なキャラだ。
ISBN:4104779016 単行本 朱川 湊人 新潮社 2005/08/19 ¥1,470
忘れてしまってはいませんか?あの日、あの場所、あの人の、かけがえのない思い出を。東京・下町にあるアカシア商店街。ある時はラーメン屋の前で、またあるときは古本屋の片隅で―。ちょっと不思議な出来事が、傷ついた人々の心を優しく包んでいく。懐かしいメロディと共に、ノスタルジックに展開する七つの奇蹟の物語。
これは短編だが、ノスタルジックホラー連作短編。基本的に各話は独立しているものの、東京の下町にあるアカシア商店街が舞台となる。そして、そこにある幸子書房という芥川っぽい店主がいる古本屋が重要な役割を果たす。
ホラーとは言っても怖がらせる部類ではなく、せつなかったり物悲しい話が多い。これも完成度が高い。なんで朱川湊人が長くデビュー出来ずにくすぶっていたのか謎である。いきなり上手くなってデビューしたのか、出版社の目が節穴だったのか、どっちなのだろう?
トリック -劇場版2
2007年11月18日 映画DVD 東宝 2006/12/15 ¥6,300
関東沖合いに浮かぶ小さな島・筐神(はこがみ)島。島を見下ろす山の頂上には、なぜか異様な巨岩が乗っている。その岩は、この島を支配する霊能力者・筐神佐和子が一人で、しかもたった一晩のうちに持ち上げたものだという。ある日、上田の研究室を青沼という青年が訪ねてくる。10年前、筐神佐和子に連れ去られた幼馴染の美沙子という女性を救い出して欲しいというのだ。佐和子が恐ろしい霊能力者だと聞き一人では心もとない上田は、例によって奈緒子を巻き込み佐和子とその信奉者たちが待ち受ける筐神島へと向かう。二人の前で次々と繰り広げられる驚愕の奇蹟の数々。それは果たして、佐和子の強大な霊能力によるものなのか、それとも単なるトリックか!?
前作より劣化した感じだ。巷の評判も芳しくない。トリック暴きが減ってしまい、他作品から取ってきた妙な小ネタが多くて二流っぽい。見せ方も前作ほど良くないし、物語自体もインチキ霊能力者と対峙するだけで面白くない。ちょっと、馬鹿らしさが前面に出すぎでは!? 仲間由紀恵の戦国武将コスプレはそこそこだった。
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1973年のピンボール
2007年11月17日 芥川賞・直木賞ISBN:4062749114 文庫 村上 春樹 講談社 2004/11 ¥420
さようなら、3フリッパーのスペースシップ。さようなら、ジェイズ・バー。双子の姉妹との“僕”の日々。女の温もりに沈む“鼠”の渇き。やがて来る一つの季節の終り―デビュー作『風の歌を聴け』で爽やかに80年代の文学を拓いた旗手が、ほろ苦い青春を描く三部作のうち、大いなる予感に満ちた第二弾。
第83回芥川賞候補作。
<僕>三部作の二作目。ここまでは、サラサラと流れるような文章で書かれる、倦怠感漂う普通の青春小説。これを読んだ時点では、まさか完結編であんな結末が用意されているとは夢にも思わないだろう。(このシリーズが展開されていた当初は三部作で、これにダンス・ダンス・ダンスも加わっているらしいが未読。)
恩田陸ほどではないけれども、村上ワールドも少しずつ他の作品と関係している。直子という女性が出てくるが、これは「ノルウェイの森」と同一人物なのか、或いはその原型か? 「ゆっくり歩け、そしてたっぷり水を飲め」という台詞は、ほぼ同内容で「アフターダーク」でも出てくる。
「風の歌を聴け」と「羊をめぐる冒険」に挟まれて、やや地味な感じになっている本作ではあるが、近年のツマラナイ受賞作に劣っているとは思えない。
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ISBN:4062748703 文庫 村上 春樹 講談社 2004/09/15 ¥400
1970年の夏、海辺の街に帰省した<僕>は、友人の<鼠>とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。2人それぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに、<僕>の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた出色のデビュー作。群像新人賞受賞。
第81回芥川賞候補作。
村上春樹のデビュー作。これに限らず、村上春樹は芥川賞を受賞していない。「ノルウェイの森」辺りと比べたら、まだ拙さはあるかもしれないが、すでに天才としての片鱗を見せている。何で春樹が受賞していないのか謎である。この回は二人が受賞しているので、二枠使い切っているから仕方が無いのかもしれない。
受賞した「やまあいの煙」と「愚者の夜」はもう読まれてはいない。村上春樹の「風の歌を聴け」は、未だに読み続けられている。
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ISBN:4757713134 コミック 森 薫 エンターブレイン 2003/02 ¥651
「エマ」の著者、森薫氏が個人誌のみで発表された3作品が1冊となって登場。 「シャーリー・メディスン」「僕とネリーとある日の午後」「メアリ・バンクス」を収録。
アキバ系ではなくて数少ない正統派メイド物。本当は、こういうのが本物で、アキバ系の人々やキャラは、単にメイドのコスプレをした本物ではない別の何かですからね。三作品入っているけれども、やはり表題作のシャーリーが最強っ!
街中でカフェを経営するベネット・クランリーがメイドを募集するのだが、広告に年齢制限を書き忘れていたため、やって来たのは13歳のシャーリー・メディスン。他に行くアテも無さそうだし、好物である鳩のパテとティプシーケーキも作れるというので雇う事にしたのだが、シャーリーは掃除洗濯料理、何でも出来てしまう完璧超人なのであった。「あずまんが大王」の美浜ちよよりも凄いかもしれない。
いいなり!あいぶれーしょん 1
2007年11月16日 ???ISBN:4047124974 コミック 中嶋 ちずな 富士見書房 2007/05/09 ¥651
これは強烈っ! 絵は上手いのに無駄にエロい。素直に成人用でやれば全く問題が無かっただろうに、何故か少年誌系統のコミックで出ているから、異常に叩かれまくり。これは出版社が悪いのでは!? なんで角川コミックスなのか疑問である。
メイドロボ展に行った少年が、普通とは違うロボに出会ってしまう。どうやら半分人間らしく、おもらししまくりなのである。舐めて舐められる事によって、何らかの契約が成立してしまい、少年の右手と少女の大切な部分が光の糸で繋がってしまうのである。
このおもらしメイド、体内に三分割されたダイダラボッチの魂が封印されており、その魂が解放されようと人格変化攻撃を仕掛けてくるからエロくなってしまうという二重人格仕様。
090えこといっしょ。 1
2007年11月15日 ???ISBN:4063636518 コミック 亜桜 まる 講談社 2006/04/17 ¥420
女の子が宇宙人だったり未来人だったり異次元人だったり吸血鬼だったり幽霊だったりロボットだったりするパターンはもう使い古されてしまい、目新しさや意外性を出すためか、何だか変なモノを変化させて女の子にしてしまう物語が増殖しまくっている気がする。
女の子がパソコンだったり、ミサイルだったり、爆弾だったり、自分の右手だったり、男だったり(いや、これは少し違うか……)、とにかく、とんでもないモノと融合させて萌えキャラ変化のパターンが随分と増えてしまった。
本作では、女の子が携帯電話! 主人公の少年が古びた携帯電話に愛着が湧いて申し込んだところ、送られてきたのはロボット少女にしか見えない代物。しかし、その正体は携帯電話なのであった。
大きさは普通の人間サイズで、どう見ても携帯電話には見えない。普通の携帯が良かったけど、違約金を取られるので機種変更は出来ない。重くて持てないので、これでは携帯出来ないと困惑する少年に、携帯電話少女は「ちゃんと歩いてついてくから」と答えるのであった。